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納沙布岬で「帰って来いよ」を唄う【北海道・根室市】

北海道・根室市の納沙布岬は北方領土を目の前にした本土最東端の地

それまで根室には何度か来ていたのですが、納沙布までは行ったことがなかったのです。

特に深い理由はないのですが、若き日々においては「別に岬があるだけだろ?」的な感じで無関心だったわけです。

年を重ねて「日本男児たるもの、それじゃーいけない!もっと自国の領土について関心を持たなくては!」と深く決意したわけではありませんが、今回初めて納沙布岬に立ち「帰って来ぉぉぉいよぉぉぉ~」と唄ってみることにしました。

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大都会、根室から納沙布岬へ

根室は現在の人口2万5千人、けっして大きな町ではありません。

けれども、釧路から先、100キロ以上もほとんど原野の中を駆け抜けてやってくると、ここが大都会に見えてしまうのです(サロベツ原野のあとに現れる稚内と同じ原理です)。

初めて根室に来たのは僕がまだ大学生の頃で、当時は人口も4万人ほどありましたが、予想以上に大きな町で感動したことを覚えています。地域の政治・経済・文化施設が一カ所に集中しているせいもあるのかもしれませんね。

根室駅から納沙布岬までは、23キロ、バスで約45分。

バスの車内では、札幌から夜行バスで来たらしい品のよさそうなひとり旅のおばさまが、今日は納沙布から北方四島が見えそうか、とか、おいしいカニはどこで食べられるか、などと地元のおじさんに尋ねています。

バスは根室の町なかをぐるっと回ると、やがて根室高校の前を通ります。ここが日本で一番東の端にある高校なんだなーと思うとちょっと感慨深い感じです。
途中、歯舞(はぼまい)のバス停近くに、こんな看板もありました。

最東端の中学校「歯舞中学校」

ここから先はもうほどんどのものが「日本最東端の〇〇」になるんだろうな、と思いながらバスの外を眺めます。

例えばそれは、ガソリンスタンド、信用金庫、八百屋、ラーメン屋、ムフフなお店、などなど(ムフフなお店はもうないかも、残念!)

そんなことを考えていると、やがてバスは納沙布に到着しました。

望郷の岬公園

バス停の目の前は、望郷の岬公園となっていて、大きなモニュメントが北方4島に向かって建っています。

この一番目立つモニュメントが「四島(しま)の架け橋」

めっちゃカッコいい!

四島とはもちろん択捉(えとろふ)島、国後(くなしり)島、色丹(しこたん)島、歯舞(はぼまい)群島のこと。

場所柄、やはりこの北方四島返還を願う碑やらモニュメントが海に向かってずっと並んでいて、結構重い感じです。

一億の 切なる叫び 島帰れ

この間近なる 岬に叫ぶ

正直、三味線じゃんじゃかかき鳴らしながら松村和子みたいにコブシ効かせて「帰って来ぉぉぉいよぉぉぉ~」とか唄ってる場合じゃーありません。

ということで心静かに本土最東端に向き合います。

なるほど「本土」最東端なのですね。

岬の先端には納沙布岬灯台。

これがほんとの岬の先端、日本で一番早く朝日が見られる場所です。

肉眼でも歯舞諸島がはっきりと見えます(3キロちょっとしか離れていないそうです)。

ただ、歯舞以外の島々はここからは見えませんでした。

納沙布岬は歯舞諸島・色丹島には近いのですが、国後あたりは標津のほうが距離的にも近く、よく見えるんでしょうね。

ところで択捉島は本土から見えるのでしょうか?

めっちゃ天気のいい日に知床峠から国後を見ると、その向こうにうっすらと高い山が見えるのですが、それが択捉なのか、国後の北部なのかがわからずいつも悶々としています。

誰か知ってる人がいたら教えてください。

北方館と望郷の家

公園に北方領土に関する資料が展示してある北方館という無料の施設があったので入ってみると、いきなり署名スペースがあってちょっと重い感じなのですが、かなりリアルな展示物なんかもあって、僕のような通りすがりの旅人でもなるほどーと、感じてしまうくらいわかりやすい施設でした。

たとえば、これは当時、島に住んでいた世帯主の名前が書かれている地図。

小学校とか、診療所とかトーフ屋さんとかテニスコートとかいう記載もあって、リアルな人々の生活がここにはあったんだな、ということがわかります。

ちなみに、どこの島だか忘れましたが、現在の街並みの写真がありました。

まあロシアだな、という感じですね

そういえば昔Google earthで遊んでいて、たまたま択捉に迷い込んじゃったのですが、知床レベルじゃない断崖絶壁の続く萌消湾(もえけしわん)とか富士山みたいな山とかあって、めっちゃ行ってみたくなりました。

ⒸGoogle earth

北方館とつながっている望郷の家の2Fには展望スペースがあって、そこにテレビ望遠鏡なるものがありました。
歯舞諸島の水晶島の中もよーく見えましたが、荒涼としていて軍の施設以外何もなさそうでした。

そして突然現れたエリカちゃん
どうやら領土返還を願うゆるキャラらしいのですが、場所柄エリツィンちゃんに見えてちょっとびっくりしました(見えないか)。

ということで「帰って来いよ」は唄えなかったけど、俄然、北方領土に興味を覚えた体験でした。

※その後、公園内に根室市北方領土資料館ができて「日本本土四極 最東端到達証明書」がもらえるようになったみたいです。いいなー。

<2014年10月訪問>  最新の情報は公式サイト等でご確認ください

納沙布岬の基本情報

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