黒部峡谷鉄道と言えば、静岡の大井川鉄道井川線と双璧をなす日本を代表する山岳鉄道。
黒部の深い渓谷しかないところを走るので、沿線にはメジャーな観光地はありません。終点の欅平にも多少の見どころはありますが、その先は厳しい山岳地帯でどん詰まり。
それでも多くの人がここを訪れるのは、この鉄道に乗ること自体に大きな魅力があるからなのです。
※タイトルに基本コースとあるのは、黒部峡谷鉄道にはパノラマ展望ツアーというスペシャルコースもあるため区別しています(別記事で紹介します)
黒部峡谷鉄道トロッコ列車は座席の位置が重要
黒部峡谷鉄道は、宇奈月温泉から欅平(けやきだいら)まで約20キロの路線。
毎年4月下旬から11月下旬まで、黒部峡谷の絶景に沿ってトロッコ列車で運行されています。
黒部峡谷鉄道の列車は全て定員制で、座席は全員確保されています。
けれども座席の位置はめっちゃ重要なので、乗ればいいってもんじゃーありません。実は右左で車窓にかなり差があり(行きは右、帰りは左が鉄則)渓谷と反対側のほうに座ってしまうと魅力が半減してしまうので、渓谷側の座席確保はマストです。
宇奈月温泉駅を出発してしばらくすると右手に見えるのが、宇奈月ダム。
続いて現れる、沿線のハイライトのひとつとも言える車窓がこれ。
これは柳橋駅に隣接する「新柳河原発電所」。
ヨーロッパの古城のような建物のため、人気の車窓スポットになっているのですが、柳橋駅は工事関係者専用の駅で一般客は乗降できません。
なのでこの駅で降りての写真撮影は難しく、頑張って列車から撮影するしかありません。
続いて、これ。
細い吊り橋みたいですけど、なんだかわかりますかね?
これは猿専用の吊橋なんだそうです。
ダムができて猿が対岸に渡れなくなってしまったため、専用の吊り橋をかけてあげたんだそうな。
と室井滋さんが車内放送で言ってました。
この黒部峡谷鉄道の沿線案内は、富山出身の女優、室井さんの声で放送されていました。
途中で降りられるのは黒薙駅、鐘釣駅のみ
黒部峡谷鉄道は工事関係者専用の駅も多く、一般乗客が途中下車できるのは黒薙駅、鐘釣駅の2駅のみ。
黒薙駅には黒薙温泉がありますが、今回は途中下車せずに進みます。
黒薙駅のホームの先にある後曳橋は沿線で最も高く、谷底から60mあるそうです。
トロッコ列車は窓なしなので、天気がいいと風が爽快でサイコーですね。
ところで前の車両とうしろの車両が違うのがおわかりでしょうか?
前の車両は窓のない普通車両ですが、僕は追加料金1人5万円、じゃなかった500円も払って、窓付きのリラックス車両というのに乗っちゃったのでちょっと後悔しました。
たまには庶民と肩触れ合わせて、わー、だの、きゃー、だの言うものいいかな、と思ったのですが、混んでいると4人掛けでぎゅうぎゅうに詰め込まれて、車窓も右左でかなり差があるので、3人掛けでゆったりできるほうを選んじゃいました、スミマセン。
車窓の右手に出てくる出し平(だしだいら)ダム。
このあたりはやはり同じ山岳トロッコ列車の大井川鉄道井川線で長島ダムが出てくるあたりに似てますね。
出し平ダムの向こうには出六峰(だしろっぽう)と呼ばれる連山。
まるで峰々が背くらべするようにそそり立っているでしょう!
あれは、「出六峰(だしろっぽう)」と呼ばれる連山です。雲が低くたなびく様子は、水墨画のようです。雨が降ると一層ゆったりとした世界が広がるんです。
とか言って室井さんの車窓案内が撮影スポットが近づくたびに教えてくれるので、なかなか親切です。
これは黒部川第2発電所(1936年完成)。
この建物は昭和初期の当時最先端の近代建築家、山口文象さんという方によってデザインされ、黒部の大自然と近代建築との調和が図られた美しいデザインの名建築で、富山県の建築百選に選ばれています。
手前の赤い鉄橋は「目黒橋」といい、戦前に架けられ、はしごを横に倒したような形式の橋で大変珍しいんだそうです。
続いて工事関係者専用駅の猫又(ねこまた)駅。
猫に追われたネズミがどうしても岸壁を登れずに引き返し、さらに追ってきた「猫もまた」同じように引き返したため名付けられたそうです。
どんだけ激しい山なんや!
欅平から先は危ないんだぞーっ!
乗降できる2つめの駅、釣鐘駅をスイッチバックで過ぎるとさらに山は高く、谷は深くなります。
黒部峡谷鉄道にはその前にも一回乗ったことがあるのですが、その時はGW中でまだ雪のため全線開通しておらず、途中の釣鐘駅までしか運行していなかったため、終点の欅平まで行くのはこの時が初めてでした。
欅平は標高599m、黒部川第3発電所の上、そのホームは切り立った断崖の途中にあります。
急峻な崖の途中に貼りついているような駅ですが、売店も食堂もビジターセンターなんかもあり、なかなか立派。思ったよりずっと開けてました(駅だけは)。
駅から坂を降りてちょっと進むと黒部川の本流にかかる高さ34mの朱色の橋、奥鐘橋があります。
その先には岩壁がくりぬかれたような風貌から「人喰岩」と呼ばれるおどろおどろしい奇岩があります。
小さいとき(たまに今でも)熱を出したりすると、たいてい高いところに取り残されて「俺はどうすりゃ生きて帰れるんだよー」的にうなされて目覚める僕としては、もうこの辺で十分君の魅力はわかったそ、黒部渓谷!
ところがさらにこの先にも魅力的な場所があるぞ、的な看板があり、こんな山奥の、さらにまだ奥にもホントに行けるのか?と思っていたら、その脇にこんなヘルメット置き場がありました。
そしてこの看板。
おっしゃる通りですな。
久しぶりに潔くって胸がスキッとして、しかもなんか感動する、いい看板を見つけました!
<2016年8月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
黒部峡谷鉄道の基本情報
黒部峡谷鉄道への旅
黒部峡谷鉄道に乗るなら宇奈月温泉「延楽」に宿泊がおすすめ!
延楽の記事です
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