「祖谷のかずら橋」は聞いたことがあって「奥祖谷二重かずら橋」というのは聞いたことがない方も多いのではないでしょうか?
そこは名前のとおり、祖谷の山深くにあるかずら橋からさらに30キロも先にある、山奥オブ山奥オブ山奥にある秘境の橋なのです。
僕も実は最初からここを目的地として行ったのではないのですが、わけあってここにたどり着いてしまった時のお話です。
目的は奥祖谷観光周遊モノレールだった
とある年のGW、僕はその旅のメインイベントのひとつである「奥祖谷観光周遊モノレール」にチャレンジする予定だったのです。
おくいやかんこうしゅーゆーものれーる?
ま、確かにほとんどの方は聞いたことないと思いますが、これがスゴイ!
全長4600m、高低差590m、最大傾斜度40度、最頂標高1380m、これらすべてが観光用モノレールとしては世界一なんだそうです。
知ってましたか?日本のチベットオブチベットと呼ばれる徳島の祖谷にこんな世界一があったなんて。
しかもこのモノレール、思わず目を見開くような絶景も、思わず目をつぶるようなスリルもなく、65分間、ひたすら奥祖谷の森の中をコトコトとのんびり走り続けるだけ、という潔さ。
なんすか、このカブトムシみたいな角をつけたゆるーい2人乗りのゴンドラは!
A級観光地ではありませんね、B級です。かなり濃いめのB級です。だからどーしても乗ってみたかったのです。
しかしこのモノレール、B級度が極まりすぎたためか、今、大人気なんだそう。
出力の関係で1時間に出発できるゴンドラの数が限られているため、1日の乗車人数にも制限があり、特にGWは早くいかないと乗れないこともあるようです(予約不可。当日早いもの順)。
ちなみに前日5月4日に状況を電話で確認したら、電話に出たおじさん曰く
午前10時30分に整理券ぜーんぶ売り切れたよ
マジかよ、生きるか死ぬかやな
とりあえず現地に早く行くしかないようなので、奥祖谷行きの始発バスに乗れるよう、朝の大歩危駅に向かいます。
大歩危(おおぼけ)は、大歩危峡と呼ばれる観光スポットの下車駅であるとともに、奥祖谷への玄関口。
ここから奥祖谷に向かうバスにのりかえます。
まずはかずら橋を経由して久保というところまでいく大型バス。
この祖谷のすごいところは、大歩危駅を出るといきなり山肌を這いつくばるように坂を上りだし、あっという間に山の頂上付近に出て、峠を越えちゃうところ。リハーサルなし、いきなり本番、みたいな。
最初からすんごい山の中なので、どこまでが祖谷でどこからが奥祖谷なのかまったくわかりませんが、とにかく70分バスに乗って終点の「久保」という停留所に到着。
奥祖谷観光モノレール乗り場は、ここで四国交通バスから三好市営バスにのりかえて15分ほどの「菅生」停留所下車後、さらに徒歩20分と場所にあります。どんだけ奥祖谷なんだよ!
念のため乗り換え時間に奥祖谷観光モノレールの事務所に電話して、今日の混雑状況を聞いてみると
あー、今日はもう整理券全部出ちゃったよー
と駅のおじさん。
マジかよ、まだ10時だぜ!
僕は10時半到着予定だったので、おそらくギリギリ間に合うだろう、と予想してたんだけど、昨日より売り止め早まったのか!
乗れるかどうかもわからない超B級モノレールのために、なぜに貴方は日本のチベットオブチベットまで命懸けの旅などするのか!と問う貴女に私は言いたい。
男には勝つか負けるかわからなくても挑まなきゃならない戦いもあるんだよ!
当日先着順なので、遠くから今日行けそうですかー?なんて悠長に確認してから向かうわけにはいかんのですよ、ここは。
ま、こーゆーことも50%くらいは想定してたので、そのままバスに乗り換えて、もちっと奥まで行ってみることにします。だってわざわざここまで来て、またすぐに70分バスに乗って引き返すのもどーかと思うし。
仕方なく、奥祖谷二重かずら橋へ
そんなわけで三好市営バスへ。
三好市営バスとかカッコいい名前ついてますが、マイクロバスです。
三好市とか言ってますが、広域合併前は人口2000人にも満たない東祖谷村です。
このままこのバスに乗ると、西日本第二峰、標高1955mの剣山まで行けます。
このまま終点まで行って、剣山に上ってみるのもいーかな、とも思っていたのですが、途中の民宿前のバス停から大挙して乗り込んできた登山グループがあまりにも正統派重装備の登山ルックだったので、スニーカーにジーンズ、肩からLVのショルダーバック(妄想)姿の僕にはあまりにも不釣り合いだと思い、途中で下車しすることにしました。
「奥祖谷かずらばし」と看板が出てますが、みんなが知ってる、あのあまっちょろいかずら橋とはちゃいますよ。
あのかずら橋から、さらに30キロも山の中にある「奥祖谷二重かずら橋」。
何が二重か、ってことはのちほど説明しますが、とにかくここもかずら橋。
有名なほうのかずら橋、家族で行ったとき怖くて渡れなかったんですよね。
今回もとてもじゃないけど渡る自信がないのですが、ここは橋のたもとに行くのにも入場料がかかっちゃうんですよね。
怖くて橋は渡れないんですが、それでも入場料かかりますか?
念のため、受付のばーちゃんに聞いてみましたが答えは「かかる!」
まーそだよな。
男橋、女橋、そして野猿
入場料を払って、階段で谷までくだります。
おお、見えてきたぞ、かずら橋。
結構人が来てますね。
せっかくなので僕もちょっとチャレンジしてみたのですが・・・
やっぱダメだわ。
下から見るとこんなに高いし。
ところがこの奥祖谷二重かずら橋にはもうひとつ橋があるのです。
さっきのが男橋で、こっちが女橋。
はっはっはー、こっちは全然低いじゃん。
さすがに女橋は攻略しないと今後の人生に支障をきたすだろ、俺。
ということで元気にチャレンジ!
・・・やっぱダメだわ。。。
さて、さっきの看板に男橋、女橋ともうひとつ「野猿」ってのがありました。
「野猿」って聞いて💛なホテルを想像した貴女、かなり多摩地区に精通してるか、かなりホテル通ですな。一度じっくり語り合いたい。
あのとんねるずの組んだユニット「野猿」もこのホテル野猿から生まれたのだとされています。
しかしここの「野猿」は自分でロープをたぐり寄せて川を渡る人力ロープウェイのこと。
谷間に渡されたロープの上に二人乗りの籠みたいなのがぶら下がっていて、それに乗って対岸に渡れる仕組みになってます。
おおっ、これなら俺でも対岸に渡れそうだぞ!と思ったのですが、偶然野猿女子と一緒に乗りあわせて、途中で手元の運転用ロープが切れて宙ぶらりんになっちゃったりして、野猿ごっことか始まっちゃうと困るのでやめておきました。
バス停留所まで戻ると国道439号というおにぎり(国道標識のこと)が燦然と輝いていました。
この国道439号、その数字から「酷道ヨサク」と呼ばれるほどの日本有数の険しい国道。
バスを乗り継いて約2時間、すれ違い困難な細い山道を延々と通ってここまでやってきたのでした。
よく見るとここ、もう標高1000m越えてるんですね。
次回はさらにこの奥まで行って剣山に登ってみたくなりました。
<2018年5月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
奥祖谷二重かずら橋の基本情報
奥祖谷二重かずら橋への旅
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