長野駅と上越線の越後川口駅を結ぶ飯山線。ここに「おいこっと」と呼ばれる観光列車が走っています。
信濃川に沿ってのどかな里山の中をのんびりと走る列車なのですが、その名前の由来は想定外。わりと攻めてます。
今回はそんな「おいこっと」とそのまえに、日本3大車窓と言われる篠ノ井線「姥捨駅」に行ったお話です(「おいこっと」に乗っても姥捨駅には行けません)。
わりと衝撃!「おいこっと」の意味
長野駅と上越線の越後川口駅(新潟県)を結ぶ飯山線を走る「おいこっと」。
快速列車なので、指定券だけ買えば青春18きっぷでも乗車できます。
ヘッドマークには「いいかわ、いいそら、いいやません。」というキャッチコピーと雪ん子みたいな女の子。うしろの白いのは「かまくら」のイメージだそうです。
そういえば「おいこっと」とは今まで聞いたことない言葉なので、沿線地域の方言かなにかかな、と思っていたら、その由来はわりと衝撃でした。
沿線の中野市出身の高野辰之氏により作詞された童謡「ふるさと」の歌詞の通り、「日本人のこころのふるさと」を代表するローカル線である飯山線を走る列車として、田園風景や川、山など日本人が思い描くふるさとをイメージした名前にしたのだそうですが、その手法がスゴイ。
東京⇔ふるさと(田舎)
TOKYO ⇔OYKOT=「おいこっと」。
そうきたか、おいこっと。
TOKYOを反対にしただなんて、まったく想像だにしなかったネーミング!
古稀を過ぎたジュリーに、ぜひ唄ってほしいぞ!
ホントに「ふるさと」っぽい車窓
おいこっとは車内にも「兎」とか「山」「民家」などがところどころにアイコンとしてデザインされています。
長野を出発してしばらくすると千曲川(のちの信濃川)に沿ってまさに「ふるさと」っぽい車窓が広がります。
やがて沿線の中心で北陸新幹線の新駅もできた飯山駅に到着します(ここだけいきなり近代的)。
ここでは16分停車して、駅のコンコースでおいこっとの乗客向けのふるまいがありました。
この日は地元産の米を使ったおにぎりとリンゴジュース。
車内に戻ると野沢菜漬けのふるまいも(タダです)。
やがて列車は飯山線のほぼ中間地点にある「森宮野原駅」に停車。
ここは「日本最高積雪地点(7.85m)」なんだそうです(たぶんこの記念碑の高さと同じ積雪量)。
さほど山深い土地でもなく、標高は長野や飯山方面のほうが高いのですが、このあたりが一番の豪雪地となるんですね。
きっとこの辺に豪雪女とか住んでいるんですね。
超晴れ男のパワーとどっちが強いか、今度一戦交えてみたいです。
森宮野原を過ぎると新潟県に入り、千曲川は信濃川と名前を変え、次第に川幅を広げていきます。
車内では地元のお母さんたちが郷土芸能でおもてなし。
曲は「OYKOT」(沢田研二「TOKIO」のメロディーで)
♪おーいこっと うさぎが野原とぶー♪
んなわけないか。。。
姥捨駅と日本三大車窓
この前日、松本から長野に移動したのですが、その途中で降りてみたかった駅がありました。
それは篠ノ井線の姨捨駅。
ホームから善光寺平と呼ばれる長野盆地を望み、この付近は日本三大車窓のひとつとも言われています。
姨捨で降りると、なんと反対側のホームにはしなの鉄道の「ろくもん」が停まっていました。
「ろくもん」は上田城を本拠とした「真田一族」の家紋である「六文銭」から命名されたダイニング付き観光列車。
普段はしなの鉄道の軽井沢と長野の間を走っています。
JRの「ナイトビュー姨捨」というここからの夜景を楽しむ観光列車があるのは知ってましたが、「ろくもん」も姨捨まで乗り入れてるなんて全然知らなかった!
どうやらこの日は年に数本ある「ろくもん姨捨ナイトクルーズ」の運転日で、夜景の時間までここで停車しているのだそうです。
姨捨駅は善光寺平の眺望のほかにもう一つ特徴があります。
それは今や数少なくなった「スイッチバック駅」だということ。
ほら、駅名標の表示もちゃんとスイッチバックになってますよね。
スイッチバックというのは急坂の途中に駅を作れないため、いったん平らな場所まで線路を引っ張って駅を作り、再び坂の途中まで戻って本線にもどること。
列車は途中で進行方向を2回変え、ジグザグに運行するのが特徴です。
ま、これ見たほうが早いかな。
姨捨駅にはあのJR東日本の「「TRAIN SUITE 四季島」も泊まるらしく、駅舎も小綺麗に改装されていました。
「姨捨山」というと、ここが老人を捨てた山だという誤解がありますが、実は反対で、山に捨ててこれずに秘かにかくまっていたおばあさんの知恵により、国の危機が救われた、という伝説が残っているのがこの姥捨なのです。
スイッチバックを通らない長野行きの特急しなのが下の線路を通過していきます。
(特急は姨捨駅に停車しないので、スイッチバックせずにまっすぐ通過します)
ゆっくりと、ゆっくりと夏の夕暮れはすすみます。
長野行きの各駅停車が本線から分岐して、スイッチバックの姨捨駅に到着したのは、一足先にろくもんが出発し、善光寺平に遅い宵が訪れたころでした。
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おいこっと/姥捨駅への旅
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