佐渡に行ったら宿根木ともうひとつ、ぜひ行ってみたかった場所がありました。
それは北沢浮遊選鉱場跡と呼ばれる廃鉱跡。
佐渡金山が世界遺産の暫定リストに記載され、最近俄然注目を浴び始めましたが、準廃墟マニアの僕はわりと前からこのスポットに注目していたのです。
もちろんこの北沢浮遊選鉱場跡も素晴らしかったのですが、かつて佐渡金山で栄えた相川の町並みや、今なお残るレトロ喫茶も素晴らしかった、というお話です。
北沢浮遊選鉱場跡は、佐渡のラピュタ?
北沢浮遊選鉱場跡があるのは世界遺産への登録が期待される「佐渡金山」のお膝元、相川。
本来は佐渡金山行きのバスに乗って「相川博物館前」のバス停で降りるのですが、僕はひとつ先の「佐渡奉行所」まで行ってそこでバスを降りました。
なぜならば、ここで降りるといきなりこんな光景がどーん!
佐渡奉行所はこの北沢浮遊選鉱場跡の上あたりにあるので、坂を少し下がるとその全体像が見えるのです(まあ、坂を登るのが面倒くさかったという説もありますが)。
でもこの迫力、いきなり血沸き肉躍りますね。
坂を下ると相川郷土博物館があり、通常の北沢浮遊選鉱場跡の入口となります。
北沢浮遊選鉱場跡は、発電所やシックナーなど佐渡の鉱山の近代化に貢献した産業遺産。
もとは銅の製造過程で使われていた「浮遊選鉱法」を金銀にも応用して、日本で初めて実用化したものだそうです。
施設の大きさは、高さ約35m、幅約115m、奥行き約80m。最盛期には1ヶ月で5万トン以上の鉱石を処理できることから「東洋一の浮遊選鉱場」と称されていました。
北沢浮遊選鉱場跡が「佐渡のラピュタ」と呼ばれることもあるのは、こんなイメージからでしょうか?
別に天空にあるわけでもないし、なんでもラピュタって言えばいいってもんじゃないとは思いますが、何となくそう呼ばれるのはわかるような気もします。
コロッセオみたいな「シックナー」?
一番右側にあるレンガの建物は1908年に建てられた火力発電所で、ここから各施設へと電力を供給していたもの。
そして先ほど上のほうから眺めた円形の建物が「シックナー」。
下から見上げるとローマのコロッセオ感満載ですが、これは工業用水を確保するために水と不純物を分離する装置だったそうです。
直径は約50m、国内でも最大規模の施設ですが、さすがに老朽化は否めませんね。
この北沢浮遊選鉱場跡も世界遺産の構成資産のひとつに含まれるのでしょうか、長崎の軍艦島などもそうですが、どうやってこれを風化させずに保存していくかが課題ですね。
これは鉄を溶かすための装置「キューポラ」。
なんか僕の知ってるキューポラの形と違いますが、このあたりにあった工場群の建物が消えてしまってこれだけ残っているようです。
ちなみに僕の「キューポラ」のイメージはこれ。
かつて鋳物産業で栄えた埼玉の川口を舞台とし、全川口市民が泣いた感動の巨編「キューポラのある街」。
ちなみに僕は今は東京に住んでますが、川口には豪邸があるので「少年少女が非行に走る貧困の町」とか言わないでほしいです。。。
話がそれましたが、このキューポラの前あたりからは全体像がよく見えましたよ。
佐渡金山で栄えた相川の町並み
佐渡金山によって栄えた相川の町には、今も当時の雰囲気が残る町並みと、多くの史跡が残されています。
まずは佐渡奉行所。
あれ、さっき坂を登るの大変だとか言って奉行所の前でバス降りたじゃん、という誹りを受けるかもしれませんが、甘んじて受け入れます。相変わらず、何も調べずテキトーに来てみたら、相川の古い町並みは山の上にある、ということを坂を下ってから知って、再び坂を登ってきた僕です。
佐渡奉行所は、金脈の発見により、ここが天領(幕府の直轄地)となったため、この相川に置かれました。
その先になんともエモい町並みがあるじゃないですか!(全然知らなかった)
この奉行所から先に行ったところにあるのが「京町通り」。そこから相川の昔の町並みが始まります。
現在の相川の中心地は、海岸沿いに開けていますが、「京町」という名の通り、当時はより金山に近い、この山の上が中心だったのでしょう。
最盛期はこの相川に5万人もの人々が暮らしていた、というから大都会だったにちがいありません。
この時鐘は1713年に佐渡で採掘された銅で鋳造され、以来明治の頃まで町の時計の役割を果たしていたそうです。
相川の古い町並みは緩やかな坂を描いて、金山方面までずっと続いていました。
その気になれば金山まで歩いて行けそうな気もしました。金山は昔行ったことあるのでパスしたけど。
相川のレトロな喫茶店「カフェ・ド・カトレア」
上町から急な坂道を降りて海岸沿いの下町に下りると、こちらにはちょっとしたアーケード街のようなものもありました。
その近くにあった、なんとも渋い喫茶店が気になったので入ってみました。
お店の名前は「カフェ・ド・カトレア」。
昭和33年創業で、佐渡のコーヒー文化を担う喫茶店なんだそうです。
ステンドグラスの照明や古きよきテーブルや椅子、調度品。静かに流れるBGM。
まさにこれぞ昭和レトロな純純純喫茶!
珈琲豆を敷き詰めたガラステーブルに置かれたカップから立ち上る湯気。
ここもぜんぜん狙ってたわけじゃなくて、偶然発見したお店でした。
今はもうかつて金山で賑わったような栄華はなく、静かな町となってしまった相川ですが、その魅力は僕を満足させてくれるにはじゅうぶんでした。
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佐渡・相川への旅
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