
奈良県明日香村は、山々に囲まれた美しい盆地に飛鳥時代の宮殿や史跡が多く残る、まさに「国のまほろば」。「日本人の心の故郷」とも紹介されるところ。
その明日香村には、9月後半になると彼岸花が咲き誇るということだったので、これはきっと「まほろば of まほろば」になるに違いない、ということで行ってみたお話です。
僕が行ったのは2022年の9月24日でしたが、2023年の彼岸花祭りも9月23日(土)~24日(日)の開催。毎年この時期がピークのようです。
レンタサイクルで明日香を爆走!
飛鳥盆地の中に多くの見どころが点在する明日香村は、レンタサイクルの聖地として知られています。
電動自転車を1日借りれば、まちなかの狭い路地も、アップダウンのある農道も自由自在。おまけに村内の各所で乗り捨てもできるので、僕は明日香は4回目ですが、いつもレンタサイクルを利用しています。
そんなわけで今回は橿原神宮駅前で自転車を借りて、明日香村に入ったとたんいきなり見つけました、彼岸花。

明日香の彼岸花は田んぼの畔に沿って咲いていることが多く、秋の空の下、実るほど頭を垂れる稲穂とのコントラストが素晴らしいですね。

まずはどこか高いところに登って、上から彼岸花の密集地帯を探してみよう、ということで僕の好きな甘樫丘に行ってみることにしました。
甘樫丘から大和三山と飛鳥を展望
甘樫丘は明日香村の北部にある標高140メートルの丘陵。
明日香村だけでなく、大和三山を一望できる場所としても知られています。

これが大和三山の中で一番大きくて雄々しい畝傍山。

こちらが大和三山の中で一番小さな標高139.6メートルの耳成山。

そしてこれが恥ずかしがり屋で木の陰に隠れがちな香具山(天香久山)。

中大兄皇子(のちの天智天皇)の歌に大和三山を詠んだこんな歌があります。
香具山は 畝火を愛しと 耳梨と 相あらそひき 神代より 斯くにあるらし 古昔も 然にあれこそ うつせみも 妻を あらそふらしき
<訳>神代から、香具山は畝傍山を妻にしようとして耳梨山と争ったんだそうだよ 昔からそうだったんだから いまでも妻を争うのは仕方ないことなんだよね
一般的には畝傍山が女性で、それを男性である香具山と耳成山が争ったという解釈がなされています(中大兄皇子と弟の大海人皇子が、のちにふたりの妻となる額田王を争ったことを暗喩している、という解釈もあるくらいです)が、こうして山の姿だけを見ると、一番雄々しい畝傍山が男性で、恥ずかしがり屋の香久山と一番小さな耳成山が女性のようにも見えます。

つまり風祭先生の解釈によると、二人の女性が俺を争ったってわけだな

風祭国語国文学研究所では、世界中の男性の希望も込めてそう解釈したいと考えています
と、思わず国語国文学の話題に入ってしまいましたが、今日の目的はそこではありません。ここから明日香村の彼岸花状況を一望するのが本来目的です。

ぜんぜんわからない!
けれども、明日香村らしい素晴らしい町並みが見えたので、そのあたりに行ってみることにしました。

ここにあったか!飛鳥坐神社(あすかいますじんじゃ)
甘樫丘を下り、明日香村の中心部、古い町並みが並ぶ通りを自転車でのんびりと走ってみます。

さすが大和は国のまほろば。情緒ありますね。
その突き当りまで行くと、こんもりとした森があり、「飛鳥社」と書かれた鳥居がありました。


明日香村のはずれに、風祭さんが好きそうなセクシーな社があるのよ💛
そのとき、とある飛鳥大好き女子から、かつてそんな話を聞いたことを思い出しました。
そんなわけで迷わず登ってみると、そこにあったのはこんな展示。

おおお、ここがあの有名な「おんだ祭」の神社だったのか!!
おんだ祭は、五穀豊穣を祈るお田植祭のひとつですが、天狗とお多福による夫婦和合の儀式を模した滑稽寸劇があることで知られる、天下の奇祭。
一度見に行ってみたいと思っていたのですが、ここでやってたんですね!
ここ「飛鳥坐神社(あすかいますじんじゃ)」は子孫繁栄や子宝、縁結びの神として知られ、古くから性信仰の聖地だったそうです。

そんなわけで境内には男性や女性のシンボルをかたどった多くの陰陽石が祀られています。

そして授与品のラインナップもすごい!

ちんちん鈴ってストレートすぎやろ!

これはまさに陰陽かたどってますな。
って違う違う!彼岸花みに来てたんだった!

ということで御朱印だけもらって失礼させていただきました。
あの飛鳥大好き女子、一緒に来たいならそう言ってくれればよかったのに・・・
そして彼岸花と棚田のコラボレーション、稲渕の棚田へ
再び彼岸花を探して飛鳥盆地をレンタサイクルで疾走します。
聖徳太子の誕生地にも彼岸花。

途中の田んぼの畦道にも彼岸花が咲き誇って、写真を撮ってる人もたくさんいます。

毎年9月下旬に明日香村の「彼岸花祭り」が行われるのは、村の中心部から少し坂を登ったところにある稲渕の棚田。

ここに「案山子ロード」という道があり、そこに彼岸花が咲いている、ということなのですが、実は僕はそれを知らずに行かなかったのです。
確かに駐車場から人がぞろぞろと歩いて行く道があったのですが、自転車だと入れなそうなのでパスしちゃったのです。

明日香の棚田は「日本の棚田百選」にも選ばれていて、もちろん棚田だけでも美しいのですが、残念ながら僕がいた場所から棚田と一緒に撮れた彼岸花は一輪。

それでもやっぱり9月が飛鳥の一番美しい季節だ、と思いました。
<2022年9月24日訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
明日香村への旅
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