北海道の天売島は、ケイマフリやオロロン鳥など、世界的な海鳥の繁殖地で、希少な海鳥を見ることができる島として知られています。
そんな天売島の中でも絶対に見逃せないのは、春から初夏にかけての日没時、最大80万羽ともいわれるウトウが一斉に海から巣に帰ってくるシーンだと聞き、ずっと行ってみたいと思っていたのです。
ウトウの帰巣とは?
ウトウとはアイヌ語で「突起」という意味を持つ、ウミスズメの仲間の海鳥の一種。
北日本の沿岸から北太平洋沿岸にわりと広く分布していて、とりたてて希少種ということではないようですが、この天売島にはウトウの世界最大の繁殖地があり、その数は80万羽とも言われています。
天売島フェリーターミナルにあったウトウのはく製を見ると、なんかおまえふざけてんのか?って感じの顔してますが、実はこの横に広がったくちばしに意味があるのです。
横に広がったくちばしは、海で捕獲したたくさんの魚をくわえることができます。
ヒナの餌を求めて早朝に巣を出た親鳥たちは、日没時に一斉に海から巣に帰ってくるのですが、その数が最盛期は80万羽にもおよぶため、そのシーンが圧巻なのです。
ウトウの帰巣は日没時なので、このシーンは天売島に泊まらなければ見ることができませんが、天売にはネットで予約できるような宿はないので、いろいろ調べて「萬谷旅館」さんに電話で予約しました。
料金は夕食ウニなしで9,000円、ウニありで10,000円と12,000円の2種類あるけど、どうしますか?
ウニ!
僕は「貝」と「しいたけ」と「女」が苦手で、普段はそれら同様、ウニも食べないのですが、天売のウニは絶品だと聞いたことがありました。
せっかく天売まで来てウニ食べないのもネタにならないし、まあ1000円くらいの違いだったら、そんなにたくさんはでないことでしょう。
じゃあウニあり10,000円のでお願いします!
1泊2食ウニ付き10,000円ってめっちゃ安いですよね。7月海の日の和室一人利用ですからね。
萬谷旅館のウニはえぐかった
そんなわけで、まずは「萬谷旅館」にチェックイン。
入口の案内板こんなだけど大丈夫か?と思って坂を下ると・・・
海に面したなかなかのロケーションでした。
お部屋もオーシャンフロントの角部屋。ハワイのシェラトンワイキキなら1泊15万クラスですな。
かつて天売島を舞台とした「女医・優」というドラマがあり、その時もキャストの宿となっていたのでしょう。女医にお酌してもらって浮かれ顔のご主人の写真も飾られていました。
夕食は宴会場でしたが、ここもオーシャンフロント。
夕方のツアーに参加する人には、早めの時間に用意してくれます。
その夕食のメニューがこちら。海の幸たっぷりですね。
わりとマジでウニ!1000円なのに、なにこの本気のウニ!
やばいなー、完食できるかな、と思って口に入れてみると、とろけるように甘くて、磯くささがまったくありません。
うまいウニは、貝とかしいたけとか女が苦手でも関係なくうまい!
やっぱりおいしいものなら好き嫌い関係ないんですね。これからはウニに限らず食わず嫌いはやめようと思います。
その他にも僕がまったく受け付けなかったはずのこんな貝とか出てきましたが・・・
祝!完食!!!
しかしかえすがえすもこの食事で、7月海の日・和室一人利用10,000円ってめっちゃ安いですね。
そしてウトウの帰巣ツアーへ
ウトウの帰巣は、天売島西端近くの赤岩展望台周辺で観察することができますが、日没後は周辺への自家用車の乗り入れは自粛となっているため、観察にはガイドツアーを利用することになります。
日没に合わせて、ホテル前にマイクロバスが迎えに来て、ガイドさんが「天売島あるある」話をしながら15分ほどで鑑賞スポットに到着します。
ガイドさんの案内によると、この穴がウトウの巣で、その数は40万。ここで暮らすウトウのペアは毎年同じ巣で子育てをするのだそうです。よく間違えないな、って感じですが。
巣穴の中で育ったヒナが孵化する5月20日頃から、巣立ちのピークとなる7月20日頃まで、毎日夜明け前に親鳥たちは海へと向かい、イカナゴやカタクチイワシといった魚を捕まえて、外敵から餌を奪われないよう日没に合わせて一斉に巣へと戻ってくるのです。
西の空に日が沈み、薄暮が訪れると、南のほうから小さな黒い点のようなものがポツポツとこちらに向かってきます。
やがてその数がどんどんと増えていき、時速60キロで、次々と山肌の巣穴に吸い込まれていくのです。
評判通り圧巻だなあ、と思っていましたが、ガイドさんによると、この日の状況だともう今年は終盤で、1万羽くらいしかいないんじゃないか、ということでした。
これで1万羽ということは最盛期の80万羽ってどんだけすごいんだ、って感じですね。
例年だと海の日前後はもっと多いそうですが、この年は過去一番くらいに巣立ちが早く、ピークも早かったんですね。
鑑賞地にはところどころ地元の方が備え付けたライトがあり、そこから草むらの奥にいるウトウを観察することができます。
せっかくならもっとピークの時に来たかったな、とも思いましたが、それでも十分の迫力でした。
世界でここでしか見られない自然の神秘、ぜひみなさんも一度その目で確かめてください。
<2023年7月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
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