埼玉の春日部にある謎の地下神殿として知られる「首都圏外郭放水路」。
これは大雨などが降った際、中小河川の水を地下に取り込み、洪水を防ぐための地下放水路で、本来は観光施設ではなく治水施設なのですが、ここ数年この見学ツアーが大人気なんだそうです。
しかも以前はこの地下神殿チックな空間を、心静かに拝観するコースしかなかったのですが、最近はわりとアナーキーで若干命がけ的なコースができた、と聞いたので、さっそく行ってみたのですが…
「翔んで埼玉」 埼玉開放戦線の集会場
「翔んで埼玉」、めっちゃ面白かったですね。
今はすっかり東京を代表するナイスミドルとなってしまった僕ですが、かつては20年近く埼玉県民として東京デビューまでの修業を積んでいたので、多少は埼玉愛がないわけではなく、この映画は封切と同時に観に行きました。
ま、想像通り、というか想像以上に埼玉がDisられてたわけですが、それ以上に僕の源流であるグンマーが日本の秘境どころか旧石器時代レベルに描かれていたので、「それ、異議なし!」とか思いつつも、いささかショックを受けたのでした。
また、群馬の永遠のライバル、栃木の影が薄かったのも若干気になった次第です。
そんな中、以前から一度は行ってみたい、と思っていた場所が映画の中で登場したのでした。
それが通称「春日部の地下神殿」と呼ばれる「首都圏外郭放水路」。
東京とか神奈川に勝利したGACKTと二階堂ふみが、埼玉開放戦線の民とともに雄たけびをあげる集会場として登場したのですが、これがロケ地としてはまりまくってたわけですよ。
いざ、春日部地下神殿見学ツアーに参加
そんなわけで、満を持して春日部の首都圏外郭放水路(以下、地下神殿)見学ツアーに参加してみることにしました。
この地下神殿、かつては限られた公開日のみの見学会しか行われていなかったのですが、現在は有料化して毎日ツアーが行われています。
こうした動きはインフラツーリズムといって今、結構人気なんですよね。
橋とかダムなどのインフラ(公共施設)を見学して、その大切さを知ってほしい、ということで普段は見られない場所なども積極的に開放されることが多くなりました。また最近は自治体もこうした施設を観光の目玉にすることによって地域の活性化を図っているようです。
この春日部地下神殿のツアーは3コース。
1番ノーマルなのは以前からあった「地下神殿コース」でこれは毎日開催しています。
今回僕が参加したのは、新しく設定され、週末を中心に実施される特別な2コースのうちの一つ、「迫力満点!立坑体験コース」。
◎このコースは高所(高さ約70m)の通路を歩きます。高所が苦手な方は参加をご検討ください。なお、高所歩行中は、装着いただく安全帯の構造上、途中から引き返すことはできません。
◎このコースご参加にあたり「同意書」をご提出いただきます。同意書をご提出いただけない場合は、参加をお断りいたしますので、あらかじめご了承ください。
勢いで申し込んだあとによく見たらこんな注意事項が書いてありました。
こう見えてわたくし、高いところと女子は大変苦手なんですけど、大丈夫かな…
そんなわけで、万一僕に何かあったら骨でも拾ってもらおうと、暗渠大好きアングラ女子、春日部春子(仮名)を誘って一緒に行くことにしました。
え、女子苦手ちゃうんかいっ!と今まさにツッコミかけたも紳士淑女もいと多しと存じますが、こうなったらこの機会に苦手全部克服しちゃおうと思った次第です、はい。
まずは 地底探検ミュージアム「龍Q館」へ。
さて当日、春日部駅からバスに乗って、見学ツアーのスタートとなる地底探検ミュージアム「龍Q館」に到着します。
首都圏外郭放水路は、大雨などが降った際、周辺の中小河川の洪水を地下に取り込み、大きなトンネルを通して江戸川に流す地下放水路なので、この「龍Q館」ももとは「庄和排水機場」という名前でした。
受付が終わり待合スペースに行くと、なんかウルトラ警備隊みたいな司令ルームがあるぞ!
と思ったら、ここは本当に「ウルトラマンコスモス」のロケで司令室として使われていた「中央操作室」。
ま、僕が想像したのは「ウルトラセブン」だったんだけどね。
今回のツアー参加者は定員ほぼいっぱいの約20名。
みんな集合するとガイドさんの案内でいよいよ地下神殿へ。
ここから階段を下って地下にズンズン進んでいくと、わりとすぐに地下神殿の底に到着します。
ここまでは今まで実施されていたノーマルな「地下神殿コース」と同じ。
立坑体験コースはいったん地上に出たあと、別の棟に移動して、そこからまた地下へと入っていくのですが・・・
ん?なんすかこれ?
「はーい、ではここからはヘルメットをかぶって、この命綱をしっかりと身につけてください!」
い、命綱ですと?
(安全ベルトと言ってたような気もしますが、僕には命綱、というふうに聞こえました。まあ意味は同じですが・・・)
ちなみにこの「リコロ」というブランド調べてみたんですが…
「ベルトロングタイプで小型でもロック機能付、墜落を最短距離で阻止します。
墜落阻止時には、緩衝環が大きく変形して、規格の定める衝撃吸収性能をクリアします!」
墜落を最短距離で阻止します、ってあーた!
やばいよやばいよ。
高所恐怖症なのに、なんか場違いなところに来ち、まった、の・・・・
…かぁぁぁぁぁ!!!
わかりますかね。
あの安全ベルトで体と鎖場をつないで、この写真の一番上のキャットウォーク(高所用の通路や足場)を歩くのです。
これが首都圏外郭放水路の立坑で、穴の中に見える空間がさっきまでいた地下神殿です。
首都圏外郭放水路にはこうした立坑が5本あり、その間を全長6.3キロの地下トンネルが結んでいる、というのが全体の構造。
そりゃすげーよ。これなら洪水起きないはずだ!
とか考える余裕はまったくなく、このキャットウォークをちょービビりながら歩くのが精いっぱい。
右手は命綱がつながれている鎖場、左手を心の頼みの綱、アングラ大好き女子、春日部春子に助けを求めて差し出すと
やーめーてー、私も怖いんだからぁぁぁぁぁー
おまっ、話が違うぞ!
万一の時は俺の骨を拾ってくれるんじゃなかったのか!
やっとの思いでキャットウォークを一周すると、今度はこの階段を下るとかぬかしやがるぞ、このツアー!
す、す、すみません、ここで待ってていいですか?
そんなふうにリタイヤ宣言した僕と春子を、付き添いのスタッフの方はあたたかく受け入れてくれ、一足先に立坑の入口まで連れて行ってくれました。
というかスタッフ総勢5人くらいいましたよ、参加者20名に対して。
ま、それくらい安全が徹底されているツアーだとも言えます。
結局リタイアしたのは僕たち2人だけで、あとの参加者は嬉々としてあの地獄につながるような恐怖の階段を下っていきました。
地下神殿ツアーは誰でも問題ないと思うけど、この立坑体験コースは高いところとか女子とかが苦手な方はちょっと考えてみたほうがいいようです。
逆に言えば、高いところ大好きな人はこんなに楽しい体験はない!ってことですけどね。
<2019年4月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
春日部地下神殿(首都圏外郭放水路)の基本情報
住所: 埼玉県春日部市上金崎720
春日部地下神殿の本
春日部地下神殿への旅
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