伊豆大島は、近いようでなかなか行く機会がないところでしたが、僕にとっては、行くなら今しかない、という絶好のチャンスが訪れたのでした。
それは2013年の台風による水害で落ち込んでいる観光客を呼び戻すために行われた、2015年冬のキャンペーン。
この冬期間中に大島に行くと、東京都から補助金が出てかなりお得になる、ということで、行くなら今でしょ、ってことで、近くて遠かった伊豆大島に足を踏み入れたのでした。
竹芝桟橋から伊豆大島へ
伊豆諸島、小笠原諸島への船舶は東京の竹芝桟橋から出港します。
ここは東京の海の玄関口ですが、さすが立派な客船ターミナルです。
地方の港にある、あの「うらぶれた感」が、まったくなく、明るく燦々と輝いている感じです。
これはこれでいいのですが、やっぱりあの「港・別れ・演歌」チックなターミナルのほうが旅だなあ、と思ってしまう僕も、もう長い髪を切ってロックを卒業すべきなのでしょうか・・・
中に入ってみると「港・別れ・演歌」とはほど遠いPOPなお姉ちゃんが、「本日の入航地は元町港」というボードを掲げて立っています。
おー、そういうことなのか。
大島には「元町港」と「岡田港」という2つのメイン寄港地があり、通常は元町港を発着地としているのですが、波が高いなど、海上の状態が良くない時は岡田港で発着と、天候状況により当日の朝の判断で臨機応変に変えるんですね。
大島まで、高速ジェット船で最短1時間45分。
今回僕が乗った船は久里浜経由だったので2時間ちょっとで到着します。
水上を浮きあがるように走行するということで、多少波は高い状態だったようですが、揺れはあまりなかったですね。
観光復興キャンペーンの効果か、船内は満席。たくさんの人々が大島を訪れているようです。
元町港からバスに乗って、まずは伊豆大島のシンボル、三原山登山に挑戦します。
三原山の溶岩とか日本唯一の砂漠とか
三原山にはいくつかの登山ルートがありますが、初心者でも登りやすいのが登山バスの終点、山頂口から内輪山に向かって舗装された遊歩道を歩く「山頂遊歩道」と、三原山の中腹、三原山温泉から裏砂漠を経由して山頂に向かう「温泉コース」のいずれか。
今回は太陽がなるべく逆光にならないように「温泉コース」から登って、「山頂遊歩道」を下るパターンで向かいました。
三原山温泉の一軒宿、「大島温泉ホテル」前でバスを降ります。
露天風呂から見える三原山の絶景が有名なところなので、本当はここに泊まりたかったんですが、残念ながら満員でした。
ホテルの駐車場から見る三原山。
さていよいよ登山。
三原山の外輪山上にある大島温泉ホテルの駐車場横から登山道に入りますが、登山道と言っても、最初は平坦でまっすぐな一本道が続きます。
靴さえ気をつければ、登山と言ってもハイキングレベルの軽装でも十分な感じです。
両側の木々がだんだんと低木になり、しばらくすると一面のすすき野原となります。
少しずつ道が傾斜しはじめ、やがて溶岩石が目立つようになります。
もし今、三原山が突然大噴火を起こしたら、きっとマグマの餌食になるんだろうな、と考えながら歩きます。
しかしあとあと聞いたところによると、三原山の溶岩流は非常にスピードが遅く、時速数キロ程度だったそうです。
それなら走れば余裕で逃げ切れそうですね。
恐怖で腰を抜かしてしまった単独♀登山家(相模原市在住・32歳)をやさしくお姫様抱っこしながらでも逃げ切れるかもしれません。
三原山の内輪山にかなり近づいてきました。
ここから東側は、裏砂漠と呼ばれる黒い大地が続いています。
国土地理院の地図において日本で唯一「砂漠」と表記されている場所なんだそうです。
まるでアメリカ西部の荒野か、猿の惑星か、って感じですね。
とても首都東京にある景色とは思えません。
ようやく登山らしい急な勾配がしばらく続き、大島温泉ホテルを出て1時間弱でお鉢巡り(火口一周道路)と合流します。
このお鉢めぐりは約2.5キロで三原山の火口をぐるっと一周できるようになっています。
そしてホンモノのゴジラ岩
お鉢巡りと合流してしばらくすると「ゴジラ岩」があります。
日本全国「ゴジラ岩」と呼ばれる奇岩は数多くありますが、この三原山のゴジラ岩こそ本当のゴジラだと言われています。
というのは、1984年に公開された映画「ゴジラ」第16作で、自衛隊の作戦によってゴジラは伊豆大島の三原山に見立てた架空の火口に落とされてしまうという結末になっているのですが、その2年後の1986年に三原山が大噴火を起こした際に、このゴジラ岩ができあがったのです。
そのため、1986年の噴火はゴジラの祟りで、このゴジラ岩はゴジラが火口から這い上がってきたのだ、とも言われているそうです。
恐るべきゴジラパワー。。。
続いて現れるのは三原神社。
この神社は、1986年をはじめとする数々の大噴火の際も、なぜか溶岩流が神殿を避け直前で両側へとながれを変えていることから、奇跡の神社と呼ばれています。
社を避けるように、すぐわきを溶岩が固まっているのがわかりますか?
古代から島の人々は三原山の噴火のことを「御神火」と呼んで、山頂近くにこの祠を建て、崇め奉ってきました。
だからこの神社はその「御神火」から護られたのだとも言われています。
三原神社の先でお鉢めぐりから枝分かれして火口展望台へと続く一本道。
三原山の火口は、高さ60階のビルがすっぽりと入ってしまうほどの深さがあり、赤、茶、黄、橙、紫、青、緑、白、黒、灰など様々な色に染まった大地が牙をむくように露出し、ところどころから白煙が立ち上っています。
ここは大地の激しい息遣いを感じる動のパワースポットですね。
地球の持つ果てしないエネルギーを十分に吸収できそうです。
下りは「山頂遊歩道」を通って、三原山山頂口のバス停に向かいます。
下りだと山頂口まで30分くらい着いてしまうので、温泉コースの登山道より距離は短いのですが、急な勾配はこっちの方が長く続く感じがします。
この道は全面舗装道なので、歩きやすいのかもしれませんが、舗装した急勾配の道はやっぱり風情がない感じがします。今回は下りなのでよかったのですが、上りでこんなに急勾配の舗装道がずっと続くと気が滅入るかもしれません。
山頂口バス停付近から見た三原山全景。
大島温泉ホテルを出発して約3時間。登山というよりトレッキング程度の軽い運動でしたが、母なる地球のエネルギーを十分に感じた三原山紀行でした。
<2015年2月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
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