なんと、僕の実家から歩いて1時間ちょっとのところに世界遺産があるのです!
「世界遺産 高山社跡」
・・・たぶん、聞いたことないでしょ?
実はこれは世界遺産『富岡製糸場と絹産業遺産群』を構成する4つの資産のうちのひとつなのです。
富岡製糸場のほうは、世界遺産登録と同時にたくさんの人々が訪れる有名観光地となりましたが、ここはその本家本元から20キロ近く離れてた場所にポツンとある小さな史跡なので、世界遺産の一つとはいえ、あまり知られず、訪れる人も少ないところなのです。
「高山社跡」はかつての養蚕会社の跡
高山社跡は「養蚕改良高山社」の創始者・高山長五郎(1830~1886)という人の生家で、養蚕法「清温育」の研究と社員への指導を行っていた場所です。
この長五郎の養蚕技法が明治中期以降の標準的な育て方となり、日本の近代化に大きく寄与した、ということでの世界遺産認定なのでしょう。
まー、簡単に言っちゃうと、カイコですよカイコ <以下、閲覧注意>
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いきなりカイコの露出、スミマセン。
しかしこれよくみると本物ではないので、虫苦手な方もご安心を!
このカイコというのは蛾の幼虫のことで、このカイコがサナギになった時に閉じこもるための殻を作るのです。カイコは自らぴゅーっと細くて白い糸をはき出して、繭と呼ばれる殻を作るのです。この繭からとれる糸が生糸(きいと)と呼ばれ、貴重な衣料品の素材となったのです。
これが繭(イメージです)
「まゆときいとは にほんいち (繭と生糸は日本一)」
群馬県人なら誰もが知っている、というか、誰もが全部の句を言えることで有名な「上毛(じょうもう)かるた」の一首です。
要は、群馬県は養蚕による生糸の生産が日本一、ということなのです。
確かに僕がまだ子供の頃は家の周りにも桑畑がたくさんあって、カイコも、繭も実際によく見かけましたが、今はもう養蚕業自体が少なくなっているんでしょうね。
高山社は僕の実家から徒歩約1時間(どうでもいい情報)
さて、僕の実家からこの高山社までは歩いて約1時間。途中に三名湖という小さな湖があります。
ここは平地と山の境目に作られた人造湖なのですが、このあたりでは有名な釣りのメッカらしく、休日ともなるとご覧の通り。
でも奥のほうまで深い入江がいくつもあって、なかなか人造湖っぽくないんですよ。
この三名湖の横をすぎてさらに進むと、いよいよ山が目の前に迫ってきます。
いい感じの里山ですね。
この先を進むと高山社です。
2年前(2014年)の1月にここに来た時はこの看板にはまだ「世界遺産候補」と書いてありました。
微妙に消した感がありますよね。
その年の6月くらいでしょうか、晴れて世界遺産登録されたのは。
この日は4月16日。ちょっと遅めの里山の春ですね。
世界遺産に登録される前はホントに何もないところだったのですが、だんだん整備もされてきて真新しい高山社情報館という施設もできていました。
ま、非常にささやかな資料館でしたが。
(ちなみに冒頭で紹介したカイコとか繭の作りものはこの資料館にありました)
高山社情報館の前にあった銅像。
これが高山社を設立した高山長五郎さん。
実にシンプルな高山社跡
ここから林の中のにできた遊歩道を進むと、いよいよ見えてきました、高山社跡。
まだまだ整備の途中のようで、入口の正門は改築工事中でした。
入場料は無料で、中ではボランティアのおじさんたちがこれまた無料でガイドしてくれるようです。
この建物が母屋兼蚕室だったもの。
通気をよくし、温度、換気の管理・調節をするための3つの小屋根が特徴的です。
中に入ってみましたが、うーん、実にシンプル。
うーん、実に地味。
間違っても「うわー」とか、「きゃー」とか歓声が上がるようなものはありません。
世界遺産、と聞いて「すんごいものがあるんだろうなー」と思って来ると、『世界三大がっかり名所』以上にがっかりします。
あくまでも、明治日本の殖産興業についての卒論を書こうと思っている東京大学文学部日本史学科の学生とか、教師生活25年、いまだに勉学のために独身を貫いている埼玉の高校社会科教諭、町田順平(仮名・47歳)のような方々向けの遺産かと思われます。
それでも旗を持ったガイドさんに導かれて時々団体マダムが来たりするのです。
すごいなー、このマダムたちみんな東大文学部なんだろうか?
世界遺産って、魔法のようなブランドなんですね。
この史跡、おそらく僕が子供のころにもあったんだと思いますが、市民でさえほとんど誰も知らなかったと思いますよ。
もちろんわざわざここまで来るなんてこと、ありませんでした。
ブームが去ってしまえば、またもとのとおり時代から取り残されてしまったような静かな史跡に戻るのかもしれませんが、当面は富岡製糸場のついでに行っちゃった「日本で一番地味な世界遺産」として語り継がれる場所となるのかもしれません。
でも「ちょっといい感じの里山」として訪れるなら、なかなかお勧めですよ。
<2016年4月16日訪問>
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高山社への旅
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