上毛電気鉄道(上毛電鉄)は群馬県の東端にある桐生市(西桐生駅)から県央の前橋市(中央前橋駅)まで約25kmを結ぶ私鉄。
僕は高校を卒業するまで群馬に住んでいたのですが、同じ県内でも東側と西側では生活圏が違っていたせいか(ちなみに僕は西側でした)、この電車には一度も乗ったことがなかったのです。
きっと車窓にすごい絶景があるでもなく、関東平野の北端あたりの何の変哲もない田園地帯を走るだけなんだろうな、と思っていましたが、乗ってみたらいろんな意味でなかなかスゴイな鉄道だったというお話です。
西桐生駅の教会みたいな静粛さがスゴイ!
上毛電鉄の東側の起点は西桐生駅。「西」桐生という名前ですが別に西にあるわけではなく、JRの桐生駅から徒歩5分ほど北にあるだけです。
ただ桐生は多くの鉄道が乗り入れているわりには市街地の駅が全部バラバラでとても不便。JRとわたらせ渓谷鉄道が「桐生駅」、東武鉄道が「新桐生駅」、そしてこの上毛電鉄が「西桐生駅」で全部場所が離れています。どーにかせいや!
しかしその中で1番カッコいいのは、この西桐生駅。
どーですか、この威風堂々たるスカスカさ!
1928年の上毛電鉄開業時に建設され、今もそのまま残る昭和初期のモダンな洋風駅舎が素晴らしいのはもちろんなのですが、この潔いまでの何もなさも素晴らしい。
待合室も広々としている上に天井が高いもんだから、まるで教会にいるみたいですよ(個人の感想です)!
そんなわけでこの駅「関東の駅100選」かつ国の登録有形文化財となっています。
季節のイベント列車がスゴイ!
上毛電鉄は地方の小さな私鉄なので、自社で車両を開発する資金力にも乏しいため、他の路線を走っていたいわゆる「おさがり車両」で運行されています。
そのかわり季節の行事や地域企業とのタイアップによるイベント列車を積極的に走らせているイメージがあります。
車内、めっちゃサンタ!(クリスマストレイン)
車内、めっちゃ短冊!(七夕祭り号) ※めっちゃ自転車についてはあとで説明します
このほか「ぐんまちゃん列車」や「水族館列車」なるものもあるみたいですよ。
上毛電鉄サイクルトレインがスゴイ!
この上毛電鉄、自転車のまま乗車できるんです!
このシステムは「サイクルトレイン」と呼ばれていますが、基本、平日朝のラッシュ時以外はほぼ自転車持ち込み可能なようです。
そんなわけで特に土日の昼間などは部活に出かける高校生や買い物の奧さま、パチンコにいくおとーさんと一緒に、チャリンコがバンバン乗ってきます。
駐輪場かよっ!
都会の方には信じられないかもしれませんが(僕も今は都会の方ですが)、これが地方鉄道が生き残るための涙ぐましい努力の現状です。
上毛電鉄の主要駅には無料のレンタサイクルもありますので、自転車に優しい鉄道会社なんですね。
赤城山の眺望がスゴイ!
上毛電鉄は下の路線図の通り、ほぼ全線で東西に長い裾野を持つ赤城山に沿って走っています。
西桐生から乗車すると、まさにその名の通り「赤城駅」の手前あたりから正面に赤城山がどどーんとそびえはじめます。
やがて北の方角に長い裾野を持った赤城連山が姿を現し、終点の中央前橋まで、ほぼ列車に寄り添うように窓の外を流れてゆきます。
途中、上毛電鉄の沿線で、西桐生と中央前橋以外で最も大きいのは「大胡(おおご)駅」。ここには上毛電鉄の車両基地があります。
この「大胡電車庫」は昭和3年の開業当時に建築され、今も当時の姿を残す希少な建造物の一つとして現在は国の登録有形文化財に登録されています。
建物だけではなく、中には機械室や希少な車両や電気機関車、貨車なども展示していて、希望者は車庫見学をすることもできるようです。
「中央前橋駅」の異次元っぽさがスゴイ!
上毛電鉄の西の起点は「中央前橋駅」。
前橋と言えば、群馬県の県庁所在地。駅舎もモダンで新しくて立派です。
が、すぐその横を見るとこんな状態。
えー、中央前橋の隣にこんなビルがあったらダメだろ、前橋市!
しかも向かいの交差点にはででーんと「遊女」ビル!
いいじゃないか、もとい、ダメじゃないか前橋市!
県都の顔の駅前にこれは刺激的過ぎますな。
この駅前の閑散さ、駅前一等地(のはずの)左側のビル。
前橋は、全国の県庁所在地の中で一番地価が安い、といわれますが、それも仕方ないかな、という感じでした。
そのまま中心商店街を歩いてみます。
朝なのでもちろん人通りが少ないのは仕方がないのですが、それでもちょっと寂れてる感、ありました。
僕も群馬の出身なので、前橋の衰退はあまりうれしいことではありません。わりとテキトーなことを言ってるように見えますが、頑張ってほしいと思っています。
番外編)白井屋ホテル
そんな中、僕が以前から前橋で唯一(失礼…)気になっていた「白井屋ホテル」の前を偶然通りました。
ここはもともと300年の歴史を持つ旧宮内庁御用達の老舗「白井屋旅館」だったのですが、2008年に廃業。マンション業者に跡地が売り出されることにより街の景観などが損なわれることを危惧した市内経済・文化関係者の有志が、前橋市の町おこしを兼ねてこの旅館を再生させるプロジェクトを立ちあげてできたホテルなのです。
国内外のアーティストが手掛けた客室が特色で、群馬なのにめっちゃおしゃれ!(失礼…)
ここなら自信を持って女子を群馬に誘えそう。むしろ
群馬にこんな素敵なところがあるなんて知らなかったわ。
あなたにはどうしてそんなに多くの引き出しがあるの?
的なリスペクトを受けること間違いなしです!
このホテルが前橋再生の起爆剤になればいいですね(いろいろ言ってるけど、群馬応援してます、はい)
<2013年7月/2021年11月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
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