佐渡の宿根木(しゅくねぎ)集落は、佐渡金山が栄えた頃から北前船の寄港地として発展した小木港近くの集落。
迷路のような路地に100棟を超える板壁の民家が密集し、船大工の技術が結集した町並は、国の重要伝統的建造物群保存地区となっていますが、僕にとってここは「寅さん」と「吉永小百合」さんの場所なのです。
そんなわけで小百合のごとき美熟女と細い路地をさまよい、寅さんのごとくマドンナとたらい舟に乗ろうと向かったのですが・・・
船大工の町並み「宿根木」
「宿根木」と聞いても「どこ?そこ」という方がほとんどかと思いますが、このCMをご覧になった方は多いのではないでしょうか?
これはおなじみ、JR東日本「大人の休日倶楽部」の佐渡編。
江戸時代に船大工が作り上げたという不思議な町並みを、吉永小百合さんが時に迷いながら歩くシーンが描かれています。
そんな宿根木は佐渡の最南端の静かな入り江にある小さな集落。新潟の直江津まで連絡船が出ている小木港からバスで10分ほどの場所にあります。
海から少し内陸側に入ると、集落への入口となる路地があり、そこから迷路のような宿根木の町並みが続いています。
集落を流れる称光寺川と平行して数本の小路が海へ向かい、それに面して狭い土地に家屋が肩を寄せ合い建っていて、約1ヘクタールの土地に110棟もの建造物が密集する集落です。
北前航路の寄港地として栄えた小木港に近い宿根木には、中世の頃から廻船業を営む者が居住し、佐渡の富の三分の一を集めたと言われるほど栄えたのだそうです。宿根木には船主や船乗りのほか、船大工や造船技術者が居住していたため、ここの建物の外壁には船板や船釘を使ったものもあり、千石船の面影をしのぶことができる町並みとしても知られています。
これが宿根木の密集度と迷宮度、確かにすごいですね。
小百合も迷った「三角家」
その宿根木で最も有名な建物がこれ。
通称、「三角家(さんかくや)」。
狭い路地の形状に合わせて三角形に建てられた家で、建物の形から舟形の家とも呼ばれています。
小百合もこの三角家の前でウロウロ迷ってましたが、たしかに途中でこんな分かれ道が出てきたら、迷路みたいでどっちに行ったらいいかわからないですよね。
迷路のような道をさらに進むと「宿根木公会堂」と書かれた建物がありました。
ここは集落の様々な行事で使用される芝居小屋形式の集会施設のようですが、この日もなにかイベントの準備真っ最中でした。
宿根木でもうひとつ有名なのは、復元された千石船の「白山丸」。
「佐渡国小木民俗博物館」というところにあるようなので、何となくこの奥あたりかな、と歩いて行ってみたのですが、どうやら違ったらしく、称光寺というお寺で突き当たってしまいました。
実際は宿根木の集落の奧から階段を登った高台にあったようなのですが、残念ながらこの日はバスの関係で滞在が1時間と短く、ちょっと時間が足りませんでした。
ということで参考までにこんな感じのものだそうです。
そのあとも迷路のような道をズンズン歩きます。
小百合みたいに迷っているおひとりさま熟女がいたらバスの時間とか関係なく、大人の休日をエスコートしてもいいかな、と思っていたのですが、知らないうちに一人で道に迷って高台に出てしまいました。
狭い土地を精一杯使って肩を寄せ合っているように見えますね。なんとなく同じ新潟の出雲崎を思い出しました。
寅さんも乗った「たらい舟」
宿根木からバスで小木の港へと戻ったのですが、途中の小木の商店街もかなりいい味出てました。
バスで通過しちゃったのでGoogle先生の画像を借りましたが、ここはまたいつかゆっくり歩いてみたい道でした。
そしてここが小木港のフェリーターミナル。
この小木は、「男はつらいよ」第31作「旅と女と寅次郎」の舞台となった場所。
「旅と女と寅次郎」・・・いいタイトルですね!
「寅次郎」を「風祭」に変えても全然違和感ないですもんね!
寅さんはこの佐渡で、人気歌手ゆえに私生活と仕事の板挟みで何もかも投げ出したくなって、失踪したの演歌歌手「京はるみ」(マドンナ:都はるみ)と出会ってつかの間の旅を楽しむ物語です。
港のすぐわきにある「山本屋みやげ店」。
上の予告編にも出てきますが、寅さんとはるみのお別れのシーンはこのお店の2階にあった食堂で撮影されたのですが、パチパチと写真を撮っている僕を、港のおじいさんに珍しそうに眺めていました。
映画の中では、小木の名物「たらい舟」にふたりで楽しそうに乗っているシーンがあって、一度僕も乗ってみたかったのです。
たらい舟は、文字通り、たらいを船の代わりに用いたもの。
もともとは漁業用に使われていたもので、小木海岸線一帯の無数の岩礁と小さな入り江で採れるアワビやサザエなどの貝類やワカメなどの海藻を収穫するため、小回りの利く小型船がわりに考案されたものだと言います。
僕も寅さんみたいに仕事と私生活に疲れた都会の女子と偶然出会えればよかったのですが、宿根木の熟女にさえ巡り合えず、どうやら一人で乗るしかなさそうです。
そんなわけで意を決してたらい舟の乗り場に行ってみると、小さなたらいに乗っているのは楽しそうなカップル。
この瞬間、たらい舟はリベンジ案件になることが決定しました。
でもいいですね。
こんな感じで好きな人とふたりでたらい舟に揺られるの、楽しそうだもんね。
またまだ頑張らないと!「旅と女と風祭!」
<2021年5月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
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