最果ての町、稚内。
サロベツ原野を延々と駆け抜けた列車で稚内駅に一人で降りたって、強烈に淋しさを感じたことがある方も少なくないのではないでしょうか?
そこでたった一人で稚内に行き、そのたびに「ここに港の女がいればなあ」と思うこと12回くらいの僕が、この最果ての町でのひとり遊びの過ごし方をお教えします。
日本で一番港の女が恋しい町
稚内駅ほど、降り立った瞬間にそこはかとなく淋しさを感じる町はありません。
やっぱり辺境感がハンパないんですね、ここ。
稚内駅前にはもちろん町らしきものはありますが、市街地のすぐ向こうに宗谷岬から宗谷山地へとつづく荒涼とした崖があって、いつも風が強くて大気が不安定なイメージだからでしょうか。
稚内に来るとみんなさびしくなっちゃうんだと思うけど、駅前を歩いているとよくひとり旅の男子に声かけられるのよね
ずっと昔、稚内で知り合った女の子がそんなことを言ってましたが、僕にはその男子たちの気持ち、よくわかります。
そう、確かにここは日本全国どの町よりも、港の女がほしい町なのです。
えっ、その女の子、今はどうしてるかって?
いやいや今回はそういう話ではありません。むしろせっかく稚内に来たのなら、港の女なんかいなくても、ひとり旅の淋しさを、200%満喫したほうがいいよ、というお話なので。
最終列車で到着してみる
稚内は宗谷本線の終点。年を追うごとに列車の本数は少なくなり、今や稚内にやってくる列車は1日にたった6本しかありませんが、最終の特急列車の到着はなんと夜中の0時ちょっと前。
最上級の淋しさを感じたいなら、この列車で到着することをおすすめします。
夕方6時を過ぎるとすでにがらんとしている駅前ですが、時々列車が遅れて0時過ぎここに到着したりすると、何の罰ゲームだよっ!っていうくらいに淋しさを満喫できます。
稚内のキャラクターの「(間宮)りんぞうくん」が駅構内でピースとかして出迎えてくれますが、余計にムカつく感じがたまりません。
稚内でのおすすめ宿泊ホテル
稚内でのおすすめホテルは駅から徒歩5分のドーミーイン稚内。
ビジネスホテルですが比較的新しくて小ぎれいで、最上階に天北の湯と名付けられた天然温泉の露天風呂もあります。
おまけにここは「いくらかけごはん食べ放題」ができる朝食ブッフェがあるので、寝不足のまま朝の露天風呂に入って、こんな感じでいくらとかサケとか甘エビと言った海鮮ネタをどどーんと食べれば淋しさは少しの間だけ吹き飛びますよ。
稚内駅のすぐ裏には市内随一のシティホテル「サフィールホテル稚内」もありますが、ここはひとり旅ではいただけない。
かつては稚内全日空ホテルだったこのホテルからの眺望はこれ!
上層階からは稚内港や稚内市街が一望できる窓辺好きカップル仕様ですので、あえて逆張りで淋しさを倍増させたいとき以外はおすすめしません。
このほか市内には「ホテルサハリン」というなんとも素敵なネーミングのホテルがありますが、残念ながら僕は泊まったことありません。
ひとり旅にはふさわしい場所のようには思えますが、一周回って楽しすぎて淋しさが消えてしまう懸念もありますね。
稚内の市街地を散策
稚内観光と言えば定番の「宗谷岬」や最近話題の「宗谷の白い道」が有名ですが、ひとり旅ではそんなキラキラした場所に行ってはいけません。
稚内の市街地を中心に気軽に行けるところをおすすめします。
その筆頭は、駅前の北防波堤ドーム(きたぼうはていドーム)。
ここは戦前、樺太と稚内を結んでいた連絡航路の桟橋から稚内駅までの通路を荒波から防御するために作られたもの。
♪ようこそここへ 遊ぼうよパラダイス
胸の林檎 剥いて~
そんな感じで「パラダイス銀河」でも唄いながら、ローラースケートでこの直線を爆走したいところですが、隣で喜んでくれる女子がいないのが淋しさをマシマシにしてくれます。
稚内駅の近くにある中央商店街。
昼なお閑散としたこの静けさの中での散策こそ、最果てひとり旅の醍醐味。
ときどき現れるロシア語を解読してみたり、マトリョーシカにほっこりしてみたりするのもおすすめです。
稚内のB級グルメ「チャーメン」と夜の繁華街
散策の途中でお腹がすいたら稚内のソウルフード「チャーメン」を食べてみてください。
海鮮や野菜などの具をふんだんに使ったあんかけ焼きそばのように見えますが、中華麺を茹でたあとにフライパンで焼いたり揚げたりして焼き色を付けているところが違うのだそうです。
これならおひとり様でも堂々と行けますね。運がよければ隣で稚内女子がふーふー言いながらひとりでチャーメンを味わっているかもしれません(わりとそういうシーン、多いです)
ちなみに稚内にも夜の繁華街はありますが、稚内駅(稚内の人は「中央」と呼ぶ)ではなく南稚内駅(稚内の人は「南」と呼ぶ)のほうが賑わっています。
なかなか一人では入りにくいかもしれませんが、その時のあなたの運次第で、淋しさ200%にも満足度200%にもなりえると思います。
稚内公園で寂寥感MAXを味わう
最後に駅から少し離れますが、徒歩でも行ける稚内公園をご紹介します。
稚内公園があるのは稚内市街のすぐ裏に聳える急峻な山の上。
風祭説では、ここが風を遮るため、いつも稚内の天気は変わりやすいのだ、とされている場所にあります。
稚内公園の象徴「氷雪の門」。
これはかつて日本領土だった樺太(サハリン)で亡くなった日本人のための慰霊碑。
「氷雪の門」って札幌のススキノにでかいカニ料理屋があるけど、ここが由来だったのか!と気づいてまた淋しさを感じられることでしょう。
氷雪の門の脇にあるのが、9人の乙女の像。
皆さん これが最後です
さようなら さようなら
なんだか知覧の特攻記念館にでもあるような悲しい碑文ですが、これは太平洋戦争末期、ソ連軍の侵攻を受けて樺太にあった真岡郵便局で自決した9人の電話交換手の女性を鎮魂するために建てられたもので、北のひめゆりの塔、とも言うべきもの。
・・・寂寥感200%ですね。
こんな事実を知らずにススキノでおねーちゃんとカニなんか食ってる場合じゃねーぞ、とあなたもきっと猛省することでしょう。
しかし稚内公園から眺める稚内港の北防波堤ドームは得も言われぬ美しさ。
そしてここで必ずと言っていいほど出会うのは、エゾシカさんチーム。
稚内はホントにシカ多いんだよ。町の中にもふつーにウロウロしてるから
以前、稚内に遊びに行く、と言っていた女子にそんな話をしたら
なんか稚内には奈良公園並みにシカがいるって聞いてたけど、それほどでもなかった
とクレームを受けたことがありましたが、誰もそんなことは言ってません。次回はぜひ稚内公園に行ってほしいものです。
公園内には稚内市街を一望するスポットがあって、絶景空中ブランコなんかもありました。
旅の終わりにこのブランコに一人乗って、稚内市街や遠く樺太方面を見下ろせば寂寥感MAXになること間違いありません。
<2018年、2019年訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
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稚内への旅
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