博多から電車で約20分ほどの場所に、世界最大級のお釈迦様が寝ているんだそうです。
それが福岡県篠栗町の南蔵院にある涅槃像(ねはんぞう)で、愛称は「ねぼとけさん」。
「ねぼとけさん」だなんて、なんだかセクシー!とか思っていたのですが、これはそういう煩悩とは正反対の姿で、お釈迦様がすべての輪廻から解放され、入滅(仏様の死)を迎える前の状態なんだそうです。たいへん失礼しました。
そんなわけで、僕も煩悩から解脱するためにねぼとけさんに会いに行ってみたお話です。
南蔵院は実は風紀に厳しかった
南蔵院の最寄り駅は博多からJR篠栗線(福北ゆたか線)の快速で約20~25分の場所にある「城戸南蔵院前」駅。
駅名のとおり、この駅は南蔵院のほぼ目の前にあり、入口までは歩いてすぐ。
駅を出て、国道201号との交差点に差し掛かると、すぐ目の前に南蔵院の入口が見えてきます。
南蔵院は篠栗四国霊場の総本寺で第1番の札所。高野山真言宗の別格本山でもあります。
篠栗四国霊場とは、空海(弘法大師)を拝する八十八か所の霊場のことで、四国のお遍路さんと同じく、八十八ヶ所すべてを巡ると願いが叶うといわれ「日本三大新四国霊場」のひとつとされています。
そんな由緒正しい南蔵院だけあって、なかなか風紀に厳しい。
まあ神聖なる宗教施設なので、当然と言えば当然ですが、そんなにムダにセクシーな拝観者とか多かったんでしょうか?
聞くところによると、かつて外国人の団体が、ねぼとけさんの前で音楽をかけて踊ったり、屋根の上に載って写真撮ったりしたこともあり、現在も8名以上の団体参拝は事前予約制となっていて、外国人は日本語の通訳がいないとNGのようです。
たしかにそりゃあかんわ。ねぼとけさんはセクシーとか、パリピとかとは正反対のお姿なんだぞ!
そんなわけで、南蔵院本堂の周辺は写真撮影禁止になっている場所も多いイメージでした。
南蔵院は実は金運パワースポットでもあった!
南蔵院の本堂側から涅槃像へ行く場合、七福神トンネルという謎のトンネルをくぐることになります。
トンネルの中央部には七福神さま。
何やら縁起がよさそうな雰囲気に満ちているのですが、それもそのはず、この南蔵院のご住職は、なんと1995年(奇しくも涅槃像建立の年)に宝くじで1億3千万円に当選したのだそうです。
トンネルの先にある大黒堂にはその際に奉納した大黒天さまが祀られていて、宝くじに関係するお守りなどが置いてあり、金運パワースポットにもなっているのだそうです。
宝くじに当選して、金運グッズも売れに売れて、笑いが止まりませんな、南蔵院!※実際は当選金の多くを福祉事業に寄付したそうです
ちなみに僕の写した大黒堂と恵比寿堂は、あとからみたらこんなんなってました。金運なさそう。
そして「ねぼとけさん」とご対面
特に金運を上げに来たのではないので、気にせず先に進みます。
やがてねぼとけさんの案内が出てきます。
南蔵院本堂周辺の厳格さに比べると、かなりゆるい感じです。
左手に月華殿納骨堂を見ながらまっすく進むと、仲見世通りと呼ばれるお土産屋さんの並ぶ通りがあります。
こっちのほうは少し観光地っぽくなってきましたね。
仲見世通りの先の階段を上ると、いよいよ涅槃像とご対面。
おおお、セクシー!じゃなかった、神聖なる入滅のお姿!
朝イチだったせいか、観光客の姿はまだあまりありません。
お釈迦さまは男性でも女性でもない、と言われていますが、このねぼとけさんは、女性的な美しいお顔ですね。
ねぼとけさんの足の裏
ねぼとけさんの正式名称は「釈迦涅槃像(しゃかねはんぞう)」で1995年建立。全長41メートル、高さ11メートル、重さ300トンで、ブロンズ製では世界最大級の涅槃像です。
涅槃像は、すべての煩悩が消え、すべての苦がなくなった状態で、最も悟りを開いている高度な状態で亡くなる前の最後の説法をしている姿なのだといいます。
南蔵院は、長年ミャンマーやネパールなどの子供たちに医薬品や文房具などを贈っていたのですが、その返礼としてミャンマー国仏教会議から譲り受けた仏舎利(釈迦の遺骨)を安置する場所として、この釈迦涅槃像が建立されたのです。
ねぼとけさんの体内にはその仏舎利の間があり、体内参拝もできるようになっているのですが、この日は工事中で入れず。体内参拝では、四国八十八箇所のお砂踏みもできるみたいだったので、やってみたかったけど残念。
ねぼとけさんの巨大な足の裏には紋様が彫られています。
これは仏足といい、お釈迦様の足跡を石に刻んだもので、ここも礼拝対象となっています。
足つぼみたいに押したらねぼとけさんも気持ちよさそうなので、自分の開運も兼ねて念入りにマッサージしておきました。1億3千万円当たれ!
と、煩悩にまみれたことをときどき思ったりしますが、ここは祈りを捧げる神聖な場所。
ねぼとけさんのお顔を眺めながら、じっくり人生について語り合う、穏やかな時間を過ごすにはいい場所だと思いました。
<2023年11月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
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