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大久野島を語るとき、必ず枕詞のようについてまわる二つの単語があります。
それは「ウサギ」と「毒ガス」。
ときどき、それに「地図から消された島」なんて説明が加えられることもあります。
大久野島は、今でこそリゾートみたいな国民休暇村もあるし、数百匹ものウサギが飛び跳ねてるし、それを目当てにやってくるファミリーであふれてるし、なんとも平和この上ない島ですが、戦争中は日本軍がここで人知れず戦闘用の毒ガスを製造していたこともあり、地図にも書かれていなかった、平和とは正反対の島でした。
「ウサギ」と「毒ガス」というまるで正反対のふたつの枕詞を持つ不思議な場所ですから、当然のようにいつか行ってみたいと思っていた島でした。
到着するといきなり「ウサギ軍団」
大久野島には、JR呉線の忠海(ただのうみ)駅で降りてすぐの港からフェリーで渡ります。
忠海駅の看板。
ウサギはあっても、さすがに毒ガスのことは書かれていません。
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駅を出て国道沿いをちょっと歩き、右に曲がると、フェリー乗り場があります。徒歩5分くらいでしょうか。
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フェリーは大久野島を経由して、しまなみ海道の大三島、盛港まで運航しています。
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午後2時過ぎの船だったのですが、家族連れ、カップルが結構たくさん乗り込みます。
この時間から出かけて、日帰りで帰ってくるのはきっと僕くらいのもので、みんな休暇村に宿泊するのでしょう。
出航すると15分ほどで、あっという間に大久野島到着です。
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フェリーに接続して休暇村の無料シャトルバスが待っています。
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これには宿泊者以外でも乗れるのですが、混んでいたので島内をブラブラ歩きます。
島の中心地、休暇村までは歩いて行っても10~15分くらいで着くはずです。
歩き始めると、いきなりウサギ発見!
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このキャベツはウサギ用の餌として売られているものですが、僕があげたものではありません、はい。
僕があげなくても家族連れの子供たちがたーくさんあげてますから。
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うわっ、うわうわ。
めっちゃ出てきた!
聞きしに勝るウサギ軍団です。
ウサギ天国、休暇村大久野島
やがて島の南側の海岸沿いに出て、ビジターセンターが見えてくると、少し開けた一帯となります。
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島の中心となるのは、休暇村大久野島。
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大久野島には民家はないと思うので、ここは島で唯一人がいる場所。
このあたりは人も多いので、必然的にウサギも群れています。
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彼ら(彼女ら)は非常に人間に慣れていて、人が近づいていくとこうやって餌をおねだりしてきます。
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しかしこんな平和な風景のすぐ横に、その施設があります。
大久野島毒ガス資料館。
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ここには見てみたかったのですが、なんとこの日から年末年始でお休みでした、残念。
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そしてここから先は、これまでの平和な空気とはうって変わって毒ガスや戦争関係の施設跡が続くことになるのでした。
大久野島一周は、毒ガスと戦跡めぐり
休暇村大久野島から先は人もウサギもグッと少なくなりますが、周囲4.3キロの小さな島なのでぐるっと一周してみたいと思います。
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しばらくは休暇村関連の施設が海岸に沿って続くものの、なんとなく荒涼とした雰囲気になってきます。
そんな中、休暇村の裏手あたりにまず現れるのが、三軒家毒ガス貯蔵庫跡。
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ここには猛毒で皮膚がただれる、びらん性毒ガス「イペリット」が貯蔵されていました・・・って
説明聞くだけで恐ろしや。
途中に小さめの毒ガス貯蔵庫もあるのですが、もっとも大きいのは長浦毒ガス貯蔵庫跡。
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残念ながら、中は立ち入り禁止ですが、結構ヘヴィーな感じです。
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うーん、こんな負の史跡ばっかりで気が滅入るなあ、と思っているとまた現れましたウサギさんチーム。
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さすがに今までのような大群はいませんが、廃墟の前にも、ときどきこうやって現れます。
そんでもってここまでやってくる人間は少ないので、ちょっと僕が通りかかるだけでみんなワサワサと寄ってきて、かなり餌を期待されちゃってる感じなんですが、ないものはないのです。
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島の高台は、ラピュタの世界
島の北のほうのちょっと高台に登ったところにあるのが、北部砲台跡。
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毒ガス工場とは別に、この島は芸予要塞大久野島保塁なんちゃら、と言って、日露戦争の頃から海上保安のための大砲が設置されていたそうです。
ここから坂道を上ると、島の頂上である中部砲台跡と展望台に行けるようなので、結構長い階段を上ります。
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頂上付近の比較的平らなところに中部砲台跡がありました。
和歌山にある友が島、最近では横須賀の猿島が、よく「天空の城ラピュタ」っぽいと言われていますが、写真をみるとこんな感じですよね。
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どっちもレンガ造りの砲台跡の弾薬庫がそういわれているようですので、きっとこれも同じくラピュタなのでしょう。
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大久野島の砲台跡は、最も完全な形を残しているらしく、たしかにそんなに朽ち果てた感じはしませんでした。
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展望台から東の方に向けて坂を下ると、フェリー桟橋まで行けるようになっています。
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坂を下りきったところあたりにあるのが、発電所跡。
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これもいい感じで軍艦島っぽい姿になっています。
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しかし、こんなところにも奴等がいるのです。
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そういえばこのウサギ軍団、一説には毒ガス実験で使われていたウサギたちの生き残りだ、などというまことしやかな噂もありますが、どうやらそれは違うらしく、40年以上前に本土の忠海小学校で飼っていたウサギ8匹をここで放したら、それが繁殖して、今は700匹を越える数になっているということです。
発電所跡からは1、2分でフェリー乗り場に着きました。
帰りは休暇村が運航している小さな客船でした。
2時間で島内を一周した感じですが、僕にはちょうどいいペースでした。
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ウサギのち毒ガス、ときどきラピュタ、ところによりまたウサギ。
大久野島はそんなシュールでクールな島でした。
<2014年12月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
大久野島の基本情報
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