「延楽」といえば富山県の宇奈月温泉を代表する老舗の名旅館。
ということでここは極めて正統派で重厚で高貴かつコンサバティブな旅館なのですが、1つだけナナメ上行っちゃってるサービスがあるんです。
しかもそれを僕の知ってる「しゃちょー」自らが仕切っちゃってるという話なので、これは行かないわけにはいかんでしょ。
延楽は文人墨客に愛された宇奈月温泉の老舗
宇奈月の延楽といえば宇奈月温泉の発展とともに歩んできた老舗旅館。
その黒部の雄大な峡谷美や料理の素晴らしさから多くの文人墨客に愛された宇奈月温泉のシンボル的な旅館となっています。
例えばこれが僕が泊まったお部屋。
これが料理。
客室からは黒部の山々や渓谷が正面に見えるのですが、この延楽は露天風呂からの眺めが特に素晴らしいのです。
それはまるで細長い額縁の中に描かれた絵画のような美しさ。
さて、僕がそんな延楽にやってきたのは理由があるのです。
それはこの延楽の館主(社長)が案内してくれる約1時間の宇奈月温泉早朝散策がかなり面白い!と聞いていたから。
実は僕は昔、この延楽の社長が専務時代に仕事でお世話になったのですが、大人しくて人のよさそうなあのしゃちょーがホントにそんなに面白いことやるのか?と信じられなかったのです。
そんなわけで、たぶんしゃちょーは僕のことなんか覚えていないだろう、と踏んでふつーの一般客として宿泊し、しれっと翌朝の早朝散策に参加してみたのでした。
いざ、延楽名物「宇奈月温泉早朝ウォーキング」へ
翌朝集まった参加者は僕たち家族を含め10人ちょっと。
社長は自分の身分を明かすことはせず、日本全国どこにでもいそうなボランティアガイドのおぢさん風にふらっと現れたのですが、おそらく出張などで不在時以外は毎朝、自ら宿泊客をガイドして宇奈月温泉の魅力を伝えているのだと思います。
宇奈月の温泉街を歩きはじめると
「まずは温泉街の街灯にご注目ください」
としゃちょー。
おおおおお、トロッコ走ってるやん!
これでいきなり参加者の心をわしづかみ。
よくある社長オーラ的なものはまったくなく、人のよさそうな顔して淡々としゃべるのですが、この話の内容が「へぇ~~~」×3という感じなのです。
日中は見られない早朝トロッコも
早朝の富山地鉄宇奈月温泉駅。
このガイドツアーのメンバー以外の人影は、まだありません。
ところどころでガイドをしながら、黒部峡谷鉄道の宇奈月駅も越え、トロッコ列車の線路沿いをしばらく歩くと、やがてかつての黒部峡谷鉄道の線路跡を利用した遊歩道へ。
「山彦橋」と呼ばれるかつてのトロッコ列車の鉄橋だった場所は、現在の黒部峡谷鉄道の鉄橋を眺める絶好のロケーション。
始発の建設関係者向けの専用列車がちょうど通りかかります。
しゃちょー、こうした時間もちゃんと計算してコース選定してるんですね。
鉄橋を越えて対岸に渡り、さらに山肌にへばりつくように登っていくトロッコ列車まで、はっきりと見ることができます。
謎のトンネル体験も?
さらにしゃちょーは旧黒部峡谷鉄道のトンネルに入っていきます。
ここは遊歩道として整備されていて、この先をずっと進むと宇奈月ダムの展望台まで行けるようですが、時間がないのでそこまでは行かず、途中で折り返します。
ただ、このトンネル跡、単なる遊歩道になっているだけではなく、冬場は宇奈月から先に向かう唯一の道になるというのです。
深い谷が続く黒部峡谷には車が通行できるような道がないため、もともとは電源開発のための鉄道として開通したのが黒部峡谷鉄道でした。そのためこのトロッコ列車は観光用途以外にも、ダム関係者の足としての役割があるのですが、雪深い11月末から4月末までの期間は全線が運休となり、宇奈月から先の足が閉ざされます。
しかし冬であっても発電は1年を通して24時間行われているため、万一のトラブルの際にも常に作業員が行き来できる道が必要であり、こうしたトンネル歩道が整備されているのです。
遊歩道がトンネルの外に出る直前にその名も「冬期歩道」と呼ばれる歩行者専用(人ひとりが歩けるようなサイズ)のコンクリート製のシェルターが。
ちょっと歩くの怖そうですね。。。
尋常ではない雪深さと頻繁に起こる雪崩ゆえ、冬の黒部の外は歩けないため、現在もトンネル区間を除き、黒部峡谷鉄道のほぼ全線にわたって線路沿いにこうした冬期歩道が作られ、関係者がダムや発電所との間を徒歩で移動できるようになっています。
ちなみに宇奈月から欅平までの約20キロ、この冬期歩道を使って歩くと約6時間かかるそうです。
黒部の自然環境、やっぱり厳しいなあ。
終わり方も見事ですな、しゃちょー
再び山彦橋付近に戻ってくると、またまた珍しい列車を発見!
これ、わかりますか?
トロッコが車とかフォークリフトみたいな重機を運んでいるんです。
まさに黒部峡谷鉄道が電源開発用の鉄道でもある、ということがよくわかりますよね。
もちろん普通の時刻表には乗っていない、朝の時間帯だけの臨時列車なのでしょう。
おもろいなー、朝の宇奈月散策!
こうして朝の時間はあっという間に過ぎて、もうすぐ1時間になろうかというのにしゃちょーはどんどん野原の奥へと進みます。
のんきに草の葉っぱとかとっちゃって、匂いをかがせてくれたりするんですが、しゃちょー、もうすぐ1時間ですよ!
そろそろ朝食食べないとトロッコ列車に間に合わないんですがー
と思っていたら、野原の先の空き地に延楽さんの送迎車が待っているではないですか!
なかなかやるおるな、しゃちょー。
マイリマシタ。
早朝散策が終わって、部屋に戻る前に挨拶したら
「どうりでどこかで見たことある顔だと思った!」
とのことでした。
ということでしゃちょー、このネタ、いろんなところで使わせていただいてます(笑)
<2016年8月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
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