「チャグチャグ馬コ」は毎年6月の第2土曜日に行われる南部盛岡の伝統行事。
100頭ほどの馬があでやかに飾り付けられ、滝沢市の蒼前神社から盛岡市の八幡宮まで14キロの道のりを行進するお祭で、馬につけられた鈴が歩くたびに「チャング チャング」と鳴るのでこんな名前になったのだといわれています。
それは僕がずっと前から見たいと思っていて、そして期待通りとてもエモい伝統行事でした。
チャグチャグ馬コのスタートは「鬼越蒼前神社」
長年の念願かなってとうとうやってきました、チャグチャグ馬コ(うまっこ)。
おおお、もうこのポスター見ただけでなんだかこの娘っこのおとーさん的な気分になってウルウル来ちゃうよー
そんなわけで盛岡駅前は、朝からチャグチャグ馬コ一色。
・・・というほどでもなかったですが、ま、そのうち盛り上がってくるでしょ。
盛岡駅前からスタート地点の鬼越蒼前(おにこしそうぜん)神社までは無料のシャトルバスが出ていたので、それに乗ってやってきたところ、神社前の駐車場に馬コがたくさんいます。
「愛馬」っていうネームプレートがいいですね。
おとーさん、これ見ただけでまたウルウル。馬は飼ったことないけどね。
(ちなみに馬券もあんまり買ったことありません。将来競走馬とか種馬は買ってもいいけど。いや種馬ならむしろなりたい・・・)
馬コたちは大きなトラックに乗ってやってきて、ここできれいに着飾ってもらうんですね。
馬コの衣装はかつて参勤交代で江戸へ上る際に、幕府への献上品などを運ぶ馬を綺麗に着飾るための『小荷駄(こにだ)装束』と呼ばれ、全部で200万円以上ともいわれる豪華なものなんだそうです。
仔馬もいるよー。
飾り付けが終わると、手綱を引かれて蒼前神社の境内へと向かいます。
昔から名馬「南部駒」の産地として知られる南部藩において、毎日頑張って働く農耕馬に感謝し、馬コの無病息災を祈願したのがこのチャグチャグ馬コの起源。
スタート前には馬コとともに蒼前神社の本殿にお参りします。
馬コの背中には子供や女性が乗っていますが、こんなにちっちゃい子もいてびっくり。
このあと馬コの背中に乗ったまま4時間も行進を続け、盛岡まで行くんだけどだいじょーぶかー?
実際は途中で馬が暴れても、子供が疲れて寝ちゃっても落ちないように、しっかりと結び付けられているそうですので心配ご無用、とのことです。
お参りが終わると境内で出発まで馬コも休憩。
テレビ局の取材なんかも来てて、乗り手の子どもにインタビューしてました。
インタビューしてたアナウンサー嬢もチャグチャグ馬コの衣装。
これは盛岡の隣町、雫石町に古くから伝わる「あねっこ衣装」というのだそうですが、これ着てると82%以上の女性はかわいく見えるので、おとーさんは祭りの間じゅう❤はドキドキ、まいっちんぐマチコ先生状態でした。。。
ギャラリーのおじさんたちから話しかけられて「ズーム・イン!」とかやってたので、日テレ系のテレビ岩手のアナウンサー嬢だったんでしょうね。
いざ、チャグチャグ馬コの行進スタート
そんなこんなで出発時間の9時30分が近づいてきたので、最初の撮影スポットに向かいます。
チャグチャグ馬コの最も有名な撮影スポットは蒼前神社をでてすぐ、岩手山をバックに田園風景の中を隊列が歩くシーン。
この日は残念ながら雲が出ていて岩手山は見えなかったのですが、件の撮影スポットにはすでにたくさんの三脚とカメラマンがスタンバってます。
しかししかししかし、不覚にもここでなんだかおなか痛くなってきちゃったんですよねー。
やばいよやばいよー、トイレないよー。
馬コみたいに道路の上でするわけにもいかないので、とりあえず1キロほど先の滝沢市役所あたりを目がけて馬コ並みのスピードでダッシュします。
なんとか間に合ったのはよかったのですが、時計を見るとちょうど9時半。
馬コ、スタートしちゃったじゃん!
再び馬コ並みの大きさで、もとい、スピードで蒼前神社のほうに戻ります。
チャグチャグ馬コの行進と出会ったのは、ちょうど件の撮影場所を通り過ぎたあたり。
絶好の撮影スポットは撮りのがしてしまったものの、チャグチャグ馬コの行列にはなんとか出会うことができました。
一番最初にパトカーの先導、続いて選挙カーのような車が続き、
♪ちゃ~ぐちゃ~ぐ、うま~こは なんちゃらで(テキトー)~♪
みたいな唄を流しながら進みます。
先頭集団の馬コの上には地元の市長や町長など関係者が乗っているようです。
いやー、市長も大変ですな。
4時間も馬に乗ってたら、宇梶さんやら剛力さんが「倒れるだけー」とか言って鍛えてた、「ワンダーコア」よりも腹筋鍛えられるんでないかい?
チャグチャグ馬コの行進ルートの中では蒼前神社を出発してから最初の1キロほどが唯一、昔ながらの田舎風景を残した区間。
かつては滝沢村と呼ばれたのどかな地域も今は滝沢市となり、ここから先は盛岡のベッドタウンとして宅地化が進んでいるのでした。
70頭の馬コとその一家の行列が数百メートルに渡って続く様子は壮観ですが、ガイドブックには「例年約100頭の馬コの行列」と書かれているので、その数も年々減っているのかもしれません。
チャグチャグ馬コは、みんなを笑顔にするお祭り
馬コの背中には小さな子供や(中学生くらいまでの?)若い女性が乗って、沿道で見送る人々に手を振るのですが、盛岡までの4時間、ずっと笑顔で手を振り続けるのは大変なことだと思います。
でも、このお祭りが素晴らしいのは、沿道で馬コの行列を見送る誰もが笑顔だ、というところ。
美しく着飾られた馬コ、そして馬上で手を振る子供や女の子たちと沿道の観客との間で何千、何万もの笑顔が飛び交います。
工事現場のおにーちゃんたちまで、行列が来ると仕事の手を止めて笑顔で手を振ってますやん!
いいなあ、このお祭り。
馬コも僕も14キロ歩いて盛岡へ
馬コたちは滝沢の蒼前神社から盛岡八幡宮まで約14キロを歩くのですが、馬コだけあってそこそこの速さ。
「第1回ナイスミドル オブ UMANAMI選手権」で姉っこ奨励賞だったこの僕でさえ、写真を撮ってたりして行列をやり過ごすと先頭まで追い付くのは至難の業。
僕も結局馬コの行列に抜きつ抜かれつ、最後まで一緒に歩いたのですが、さすがに結構疲れました。
とはいえ馬コもずっと歩きどおしではなく、途中何か所かで休憩が用意されています。
最初の休憩は、青山町中央通商店会の町なか。
スタートして約3時間、チャグチャグ馬コの行列が盛岡市街に入ってきます。
地元民だけでなく、観光客も「えー、マジやばい」とかいいながら楽しんでいます。
そしていよいよ盛岡の目抜き通りのアーケード街、大通り商店街を馬コたちが通過。
4時間近く手を振り続け、笑顔が消えつつあった子どもたちも、最後の力を振り絞って再び笑顔を取り戻しました。
頑張れ頑張れー。もう少し。
盛岡のシンボル的な建物、岩手銀行の赤レンガ館の前を通ると、ゴールの盛岡八幡宮はもう目の前。
残念ながら僕は列車の時間の関係で、ここまでしかお付き合いできなかったのですが、チャグチャグ馬コ、想像よりずっとグッとくるお祭りでした。
こういう伝統行事はいつまでもいつまでも残してほしいと、切に、切に願います。
<2018年6月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
チャグチャグ馬コの基本情報
チャグチャグ馬コへの旅
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