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書を捨てよ、寺山修司記念館に行こう【青森県三沢市】

「書を捨てよ、町に出よう」

高校生の頃、僕の心を激しく揺さぶったこんな刺激的なタイトルの本や映画を作っていたのが歌人であり劇作家でもあった寺山修司

その故郷、青森県の三沢にある寺山修司記念館にはずっと行ってみたかったのですが、そこは期待通り、彼の尋常ではない鬼才ぶりを十二分に感じられる場所でした。

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三沢市寺山修司記念館

寺山修司の生まれは青森の弘前ですが、太平洋戦争中に叔父を頼って同じ青森の三沢に疎開したことから、彼は幼少期の一時期を三沢で過ごしています。

以前三沢の古牧温泉にある「星野リゾート青森屋」に行ったとき、寺山修司の伯父が三沢駅前で経営していた「寺山食堂」が復元してあったり、近くに寺山修司の記念館もあることを知って、いつかそこにも行ってみたいと思っていたのでした。

寺山食堂 - 三沢市ウェブサイト-Misawa City-

三沢市寺山修司記念館があるのは市街から10キロちょっと離れた小川原湖の近く。

三沢市民の森を抜けると突然現れる異様な外観の建物がそれ。

入口には寺山修司が主宰した前衛演劇グループ「天井桟敷」のマーク。

しかもデザインはその天井桟敷で一緒に活動していた横尾忠則。いきなりすごい!

特別企画展「書を捨てよ町へ出よう」

館内に入ってすぐのロビーで行われていたのは寺山修司の代表的なエッセイであり映画作品ともなった「書を捨てよ、町へ出よう」の特別展。

僕はこの作品ができた頃に生まれたので同時代を生きていたわけではないし、もちろんその頃の熱狂も知りませんが、高校時代だったか、大学時代だったか、このタイトルに強く心を揺さぶられたことを覚えています。

見てくださいよ、この煽動的な映画のポスターを。

おまえ、貴重な青春時代の一刻一秒を、部屋に閉じこもって参考書読んだり、レポート書いてるだけで愛が語れるようになるのか?

そんなメッセージがビシバシと伝わってきますよね。

そのほかの作品も刺激的ですね。

酸いも甘いも見知ったナイスミドルになった僕でもなんだか腰の奥がムズムズしちゃうような気分になるのですから、天使のように清らかだった若き日の僕がすっかり舞い上がっちゃうのも無理ないですね。まあ洗脳されたのはタイトルにでしたが。

寺山修司の心の抽斗(ひきだし)

メインの展示棟は円形の建物で、中央の天井桟敷の舞台を模した大きな造作物の周りを展示物が囲っています。

けれどもまっさきに目に入ってくるのは中央の舞台の下にずらっと並ぶ11台の机。

これがおそらくこの記念館の核となる展示なのでしょう。

「子供の頃、蛍を一匹つかまえてきた。母ちゃんに見せようと思って裏口からまわり込んでみたら、何だか変な声がした。戸のすきまからのぞくと母ちゃんが見たことのない男に抱かれていた。赤い蹴出しと毛脛が見えた。

俺は吐き気がした。折角つかまえた蛍を見せるのをやめて、机の引き出しにかくしておいた。

その晩、遅くなってから、わが家に火事があり、近所の家まで焼けてしまった。警察では漏電だと言ったが嘘だった。ほんとは俺が机の引き出しにかくしておいた一匹の蛍の火が原因だったのだ。」

映画「田園に死す」より

自伝的映画「田園に死す」で主人公にこう語らせた寺山修司は、「机」という言葉に限りない広がりを持たせようと試みていたのだと言います。この記念館ではそんな寺山修司を机の中から「探しだす」ことが展示構成の基本となっています。

わたしたちは寺山修司の探索者となって、机の上に置かれている小さな懐中電灯を手に、ひとつひとつの抽斗をそっとあけるのです。

そこにあるのは少年時代から生涯の終わりまで、彼に創りだされた作文、詩、短歌、シナリオ、写真。そして映画に音楽、スポーツ、メルヘンまで。あらゆる足跡がぎっしり詰め込まれています。

時には歌まで詰め込まれています。

その抽斗に残されていたのは、寺山修司が作詞して大ビットしたカルメン・マキのデビュー曲「時には母のない子のように」

まだ行先もわからずそこここに漂っている熱い熱気とともに、昭和のレトロな色気があっという間に周辺に匂いたちました。

天井桟敷の舞台

中央にあるのが、寺山修司が作った劇団「天井桟敷」の舞台を模したもの。

もちろん僕は天井桟敷の舞台は見たことありませんが、たとえ見たとしても何がなんだかわからなかったんじゃないか、と思います。

これは映画「田園に死す」に出てくる「風船女」

寺山映画の代表的な作品と言われる「田園に死す」も、僕にはよくわかりませんでしたが、地獄のような恐山や凍えるような寒村で、地縁血縁にがんじがらめにされた生活ばかりが描き出されるこの映画を見て、僕の知人の女子は「青森って『田園に死す』みたいなイメージです」と言っていました。青森県民のためにも、すぐにでも青森へと行って、そのイメージを払拭していただきたいと思います(笑)

これは「書を捨てよ、町へ出よう」の横尾忠則の「モナ・リザ」デザイン版でしょうか?

あ、ヤバい、また腰の奧が・・・

寺山修司短歌の道

そんな皆様におすすめの場所が、記念館の裏口から外に出たところにある「寺山修司短歌の道」的な遊歩道。

寺山修司記念館のまわりには広大な松林が広がっていて、小田内沼を見下ろす台地に建つ寺山修司文学碑までぐるっと散策できるようになっています。

途中には代表的な短歌の作品が青森産のヒバ材に記されています。

高台から望む小田内沼。小川原湖かなと思っていたのですが、後で調べてみたら違ったようでした。

一番奥にあった文学碑。本の形の碑には3つの短歌が書かれていますが、東京の高尾霊園にある寺山修司のお墓の上にもやはり本のレリーフが載っているのだそうです。

47歳という短い生涯をあっという間に駆け抜けた寺山修司。

現在まで生きていれば、もっともっとすごいものを生み続けたのだと思いますが、早世もまた、彼が自ら作り出した壮大な演出であるような気もします。

鬼才、というのはこういう人のことを言うのだな、と思います。

<2022年5月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください

寺山修司記念館の基本情報

三沢市寺山修司記念館

寺山修司記念館への旅

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