僕はグルメでもないし、話題のホテルや高級リゾートに泊まりあるくようなタイプの旅人ではありませんが、以前からちょっと気になっていた宿泊施設がありました。
それは新潟県の南魚沼市にある「里山十帖」。
自称「ライフスタイル提案型施設」「里山からはじまる10の物語を体感するメディア」。
正直、何言ってるのかよくわからない感満載なのですが、行った人の評判はすこぶる高く、なかなか予約も取れないので、逆に気になるのです。
そして今回、いくつかの偶然が重なって、そこを訪れるチャンスを手に入れたのでした。
さとやまから始まる10の物語。
2020年3月、本当は、娘と一緒に甲子園に高校野球を見に行く予定だったのですが、新型コロナウィルスの影響でセンバツが中止となり、予定が空いてしまったのでした。
せっかく休みも取っていたので、人混みのない場所で、のんびりお篭もりできそうなところにでも行こうか、と考えていたところ、ふるさと納税の返礼品の新潟県限定宿泊クーポンが手元にあることを発見しました。
「新潟」の「お篭もり」ですぐに思い浮かんだのは、広大な敷地内にたった13組のゲストしかいない里山十帖。
普段ならこんなふうに急に思い立ってもなかなか予約が取れないのだと思いますが、今回はラッキーなことに日曜日の夜に1室だけ空きがありました。(それでもこの状況で最終的には満室だったので、やはり人気なのでしょう)
里山十帖は、新潟県南魚沼市を本拠として活動するメディア・クリエイション・カンパニー「自遊人」が運営する宿。
もともとここにあり、廃業する予定だった旅館を譲り受け、全く新たなコンセプトでリノベーションし、スタートした施設なのですが…
お篭もり旅館でもなく、サービスを競うホテルでもない。旅館を始めたかったわけではなく、レストランを始めたかったわけでもない。
始めたかったのは、新たなインタラクティブ・メディアの枠組みをつくること。
ね?何言ってるかわけわかんないでしょ?
ということで、コンセプトから入ると難しいので、実際の体験を通じてお話ししますね。
ま、簡単に言っちゃうと「さとやまに来たら、衣・食・住・遊・癒・健…なんでもいいので、自分にとっての素敵な体験を10くらい持って帰れたらいいんじゃないかな」と僕は理解しています。
そして里山十帖に到着
さて、里山十帖の最寄駅は上越線「大沢駅」。越後湯沢から2つほど長岡よりの無人駅です。
里山十帖はここから車で5分ほどですが、チェックイン/アウトの時間に合わせて送迎があるため、今回は送迎でホテルへ。
玄関を入るとそこは築150年の古民家。ロビーは10メートルの吹き抜け空間になっています。
ロビーの中二階にある宿泊者専用のラウンジ 「小屋組み」に案内されて、ここでチェックイン。
これがチェックイン時のウェルカムサービス。
なんか到着して10分で、もう素敵な体験3つくらいしちゃった感がありますな。
今回は家族3人で来たので、客室は「たたみトリプル」。
里山十帖は露天風呂付き客室も多いのですが、それはまた別のANYONEと来たときにとっておこうと思います(ま、今回はこの客室しか残ってなかったんだけどね)
部屋には滞在中のおすすめスケジュールなども用意されています。
この日はあいにくの雨だったので、アウトドアアクティビティには参加しなかったのですが、さっそく館内散策に行ってみましょー!
巣ごもりに最適なラウンジ/ギャラリー 「hito – bito」
最近、なかなかゆっくり本を読む機会もないので、里山十帖に来たらのんびり読書してみたかったのです。
そんなわけでさっそく娘を連れてラウンジ探検に行ってみます。
里山十帖には先ほどのラウンジ 「小屋組み」とこの「hito – bito」の2カ所があります。
どちらにもコーヒーやハーブティー、スナック類が常時用意されているほか、夜はバータイムとして日本酒や焼酎、シングルモルトウイスキーなどが無料で楽しめるラウンジになっています。
このラウンジの椅子の座り心地がとてもいいので、娘と一緒に館内のショップに行ってみました。
里山十帖の中にある「Life Style Shop −THEMA craft & products−」。
地元の味覚やちょっとしたお土産もありますが、メインは家具やテーブルウエアなどのライフスタイル商品。
てまひまかけて作られた、国内外の有名作家の作品が揃っていて、これから新築・リノベーションする方、家具を本気で選びたい方が泊まりがけで家具を選びに来ることもあるようです(ラウンジは「試座」できる場所という立て付けになっているようです)
さっそく「試座」してきた僕と娘が、お気に入りのチェアーの値札を裏返して確認します。
「590,000-」
そのままそっと値札を戻して、店を出ました。
里山十帖独特の野菜中心料理がスゴイ!
里山十帖のメインダイニングは「自然派日本料理 早苗饗(さなぶり)」。
「早苗饗 /さなぶり」とは、田植えが終わったあと、その年の豊作を祈るのと同時に、 田植えに協力してくれた人々をもてなす饗応のこと。
その名の通り、テーマは「大地の恵みや食材の力を感じていただくこと」で、コースのほとんどが野菜か山菜の料理という、ジャンルにとらわれない新しい饗応料理を提供しています。
素材も旬だし、器も凝ってるし、見た目ももちろん美しいのですが、味もめっちゃおいしい。
素材の良さはもちろんですが、ちょっとした味付けや素材同士の組み合わせ、スパイスが最高なんですよ。
例えばこれは佐渡のズワイガニの春巻きなんですが、この上に載ってる黒海苔が絶品。
メインじゃないわき役がこんなに活躍する料理はなかなかありません。
それは「里山十帖」の料理が、野菜中心だからなのかもしれませんね。
もちろん魚や肉の料理もメニューには登場します。けれどもそれは一般的な旅館料理のような豪華食材のオンパレードではありません。
もともと素材の良い少量の肉や魚に、新潟・魚沼ならではの力のある野菜の味付けが加わることにより、従来の旅館料理とはまったく異なる味になるのではないかと思います。
そしてなんといっても南魚沼の里山十帖で一番楽しみにしていたのは「白米(ごはん)」
ひとりひとり白米を目の前で炊き上げるのですが、おもしろい食べ方ができるのです。
これはお釜が沸騰してすぐに取り出したコシヒカリのアルデンテ(歯ごたえが残る状態)。
アルデンテで食べるのはほんの一口ですが、もちろん初めての食べ方でした。
そしてこれが「南魚沼の米仙人 清さんのコシヒカリ」
ご飯も残さず全部食べたら、野菜中心とはいえ、さすがにお腹いっぱいになりました。
そして絶景露天風呂と絶景散策
里山十帖を代表するもうひとつの魅力は絶景露天風呂。
正面に見えるのは日本百名山の巻機山。この写真の左側にある露天風呂からは八海山も望むことができ、これらの眺望から、東日本有数の絶景露天風呂と言われています。
大浴場と露天風呂は夜に男女入れ替えが行われるため夕方と翌朝でどちらの眺望も楽しめます。
里山十帖の周りはもちろん豊かな大自然が残る場所。客室にはおさんぽMAPがあるので、天気が良ければぶらぶらと出歩いてみましょう。
建物の裏を3分ほど登ると高台に出て、露天風呂から眺めたものと同じような眺望が開けます。
春の新緑、秋の紅葉、本格的な積雪シーズン、どの季節に来ても楽しめそうですよね。
里山十帖は令和の新しいワークスタイルにぴったり
新型コロナウィルスによる混乱をきっかけに世の中は大きく変わるでしょう。働き方も、働く人の価値観も、会社と社員の関係も今までとは劇的に変わるような気がします。
無駄な出張や会議、非効率なルール、満員電車での画一的な定時出勤もやめるべきだということにみんな気づいたことでしょう。
そんな中、「里山で、真に豊かな暮らしをすることにより五感を刺激され、クリエイティブな成果を出し続ける」という、里山十帖が提案する生き方、働き方はこれからもっと注目されるべきだと思います。
実際に里山十帖にはテレワークやクリエイティブワークのため連泊して仕事や創作活動に没頭するような使い方を想定した客室「クリエイターズ・ツイン」もあり、実際にそんな使われ方もしているようです。
ということで、次回はここに仕事をしに来ることに決めました。
しかし娘もこれからは春夏秋冬と年に4回来たい、と言ってますので、今後相当リピートすることになるでしょう、里山十帖。
ほんまかいな。
<2020年3月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
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