房総半島は、天然の穴があちこちにあると同時に、人の手によって掘られたトンネルも多い土地として知られています。
なんでも地層がやわらかく人の手でも掘りやすいため、素掘りトンネルが多く作られたのだそうですが、その中には今や他の土地ではなかなか見られないようなユニークなものがあります。
二階建てトンネル、将棋の駒トンネル、天窓のあるトンネル・・・
なんじゃそりゃ!聞いただけで行ってみたくなるやん!
2階建てのトンネル「共栄・向山トンネル」
大分県の豊後竹田と千葉県の房総半島。
トンネルが多い土地として僕がすぐに思い浮かぶのはそのふたつですが、実際に日本で一番トンネルが多いのは大分県で、2番目は千葉県だそうです(by 石丸謙二郎さん)
双方に共通するのは、長いトンネルではなくて、短いトンネルがいたるところにあるという点。
千葉県の外房に鵜原という美しい海水浴場があり、僕は何度か仕事で行ったことがあるのですが、その旅館の近くにもいい感じのトンネルがあったことを覚えています。
今回最初に紹介する共栄・向山トンネルは同じ千葉県ですが、房総半島の内陸にあり、最寄り駅は小湊鐡道の養老渓谷駅。
共栄・向山トンネルは養老川の渓谷美と温泉郷で知られる養老渓谷にあり、この駅からバスで10分ほどの「弘文洞入口」バス停で降りて少し歩くとすぐにこんな看板が出てきます。
「二階建てトンネル」!!
中に入るとその説明の通り、出口が2つ、つまり2階建てになっているように見えます。
普通のトンネルの上にローソクの炎みたいな穴がありますが、実はもともとはここがこのトンネルの出口だったんだそうです(それが「共栄トンネル」)。
ところがその後、その先の道との接続の関係で下の方に穴を掘り、新しい出口が作られたのです(それが「向山トンネル」)。
結果、こうして2階建てのトンネル(あわせて共栄・向山トンネル)ができたんだそうです。
出口の先には養老川に架かる橋があり、温泉宿も1軒あるようです。
なんとここ、房総半島の映えスポットとして人気急騰した「濃溝の滝」に続く映えスポットになるのでは?と期待されているようで、意外にも人はそこそこいましたよ。
そうか、ちょっと二匹目のどじょう的な気もするけど、そういうことなら頑張れ、共栄・向山トンネル!
「月崎トンネル」にはホントは行っちゃだめなのか?
続いても同じく小湊鐡道の「月崎駅」で下車します。
2020年1月、市原市にある地層が「一番新しい地磁気逆転の記録が世界で最もよく残っている」として「チバニアン(千葉の時代)」と名付けられたことで話題になりましたよね。
僕はここに来るまでは、チバニアンって「千葉原人」みたいな人が発見されたの?レベルの認識でいたのですが、全然違ってましたね。
ということで、駅もチバニアンで誕生で若干盛り上がっているようですが、実際は地層なので見てもたぶん面白くありません。地層マニア以外は。
そんなわけで今回ご紹介するのはこの駅が最寄りの2つのトンネルです。
最初に向かった月崎トンネルは、月崎駅から約2キロの場所にあるのですが、公共交通機関はなく駅から歩いていくしかありません。
途中、細い山道を通り、最後は行き止まりになる、と聞いていた道はこんな感じ。
実はここ、GoogleMapで検索すると場所は示してくれるのですが所要時間が出てきませんでした。(2020年10月当時)。
そして今、このブログを書こうと思って調べてみたらもう場所さえ示してくれないので、下のポイントは自分で指定しました(2020年12月現在)。
こっわー!
ここ、本当は何らかの理由で行っちゃいけない場所なんじゃないか?(特に途中でクローズされてはなかったけど)
ま、とにかくこの日はズンズン行っちゃったのです。
すると見えてきたのが素掘りのトンネル2連チャン。
しかし実はこれ2連チャンじゃなくて、一つのトンネルだったものの中央部分が崩落して2つになってしまったように見えているのです。
その様子は天窓から光が差し込むように見えるため「天窓のあるトンネル」。
この先は行き止まりになると聞いていたのですが、僕の後から謎のチャリンコ軍団(複数家族っぽい)がやってきてズンズン先へと進んで行きました。
将棋の駒の永昌寺トンネル
いったん月崎駅に戻って、今度は反対側の永昌寺トンネルに向かいます。
と思ったら月崎駅前にレンタサイクルあったんじゃんよー
さっきのチャリ軍団はこれを借りてたんだな。
早く気づけばこれで月崎トンネルまで行けたので、細い山道を山蛭とか蛇とかにおびえながら歩くこともなかったのに!!
次の永昌寺トンネルは月崎駅から徒歩5分程度で、自転車を借りていくような場所ではありませんので、そのまま歩いて行きます。
このトンネルの特徴はその形で、将棋の駒のような五角形をしています。
この穴の掘り方は「観音掘り」と言われ、日本に古くから伝わってきた工法。
上部がとがっていることで、トンネルの上にある山全体の圧力を左右に分断させているのだそうですが、観音様を拝む時の両手を合わせた形に似てるためそう呼ばれています。
なんかどこか違う世界にワープしちゃいそうな雰囲気がありますね。
長さ142メートルあって、意外と長いので最奥部は結構怖かったりします。
僕は行かなかったのですが、さらにこの奥には「柿木台第一/第二トンネル」という2つの素掘りトンネルがあるのだそうです。
さすが房総半島って感じでですね。
房総の素掘りトンネルの基本情報
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