長野新幹線開通後にJRから経営移管された「しなの鉄道」の軽井沢駅から長野駅までを走る観光列車「ろくもん」。
「ろくもん」とは沿線の歴史的な武将、真田家の家紋「六文銭」のこと。
NHKの大河ドラマ「真田丸」がスタートした直後の土曜日、たまたま軽井沢に行っていた僕が、時節柄、まず席なんか取れないだろう、と思ってダメもとで当日聞いてみたら、なんと運よく空きがあったので乗ってみたときのお話です。
まさかの「ろくもん」空席あり
とある年の会社のチームの懇親旅行が真冬の軽井沢でした。
え?そもそもこんな寒い中、なんで軽井沢なの?
確かに高校生の頃から旧軽銀座が庭のようなもんで、浅野屋のパンが夏休みの毎日の朝食だった僕からしてみれば、冬の軽井沢もなかなか風情あっていいもんだよ、という大人の気持ちになれるのですが、軽井沢と聞いても、いつの日か夏の別荘でテニスとかゴルフ三昧したいなあ、とかいう淡い願望くらいしか思い浮かばない庶民にとってみれば、なんでわざわざ冬やねん、という感じだと思うんだけど…
えっ、確か軽井沢でいい、って言ってましたよね?
軽井沢プリンスのコテージに大人数で泊まって、暖炉を囲んでみんなで盛大に2次会やる、って言ってましたよ・・・
う、確かにコテージのリビングだったら全員集まって飲めるんで楽しい、とか言ったような気も…
ただ軽井沢プリンスのコテージに暖炉なんかないはずなので、どこかで酔って妄想してそんなこと言ったんでしょうーか…
そんなわけで、その年の懇親旅行はとにかく冬の軽井沢だったのでした。
翌朝、起きて外に出てみると、めっちゃ雪。
軽井沢は標高こそ高いものの、たくさんの雪が積もることはあまりないはずなんだけど。
2日目は基本自由行動だったのですが、軽井沢まで来て何もせずに帰ってしまうのももったいないので、当時話題沸騰中の真田丸めぐりでもしようかな、と早めに朝食を済ませたあと仲間を募ってみたのですが、前の晩さんざん飲んだくれていたメンバーたちは
軽井沢が庭だなんて妄想でも言えない私たちにとって、せっかくの機会ですから、このコテージライフ、ゆっくり過ごしたいです…
とか言ってぐうたら過ごすつもりらしく、賛同者はわずか1名。
しかたなくまあたまには男二人で真田めぐりでもしながら、戦国武将の義と勇について語り合うのもよかろう、ということで軽井沢駅に行ったところ、こんな垂れ幕を発見したのでした。
オォォォォォォ、ろくもん!
もちろんこの列車のことは知っていたのですが、まあ、真田丸がスタートした直後の土曜日だし、まず席なんか取れない(定員72名で全席指定)でしょ、と思っていたのです。
ま、ダメもとで聞いてみようか、ということで軽井沢駅の窓口で空席を確認すると、なんと9席空いてます、とのこと。
そういえば体たらく軍団の女子チームが「ろくもん」だったら乗りたいけどー、とか言ってたので、一応電話してあげると
イクイク、すぐに行きます!
とのこと。
おまえら、軽井沢コテージライフを満喫するんじゃなかったのかよ!
そんなわけで、突然7人へと大幅増加した「真田丸めぐりの旅」一行は、ろくもんに乗って上田まで行くことになったのでした。
いざ、ろくもんに乗車
雪は残っているものの、天気はまずまずの軽井沢駅。雪の白にこの深い赤、なかなか映えますね。
車体のロゴにレストランカ―、とある通り、この列車は3両編成のうち2両が食堂車になっている、今、はやりのレストラン列車なのです。
車中では、軽井沢のレストラン「こどう」、東御市の「リストランテ フォルマッジオ」、小布施の「鈴花」など、沿線地域の食材を使用した食事サービスが提供されます。お値段、乗車券込みで12,800円。料理内容は上り下りで違うようです。
ただし、食事サービスは当日予約はできないので、僕たちは座席指定のみの1号車へ。
けっして12,800円が高いから食事できなかったわけではないですよ!
デザインはこうした観光列車ではすっかりおなじみの水戸岡鋭治さん。
ななつ星、つばめ、いぶすきのたまて箱、和歌山電鐵たま電車、富士登山列車・・・・・
彼の列車に僕もたくさん乗っています。あっ、ななつ星はたぶん近い将来。。。
軽井沢出発は10時40分。
上田まで通常は50分程度の区間を1時間20分ほどかけて、ゆっくり進みます。
信濃追分の駅を出たあとあたりが、沿線で浅間山が一番きれいに見えるのだそうで「ろくもん」はスピードを落としてこの浅間山ビュー区間を通過します。
さっそく車内をちょっと探検。
売店コーナーのお土産。ドリンクもここで注文できます。
「ろくもん」の車掌さん?のユニホームはもちろん六文銭ハッピ。
この「ろくもん」、列車のユニークさもいいんですが、むしろ手作り感満載のあったかいホスピタリティサービスがいいんですよ。
たとえば、これは小諸駅で出発の際のワンシーン。
軽井沢から乗ってレストランで前菜を提供していた、レストラン「こどう」の黒服スタッフがここで下車してお見送りしてくれるのですが、隣りのお父さん、お母さんのこのパフォーマンスの素晴らしいこと!
このお父さんとお母さんもレストランのスタッフだったのか、詳細は聞き逃してしまったのですが、とにかくこの列車の関係者のお見送りです。
この他にも停車する主要な駅での駅長の見送りサービスや仮装パフォーマンス、しなの鉄道本社前ので社員のウェルカムボード掲示など、みんなで心から歓迎、という思いをガンガン感じますね。
お金かけなくてもできる、地方鉄道ならではの素晴らしい取り組みです。
「ろくもん」の車内を散策
真田丸列車「ろくもん」の2号車と3号車はレストランカ―。
せっかくなのでちょびっと覗きに行ってみます。
2号車は比較的開放感のあるテーブル席とカウンター席。
窓際のカウンターや一人用のテーブル席には、おひとりさまも結構多いんです。
このあたりの展示、ザ・水戸岡デザインそのものですね。
続く隣りの3号車はガラッと変わってしっぽり個室系。
障子を閉めてしまえば、そこはもう、ムフフの世界。
いいじゃないか、ろくもん3号車!
夏の陣の際にはぜひここで姫君に士気をあげてもらってから、僕の日本一の兵の力を、身を以て体感していただこうと思う。
さて、このろくもん、途中の停車駅でもいろいろ楽しめるのです。
途中の田中駅は、中山道の古い町並みが残る宿場町、海野宿の最寄りの駅。
ここで10分ちょっと停車して、古い駅舎を見学できる時間が用意されています。
また今回は手前で降りてしまったのですが、戸倉駅では、戸倉上山田温泉の湯で入れたお茶やコーヒーを振る舞ってくれたりするそうです。
そんなこんなであっという間に乗車時間の1時間20分が過ぎて、上田駅に到着。
上田では、なんと駅員さんたちが真田の甲冑隊に扮してお出迎え。しかも停車時間中に駅長と一緒に記念撮影できる、というサービスも。
この体たらく女子、どうせなら斬りたいとか言い出して、上田駅長をぶった切ると、駅長もアドリブで真剣白羽取りのパフォーマンス。
あほかっ。
僕の自由奔放すぎる教育が悪かったのでしょうか?
しかしまあ、駅長相手にこのくらいやっちゃっても全然問題ないのが「ろくもん」のよさなのかもしれませんね。
ちなみに「しなの鉄道」の上田駅長ですからね。
間違ってもJRの上田駅長にはこんなことできないと思います。。。
<2016年1月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
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