長崎は異国情緒あふれる港町として九州でも屈指の人気を誇る観光都市です。
しかし一方で、風祭ワンダースポット研究所の調べによると、長崎は意外にもワンダーな都市としての素地も大いにあるのではないかという仮説が立てられていました。
そこで今回その事実を確かめるため現地調査に出かけたのですが、同行した長崎のファンクラブ女子の証言により、そこは想像以上のワンダー都市だったことが証明されたのでした。
ガチな長崎ワンダースポットツアーへ
「そうだ、九州、行こう!」と思い立った秋、僕の行きたいところリストを眺めていると「長崎県」の欄の筆頭に「斜面移行システム」というメモが燦然と輝いていました。
およそ旅先の場所らしからぬ文字ですが、これは坂の多い長崎の街にある、じーちゃん、ばーちゃんの、坂の上り下りを手助けするために作られた謎の交通システムのことで、その姿はあたかも移動する電話ボックス、つまりテレクラ型モノレールみたいなまさにワンダーな逸品だといううわさを聞いたことがあったのです。
そんなわけで、今回その謎を解明するために長崎へと向かうことになり、風祭ワンダースポット研究所の九州特派員の女子に声をかけてみたところ
風祭所長、長崎だったらこんなところとか、そんなところとか、あんなところまであるのでぜひご一緒したいです!
と次々にワンダースポットを逆提案されてしまい、本当はちょっとしっぽりデートでもしようかと思っていたのに、すっかりガチなワンダースポットツアーになってしまったのでした。
長崎の眼鏡橋で待ち合わせ、市内へと遊歩道を歩きはじめると彼女がさっそくワンダーな謎を仕掛けてきます。
風祭さん、こちらで何かお気づきですか?
え?ただの石垣にしか見えないけど・・・
ヒントは、私の今のキ・モ・チ
は?・・・
・・・・・うぁああああああああー(ドギマギ)
うふっ。では次に行きましょう♪
いざ、斜面移行システム「てんじんくん」へ
人口40万人、長崎市は九州有数の都市でありながら市街地の4割以上を傾斜地が占める坂の町。
住宅街にはクルマも自転車も入れない「階段市道」が張り巡らされ、平地の市街地との行き来には相当な労力が必要です。
長崎でも高齢化が進み、特に老人はこの登り降りが相当な負担であったため、長崎市が一部の階段状の道路へ導入したのが全国でも例がない「斜面移送システム」です。
長崎駅前から市電通り「新浦上街道」を少し北に向かい、脇道に入ると階段道に沿ってこんな鉄柱が立ち並ぶ場所が現れました。
さらに上に進むとそこにポツンと立っていたのが「てんじんくん」。
うぉおおおおおお、マジでテレクラ、じゃなかった、電話ボックス!
「てんじんくん」というのはこの坂のある天神町にちなんで名付けられています。意外とおちゃめ。
市内には他に「さくら号」(立山地区)、「水鳥号」(水の浦地区)という2路線があります。
中にある椅子は一つですが、定員は2名で、付き添いの人が立って乗れるくらいのスペースはありました。
せっかくなのでぜひ乗ってみたかったのですが、住民に発行されるカードがないと操作できないようでした。
せめて動いてるところを見たいな、と思ったら、運よく突然てんじんくんが動き出し、坂の下に向けて降下を始めました。
ご覧いただくとお分かりかと思いますが、この斜面移送システムはめちゃくちゃゆっくりで、1mを4秒、80メートルを5分かけて移動します。
介護施設からの帰りでしょうか、若い女性がてんじんくんに乗ったおばあちゃんを見送りながら階段を上っていました。
てんじんくんの終点から先にも階段道はずっと上まで続いています。
原爆投下によって大きな被害を受けた長崎市は、終戦後急速に復興したため、都市としての整備が追いつかないまま傾斜地が宅地化され、こうした住宅街が今なお多く残っているのだと言います。
B級スポットだと思って来てみましたが、ちょっと現実は違う感じだったかな。
彼女がポツリと話したひとことが、よくそれをあらわしていると思いました。
私、長崎にこんなシステムがあるの知りませんでした。
長崎の坂って、福山さんの唄とか夜景とか、ロマンチックなイメージしかなかったけど、とても勉強になりました。
長崎の薄すぎるビル?
彼女曰く、長崎には「ありえないくらいに薄い」ビルと「ありえないくらい急な坂」があるのだそうです。
本当は両方行きたかったのですが、時間の関係で坂には行けなかったため、写真で紹介しますね。
坂の多い長崎ですが、この一番左「変電所の坂」のありえなさ、写真見ただけでもわかりますよね?
勾配が約35%(水平距離100mに対して高さが35mあがる)と言われている急坂で、長さは180メートルあるそうです。
車が通れる坂としては間違いなく長崎No.1の急坂なので、この坂を全速力で駆け下りてくる彼女を下の方で受け止めて、恋の急坂効果とかが生まれるのか試してみたかったのですが残念でした。
そんなわけで次に向かったのは「薄すぎるビル」。
お、なんか薄そうなビルがあったぞ!
この薄い建物の1階は不動産屋、2階はBARみたいです。
確かにもし「全国薄いBARコンテスト」があれば優勝するかもしれないけど、そんなにびっくりするほど薄くはないんじゃないか?
それに奥の方にいけばちょっと厚くなってるみたいだし・・・
これは違うの。ホンモノはもっとうすうすよ。
そういう彼女に連れられてやってきたのは意外にも長崎駅前近くの交差点。
これがそのビルよ
ん?普通のビルに見えるけど・・・
うっす!!!
え、これホントにビルなの?中に人とか入れるの?
と思ったのですが、なんとちゃんぽん屋さんがテナントで入っています。
感覚的には店内の奥行は1メートルはないと思うのですが、残念ながら本日休業で確認できませんでした。
噂通りの衝撃の薄さでしたが、新幹線が開通して駅前が再開発されちゃうと消えてしまうかもしれませんね。
おまけ
せっかく長崎に来たので、日本3大夜景と呼ばれるこの素晴らしい景色を彼女と一緒に見に行ったのですが、それまでのスポットがワンダーすぎたためか、稲佐山効果はありませんでした。
長崎でのロマンチックな夜をお過ごししたいのであれば、あまりにもガチなワンダースポットめぐりはおすすめいたしません。
ロマンチックにお過ごししたい方はこんなホテルや過ごし方がいいのかも。
<2020年11月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
長崎ワンダースポット Vol.2はこちら
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