JR九州は僕の好きな会社です。女の子にならともかく、普段はあんまり人の会社のことを「好き」なんて言ったりしないのに、この会社にだけは言っちゃいます。好きです、と。
JR九州にはいつもやられっぱなしです。くやしいくらいやられっぱなし。
今まで縁もゆかりもなかった九州のことを、僕がこんなに好きになった理由のひとつに、JR九州の存在があることは間違いありません。
誰もが長く苦しい思いをしていた2021年冬、そのJR九州がまた何か始めたようでした。
それは「流れ星新幹線」。
なんだよそれ、もう名前聞いただけで泣きそうじゃんかよ。
「愛とか、勇気とか、見えないものも乗せている。」
ずっと昔、コピーライティングの講義を受けていた時、なぜかものすごく心に刺さったコピーがありました。
それがJR九州の
「愛とか、勇気とか、見えないものも乗せている。」(1992年/仲畑貴志)
でした。
僕も若いときから家を離れて暮らしたり、遠くに恋人を残したまま東京に出てきてしまったりしたからなのか、それともその時、疲れて少し弱ってたからなのか、今見るとわりと当たり前に見えるそんなコピーが、その時は特に心に響いたのです(もちろん今でも僕の好きなコピーベスト3に入ってますが)。
けれどもそのときはまだそれほど意識したわけではなかったJR九州が、初めて僕の目の前にその強烈な存在感を示したのが、2011年のこれ。
九州新幹線全線開業の日は、東日本大震災があった翌日。
予期せぬ災害に、記念式典等はすべて自粛され、このCMも放送できないままお蔵入りになってしまったのですが、人々のつながりだの絆だのが心に沁みる時期だったせいか、You Tube等で話題となり、多くの人に勇気と感動を与えてくれれました。
当時だったらなんとなくわかるんだけど、今でもウルウルきますよね、これ。なんでだろう?
そして僕のハートを決定的に射抜いたのが2013年のこの「卒業式新幹線」。
九州新幹線開業10周年を記念して、新幹線を貸し切って卒業式をさせてくれる企画。
新幹線の中で、高校生たちが笑ったり、泣いたり、
飛び跳ねたり、抱き合ったり、
先生の話をしんみり聞いたり、
遠い都会に出て行く友達が、ホームに降りても別れ際にずっと手を振りつづけていたり。
そんな姿が思い浮かんで、想像するだけでジーンと来ちゃうじゃないですか。
2015年の九州旅行で発見したのはドリカム新幹線。
ユニークな列車や、ななつ星みたいなイノベーティブな風土を持っているだけじゃなく、この会社は人の心の琴線に触れる武器を、本当にたくさん持っていると思います。
「僕はななつ星」そして「流れ星新幹線」
新型コロナウィルスの蔓延により、世界がいっぺんに変わってしまった2020年。
そんな僕たちにJR九州がくれたメッセージのひとつがこの「僕はななつ星」。
約5分30秒、長いです。時間がない人は見ないでください、途中でやめられなくなるかもしれないから。
電車の中とか人前でも見ない方がいいかな。泣けてきちゃうかもだから。
そして明けた2021年、今までもずっと長い冬で、これからもずっと冬なんじゃないか、と僕たちが思い始めていた頃、突然発表されたのが「流れ星新幹線」。
全線開業の時も、その10周年の時も、手放しで喜べないなんて普通はがっかりしたり投げやりになったりするはずなのに、
新幹線を流れ星にしちゃうなんてどうかしてるよ、JR九州!
みんなの願い事を乗せて、一夜だけ、流れ星のように走る光の新幹線。
「見に行きたい!」と思いました。強烈に。
でも、東京は未だ緊急事態宣言の真っただ中。残念ながらそのためだけに九州まで行ける環境ではありませんでした。
そんなわけで、九州に住む風祭ファンクラブ会員女子(栄光の会員番号1番)がインスタにアップしていた映像をお借りして紹介します。
おー、いいな。願い事かなったかな。
僕も願い事したかったな。
と思っていたところ、なんとこの「流れ星新幹線」が特別ラッピング新幹線「輝け!みんなの九州」号として期間限定で一般運行されることになったのです。
そして「流れ星新幹線」乗車
流れ星新幹線のラッピング列車は、3月下旬から5月下旬にかけて、九州新幹線の博多~鹿児島中央間を走行していました。
日によって車両の運用が変わるため、毎日決まった列車ではなく、事前に発表された列車を目指して乗ることになります。
5月のある日、僕が乗ったのは博多から熊本行きのつばめ号。
車両にはみんなから寄せられた願い事が書かれています。
実はこれ、募集して集まった願い事8350点の中から選ばれた777の願い事がこうしてラッピングされているのです。
実は僕も願い事、応募してたんですが、選ばれなかったみたい、残念。
車内には選ばれた願い事が書かれて冊子になった「願い事集」もありました。
ただ、選ばれなかった分も含め、全員の願い事は太宰府天満宮で祈願、奉納されたみたいなので、僕の願い事も、あの日みんなが流れ星新幹線に願ったことも、きっと叶うことでしょう。
「人吉温泉が、もっと笑顔が湧く場所になりますように!」
人吉も2020年の豪雨災害で大きな被害を受けました。僕の大好きだった新温泉もクローズしちゃったけど、本当に、また笑顔湧く場所として人吉には復活してほしいと切に願います。
博多~熊本間はつばめでも50分と、あっという間。
沿線で光も放つことも、大勢の人から願い事をされることもありませんでしたが、なんだかやさしくて、満ち足りて、最後はちょっと寂しい50分でした。
本番の流れ星新幹線はリアルでは見られなかったけど、きっとすごかったんだろうな。
どうか、みんなの願いが、叶いますように。
<2021年5月訪問>
最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
コメント
はじめまして。Twitterから来ました。
流れ星新幹線がたくさんの願いを乗せて走ったあの日。
鹿児島中央駅の出発式に1人の男の子がいました。新幹線の運転士になりたい男の子は、流れ星新幹線の出発合図を出したい!という願い事を応募しました。応募された何千もの願いごとの中から、たった一つのその願いを、JR九州さんは見逃さず、その願いを叶えてくれました。流れ星新幹線は、たくさんの願い事を乗せて走り出す前に、男の子の願いを、1つちゃんと叶えてくれてから走り出したのです。流れ星新幹線に託された願いを、これからも叶えてくれるのではないかと信じてやみません。
のんさん
コメントありがとうございます。
最後の流れ星新幹線のVTRにうつってる男の子ですよね。
さすがJR九州、ですよね。にくいほど素敵な会社です。
男の子の夢がかなうことを祈ってます!