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美しく儚き名前の「幾春別」と旧奔別炭鉱立坑櫓【北海道三笠市】

廃墟マニアであれば誰もが一度は写真で目にしたことがある「奔別」の文字。

これは北海道三笠市にある旧奔別(ほんべつ)炭鉱の立坑櫓。北海道でも有数の炭鉱都市だった三笠には、このほかにも幌内炭鉱や幾春別炭鉱がありました。

僕は以前、この旧奔別炭鉱跡に行った時に写真もとらずに帰ってきてしまい、ずっともったいないと思っていたので、あらためて訪問してみたのでした。

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旧幌内炭鉱立坑櫓

旧奔別炭鉱跡があるのは岩見沢から約20キロ、三笠市の中心部からも8キロほど東(というか奧)にある幾春別(いくしゅんべつ)というところ。

岩見沢から旧奔別炭鉱跡に向かって車で走っていると、車窓右側に突然巨大な立坑櫓があらわれました。

頭頂部に「幌●」という文字が見えます。

これは旧幌内炭鉱立坑櫓跡。1966年に建設された高さ約40m、地下約1077mの巨大エレベーターで、地下で石炭を掘る人や資材を運搬するのに使用され、一度に50人まで乗れたそうです。

私有地にあり、敷地内は立ち入り禁止なので遠くから眺めるだけですが、めちゃめちゃカッコいいですね。

幌内炭鉱は、北海道最古の炭鉱で、ここで産出される石炭を運搬するために、小樽と幌内のあいだに北海道最初の鉄道「幌内鉄道」が敷かれたほど需要なスポットでした。

この山向こうには幌内炭鉱の遺構が残されているようですが、時間の関係で今回は寄れませんでした。

旧幌内炭鉱変電所 Ⓒ炭鉄港デジタル資料館(転用禁止)

美しくはかなき地名「幾春別」

幾春別と書いて「いくしゅんべつ」。もちろん語源はアイヌ語です。

i-kus-un-pet

それ・の向こう・ある・川

アイヌ語の「イ・クシ・ウン・ペッ」で意味は「それのむこうにある川」。山向こうに住んでいたアイヌ先住民が「あっちの方の川」と呼んだのが今の「幾春別川」で、そこから来た地名だとされています。

素晴らしいのはこの漢字の当て方。「いくつもの春の別れ」なんて、めちゃめちゃキュンときちゃう地名じゃないですか?僕の大好きな北海道の地名の一つです。

そもそも北海道には「●●別」という地名がたくさんあるのですが、これがハマるといい地名になるのです。

たとえばそれは「問寒別(といかんべつ/宗谷本線)」、「音別(おんべつ/根室本線)」

そして「悲別(かなしべつ)」

「昨日、悲別で」というドラマを覚えていますか? | 悲別ロマン座・公式ホームページ「昨日、悲別で」
今や、「まぼろしのドラマ」になってしまった 『昨日、悲別で』 日本テレビ系列金曜劇場で1984年(昭和59年)3月9日(金)から放送された、脚本:倉本聰のドラマ、 夢を追いかけて東京に出た若者と、故郷に残って地元で働く若者の心の交流を描いた『昨日、悲別で』 物語の舞台は、東京、北海道・悲別町(上砂川町がモデルの...

これは倉本聰さんのドラマに出てくる架空の地名ですが、北海道の寂れた炭鉱町に本当に実在しているかのような、儚くて美しい町を彷彿させる響きがありました。

「昨日、悲別で」「北の国から」の大ヒットに続いて倉本聰さんが鳴り物入りで制作したドラマなんですが、VTRもDVDも制作されず人々の記憶から消え去りつつある幻のドラマです。

22才の別れ【昨日、悲別で】

僕がこれを見てたのはちょうど北海道に住んでた大学生の頃。今でもこの「22才の別れ」を聞くと、ちょっと胸がキュンとします。「おっぱい」というあだ名で出てきたヒロインの石田えりが妙に艶っぽくって好きだったな。

ちまみにこの「悲別」のモデルとなった場所(ロケ地)は同じ空知の炭鉱地帯「上砂川」「歌志内」だとされています。

・・・と前置きが長くなりましたが、旧奔別炭鉱立坑櫓があるのは、この幾春別の町はずれ。

幾春別はかつての幌内線の終点でもあり、幾春別・奔別鉱山という二大炭鉱を背景に栄え、百貨店や飲食店などが軒を並べ、戦後は劇場が2つ建てられたほどで、三笠で一番の繁華街でした(クリックするとかつての写真が出ます)。

その幾春別の現在の姿はこんな感じ。

往時の賑わいとか熱気はないですね。それでもまだ建物があるぶん、町の面影はわずかながら残っているのでしょうか?

旧奔別炭鉱立坑櫓はこの幾春別のメインストリートの突き当りにあります。

かつての東洋一の立坑、旧奔別炭鉱立坑櫓へ

Ⓒ炭鉄港デジタル資料館(転用禁止)

旧住友奔別炭鉱立坑櫓は石炭採掘のための人や資材を運搬するために建設され、1959年に完成、翌年に操業しました。櫓の高さは約51m、深さは約735m、内径は約6mあり、当時は東洋一の立坑と呼ばれていました。

現在は敷地内立ち入り禁止になっていて、近くまで行けないので、ドローンの映像をお借りして紹介しましょう。

「東洋一」の立て坑、時は流れ 旧住友奔別炭鉱跡<ドローン撮影>

完成当時は国内最新のシステムが導入され「100年採炭できる」とも言われていましたが、立坑密閉作業中に死傷者を出す爆発事故が発生し、1971年に閉山しました。

比較的まだ原型をとどめているコンクリート部分と、むき出しの鉄筋とのギャップが凄いですね。

Ⓒ炭鉄港デジタル資料館(転用禁止)

解体作業中に事故があり、そのまま中断してしまったため、こんな状態で残っているのだそうです。向こう側に見えるのは精炭された石炭を貨車に積み込むための施設「ホッパー」でしょうか。

ホッパーを近くで見るとこんな感じのようです。

Ⓒ写真AC(転用禁止)

ホッパーの内部。ここに貨車を止めて上から石炭を落とし、そのまま列車で運搬していたのでしょう。

Ⓒ写真AC(転用禁止)

2010年代半ばまではここも「奔別アートプロジェクト」や「そらち炭鉱の記憶アートプロジェクト」といったイベント時限定で内部公開されていたようですが、老朽化が進んだせいか最近はそんな機会もないようです。また、積極的に保存活動がされている様子もないので、いつの日が崩れ落ちてしまう日が来るのでしょうか。

以前僕が行った福岡の旧志免鉱業所竪坑櫓は保存に向けて地域が動き出し、劣化防止に向けた工事も始まっているようです。

志免鉱業所竪坑櫓のセクシーな夜 【2017‐8九州‐10】
 前編「田主丸のセクシーなかっぱとか煩悩の一年の始まりとか」ずっと行きたいと思っていたのに、ベストな時期に合わずなかなか行けなかった場所、それが福岡空港の近くにあったのです。それが「志免町」。志免と書いて「しめ」と読みます。博多駅からバスで30分弱、福岡空港からは15分ほどで着いてしまうこの(聞いたこともないような)町...

この奔別立坑櫓は損傷が激しく、また北海道の旧炭鉱地域の財政も厳しいことから、保存活動もかなり困難かもしれませんが、なんとかこの見事な産業遺構が後世まで残っていくといいな、と思っています。

<2021年8月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください。

幾春別/旧奔別炭鉱立坑櫓への旅

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