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ニセコ「有島記念館」で、破天荒なパイセンを偲ぶ【北海道】

大正期の白樺派を代表する小説家、有島武郎さんは何を隠そう僕の北海道大学のパイセン(当時は札幌農学校でしたが)。

有島パイセンは、父から譲り受けた広大な農場を小作人に絶賛無償で解放しちゃったり、最後は人妻とうっかり情死しちゃったり、なかなか破天荒な人だったようです。

ニセコは、パイセンが経営した広大な有島農場があった場所ですが、そこでは今でもパイセンは郷土の偉大なヒーローのようで、その破天荒ぶりを紹介するための、めちゃめちゃ立派な「有島記念館」がありました。

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ニセコでレンタサイクル

北海道旅行中、札幌で1日まるまる時間ができたことがありました。

手元には青春18きっぷの残りがあったので、なんとなく汽車旅が楽しそうなところがいいな、と思って小樽まわりの函館本線(山を越えるので「山線」といわれています)で長万部方面に行き、ぶらっと降りたのがニセコ駅

函館本線の車窓から見えた羊蹄山。このあと雲に隠れちゃいました。。。

ニセコには大学時代毎年合宿で来ていたのですが、こうして駅に降り立つのはそれ以来かもしれません。

ニセコで降りたら駅にレンタサイクルがあったので、それを借りてサイクリングに出かけることにしました。

レンタサイクルのおにーさんにおすすめのコースを聞くと

(地図を指しながら)ここらへんがかつての有島農場のあたりで、景色がいいところです

ここに高橋牧場というのがあって、ソフトクリームが有名なんですけど、このあたりの景色もきれいです

「ニセコでレンタサイクル借りて3時間あるんだけど・・・」といった状況で、どんな観光コースがいいのかまったく見当がつかなかったので、今回は素直にそれに従ってみることにしました。(高橋牧場編も別記事で紹介します)

有島記念館へ

レンタサイクルのおにーさんのおすすめに従って、まずはかつての有島農場方面に向かいます。

ニセコ駅は市街地よりかなり低いところにあるので、駅前からニセコの町の中心部まではけっこうな坂道を登ります。

ニセコの町はずれにはこんなアパートもありました。

パイセンすごいな、アパートの名前にもなっちゃうなんて!

と思ってたら、このあたりは「ニセコ町有島」っていう住所なんですね。まあそれも有島パイセン由来なんだけど。

ニセコの小さな市街地を抜けて羊蹄山に向かって進むと(この日は見えませんでしたが)、やがて道端に「有島記念館」への誘導看板があらわれます。

案内に従って左折すると、そこには想像以上に素晴らしい建物がありました。

これはニセコ町が建てた記念館らしいですが、めちゃめちゃカッコいいですね。

「有島武郎 情死」

有島記念館の入館料は大人500円。館内には作家としての有島武郎の系譜と、父から引き継いだ農場経営者としての武郎の系譜が紹介されています。

有島パイセンは学習院中等科卒業後、札幌農学校(現在の北海道大学)に進学、その後アメリカ留学後に再び札幌農学校で教職に就くなど、北海道、そして北大にゆかりの深い人でした。

そんなパイセンの輝かしい経歴を紹介しようと、健気な後輩があらためて「有島武郎」で検索してみました。

ん?

なんで関連ワードのトップが「情死」なんですかぁぁぁ、パイセン!!!(まあこれ個人の検索履歴によって関連ワードの出かたも違うので、実は僕が情死好きなのかもしれませんけどね)

パイセンも本当は恋多き人だったんでしょうか。でも若き頃、キリスト教に陶酔していた関係上、そうした恋だの愛だの肉体だの、っていう夢想をする自分に罪悪感を覚え「精神的向上」とか言ってかなり自らを抑圧していたと思われます。

その後パイセンはキリスト教を離れ、結婚もしましたが、早くに妻と死別し、最後は婦人公論の記者であった人妻「波多野秋子」と魅かれあい、かなわぬ恋に思い悩みふたりで命を絶ちました。

修禅する人のごとくに世にそむき 静かに恋の門にのぞまん 

 有島武郎 辞世の3句のうちの一つ

健気な後輩の僕としては、

このうた、めちゃめちゃカッコいいぞ、男たるもの、これくらいの覚悟で禁断の恋にのぞむべき!

とか思うのですが、当時の文壇や知人からは相当に叩かれたようで、有島パイセンの師であり、これまた僕の学校のパイセンである内村鑑三

この度の有島氏の行為を称えるものが余の知人に居るならば、その者との交流を絶つ

と言ったそうです。交流絶たれちゃいました。まあ内村パイセンは日本の近代キリスト教の権化みたいな人なので無理もないかな。

もうひとつの有島武郎

作家、情死家?としての有島武郎は上記の通りですが、パイセンには、もうひとつ、農場経営者としての系譜があります。

そのためパイセンの代表作には、ニセコを舞台に自然とも社会とも調和できず本能のまま野生的に生きる農夫の姿を描いた作品「カインの末裔」など、農場を舞台とするものも残されています。

父が国から許可を受け、入植・開拓したマッカリベツ原野(現・ニセコ町)に広大な農場を持っていたパイセンは、あるとき突然宣言をして、この土地を小作人全員の共有のものとして無償解放してしまったのです。

これは当時大きな反響を呼び、当然地元の小作人たちも場主であるパイセンに大きな恩を感じることとなり、のちに「有島謝恩会」が設立され、そこで保管されていた資料の多くがこの有島記念館に残されているようです。

「有島」ガ地名になっていたり、ニセコ町がこれだけ立派な施設を作るのも、そんな歴史を聞いてなんとなくわかるような気がしました。

本来であれば、記念館の2階からは羊蹄山(蝦夷富士)の雄大な姿が望めるのだそうです。

しかしこの日は雲をかぶっちゃってましたね、残念でした。

1階にはニセコで人気の「高野珈琲店」のコーヒーを飲みながら、有島武郎作品はじめとするさまざまな本や雑誌が読めるブックカフェがありました。

こんなところにパイセンの記念館があるなんてぜんぜん知らなかったけど、もう一度よく晴れた日に再訪してもいいかな、と思いました。

<2021年8月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください。

ニセコ・有島記念館への旅

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