山鹿温泉灯籠祭りは、毎年8月15日から17日の未明にかけて、民謡「よへほ節」のメロディーにのって、ピンク色の艶っぽい浴衣姿の女性が、金・銀の紙だけで作られた金灯籠(かなとうろう)を頭にのせて市内を踊り歩くお祭り。
哀愁漂うメロディーにのせて、美しい浴衣姿を身にまとった女性が、幻想的に舞い踊る、というイメージは、越中八尾のおわら風の盆にも通じるものがあるのではないかと思っていました。
古い街並みが残る山鹿にはいつか行ってみたいと思っていたのですが、この灯籠祭りのことは知らず、山鹿に行こうと思っていたらたまたまその日が灯籠祭りの日程とバッチリ重なっていたのですが、もしかすると灯籠をかぶったどこかのおねーさんが、僕のことを呼び寄せたのかもしれません。
いや、きっとそうに違いない。
山鹿は古い町並みの残る温泉地
山鹿は熊本や玉名の町から内陸に向かってバスで1時間ちょっと。熊本と福岡の県境、九州山地を背後にした、豊前街道沿いの温泉町です。
山鹿大橋を渡った先、ここがかつての山鹿の町の入り口だったのだそうです。
通りには古い酒蔵などが往時の面影を残したまま、まだまだ健在です。
これは市内の中心部にある八千代座。明治43年に開業し、1世紀を越えた歴史を持つ芝居小屋で国の重要文化財です。
ここも、全国に残っている古い芝居小屋同様、旦那衆と呼ばれる山鹿の実業家たちの手によってつくられたものですが、老朽化と利用客の減少により一度は閉鎖されたものの、町おこし、文化継承のため再度開館したという歴史があります。
今は山鹿のシンボルとして観光施設となっており内部見学ができるほか、歌舞伎などの公演も行われているそうです。
市街地の中心にある、温泉プラザという建物。
温泉プラザの前にある灯籠祭りの銅像。
そう、山鹿と灯籠は切っても切れないのです。
そんなこんなで次第に日が傾き始め、町もにわかにお祭りっぽくなってきました。
ところでこの山鹿灯籠祭り、女子の浴衣率が異様に高く感じたのですが、気のせいでしょうか。
もちろん東京のお祭りでも浴衣女子は見かけますが、率からするとあまり高くでしょう。けれどもこのお祭りで見かけた10代20代女子に限って言えば、ナンパをすればほぼ浴衣女子にあたると思われます。
まあ10代20代に声をかけることはないので、僕的には30代40代の浴衣率ももう少し高いとうれしいのですが。。。
山鹿灯籠が艶っぽいお祭りなので、ここは特別に浴衣率が高いのでしょうか、それとも地方では今でもこんな感じなのでしょうか。
大宮神社の奉納灯籠踊り
さて、灯籠祭りは大宮神社での奉納灯籠踊りで本格的に幕を開けます。
8月15日の18時30分、頭に金銀の灯籠を載せ、ピンクの浴衣を纏った女性たちが狭い境内に現れ、奉納踊りを行います。
この踊り手さんたちは、山鹿灯籠踊り保存会の方だそうで、高校生以上の未婚女性で編成されているそうです。
うーん、さすがに3枚も続くと、僕の好みがバレちゃうような気もするんですが、ま、いいでしょう。
でも次々に目移りしちゃうくらい、きれいに見える人が多いのです。
なんてったって入会には、踊りだけはなく、知性教養、立ち居振る舞いなど、競争倍率350倍という厳しい試験にパスしなければならないのですから。(・・・・・ウソです。入会試験はないようです)
彼女たちの浴衣に「よへほ」という文字が見えますが、これは灯籠踊りを舞う際に流れる「よへほ節」の歌詞の一部。
現在のヨヘホ節の歌詞は野口雨情によって美しく書き直されたものとされていますが、オリジナルの歌詞はこんな感じ。
ぬしは山鹿の骨なし灯籠 ヨヘホ ヨヘホ
骨もなければ肉もなし ヨヘホ ヨヘホ
裏の山椒の木や仏か神か ヨヘホ ヨヘホ
忍び男のかげかくす ヨヘホ ヨヘホ
今宵忍ぶなら裏からおいで ヨヘホ ヨヘホ
表くんぐり戸ガラガラチャン音がする ヨヘホ ヨヘホ
裏の窓からこんにゃく投げて ヨヘホ ヨヘホ
今夜来るとの知らせかな ヨヘホ ヨヘホ
逢ひに来たもの何のただかへそ ヨヘホ ヨヘホ
裏の割木でどやてやれ ヨヘホ ヨヘホ
松の枯葉アレ見やしゃんせ ヨヘホ ヨヘホ
私もあの世に二人連れ ヨヘホ ヨヘホ
夜中に家の裏口から忍び込んだ男が、女の部屋の窓にこんにゃくを投げて誘い出す・・・
そしてあの世に二人連れ
これ思いっきりヤバい逢瀬の唄じゃないか!
どうりで踊りも艶めかしいと思った。
そしてめくるめく夜に酔う
山鹿の夏のゆっくりとした夕暮れが終わり、あたりが闇に包まれると、今度は市街地での灯籠踊りがはじまります。
これは、さくらの湯という山鹿温泉の元湯の建物の前。
たくさんのギャラリーが道路沿いを囲んでいます。
が、おわらほどの大混雑ではないので、行けば誰でもみられそうな感じでした。
僕は日程の関係でみられなかったのですが、山鹿灯籠踊りのハイライトは翌16日の「千人灯籠踊り」なのだと言います。
これは山鹿小学校のグランウンドの中央におかれた舞台を中心に、踊り子が同心円状に幾重にも重なって踊り、千の灯篭灯りが幻想的に舞う、というもの。
ヨヘホとは「酔ってしまおうよー」というような意味なのだそう。
酒に酔うのか、それともめくるめく夜に酔うのかわかりませんが、僕も酔ってみたくなりました。
ところが、さあこのあとどの娘の家でこんにゃく投げようか、と悩んでいるうちに、あっという間に熊本行きのバスの時間になってしまい、結局妄想に酔っただけで終わってしまいました。
<2015年8月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
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