かつての花街の華やかなりし時代を残す遊郭旅館は、もはやレッドリストの絶滅危惧種。
日本全国にわずかながら残ってはいるものの、公式Webサイトがあるものは少なく、予約は電話でおそるおそる・・・というのがほとんどです。
そんな中、なんとJTBや楽天、じゃらんといった大手旅行サイトから簡単に予約できる遊郭旅館が佐渡に残っています。
でも旅行サイトで予約できるところなんてどうせ・・・と舐めたらいけませんよ。この「金沢屋旅館」、本格的な遊郭の雰囲気を残した文化遺産級の旅館なのです。
佐渡に唯一残る元遊郭の転業旅館
金沢屋旅館があるのは、佐渡・両津港のある「両津湊(みなと)」と呼ばれる地区。佐渡汽船のフェリーターミナルから歩いても7、8分の便利な場所です、
趣のある家並みが続く本町通りを抜けて、海側の若宮通りへと出ると「旅館 金沢屋」の看板が見えてきます。
そしてこれが全景。
めちゃめちゃかっこよ!
1階の客室を隠す木のすだれとその下の土塀の意匠、2階のガラス張りと障子の廊下・・・まさにかつての遊郭って感じですね。
そう、ここはかつて両津湊に10軒ほどあった妓楼のひとつ「金澤楼」が旅館に転業して現在まで続いているものなのです。
かつて佐渡の両津には、この「両津湊」地区に10軒、現在は商店街が並んでいる「両津夷(えびす)」地区に20軒ほどの遊郭がありましたが、昭和33年に施行された売春防止法をきっかけにすべて廃業し、現在もその姿をとどめているのは、この「金沢屋」だけとなっています。
旅行サイトで予約できてめちゃめちゃ便利!
ここ最近、僕はバイブル「遊郭に泊まる」にある旅館をいくつか泊まり歩いているのですが、そのほとんどは公式サイトもなく、ましてや旅行サイトの掲載などないところがほとんどですが、この金沢屋旅館は、なんと大手旅行サイトでも普通に予約ができるのです。
最初に検索したのは、いつもメインで使っているJTB。まあ、当然ないだろうなと思いつつ「金沢屋旅館」と検索してみると
まさかの検索ヒット!JTBで取り扱ってるなんて、名旅館なのか!
ということで速攻で予約しました!(プランの設定がない時期もあるようなのでご注意ください)
ちなみにそのほかの大手旅行サイトを調べてみると
軒並み登場!
これ、めっちゃ便利です。いつも電話で耳の遠い宿のおやじさんに宿泊内容を説明するのとか結構大変でしたから。
いざ、元遊郭のお部屋へ
お昼前に着いてしまったので、いったん荷物を預けて観光し、帰ってきたのはすっかり暗くなってきてからでした。
ほかの遊郭旅館と同様、特にチェックインの手続きはなく、2階の客室に案内されます。
急な階段を上がると廊下に沿って客室が並んでいますが、電灯や欄間の意匠、部屋番号の札、どれをとってもエモいですね。
そして通されたのがこの客室。6畳間ほどで広くはありませんが、これこそ遊女とお客がつかの間の逢瀬を親密に過ごせる空間サイズなんだと思います。
隣の部屋との間仕切りにあった大型の屏風。
遊郭旅館は、ふすま一枚だけで隣の部屋と接していることも多いので、そのためかなと思ったのですが、ここはしっかり壁があったような気がします(確認はしませんでしたが)。
この旅館がほかの遊郭旅館と違うところは、部屋に鍵がかかることと、この障子の向こう側に洗面所がついていること。
旅行サイトでも予約ができるのは「鍵がかかる」「隣の部屋とふすまだけで接していない」という防犯上の規定もクリアしているからなのかもしれませんね。
文化遺産の宝庫のような館内
金沢屋旅館の館内には、ロビーや廊下など至るところに美術品や工芸品が並んでいます。
あまりにもたくさんのものが雑多に陳列されているので、わりと怪しいガラクタが多いイメージがするのですが、よく見るとひとつひとつはどれも文化遺産級のすごそうなものです。
良寛とも交流があったと言われる江戸時代の書家、亀田鵬斎の書。多分ホンモノでしょう。
佐渡の八幡人形(昭和初期に人形作りは根絶)。
この伊万里焼はかつで婚礼などで使われていたものだそうです。
僕が泊まったのはGWだったせいか、金沢屋旅館には遊郭旅館マニアだけでなく、一般のお客さんもたくさん泊まっていました。
部屋にはバスもトイレもなく、大浴場(というより家族風呂)も男女の別なく一カ所のみ。宿泊客はほかの誰かが入っていないことを確認して入らなければならないような手間がかかる旅館です。
それでも品のよさそうな年配の女性が「素敵な宿でした」と言って名残惜しそうに帰っていくのは、こうした文化的なコレクションや、かつての懐かしい日本を思い出させてくれるようなこの旅館の雰囲気が理由なのかもしれませんね。
金沢屋旅館があるのは、日本海とつながる汽水湖である「加茂湖」のほとり。
旅館の裏庭を抜けると、目の前に加茂湖と佐渡の最高峰「金北山」に連なる山並みが広がっています。
ここにやってくるウミネコと戯れるために、ご主人がかっぱえびせんをくれることもあるそうですが、今回はGWで忙しかったのか、あまり話をする機会はありませんでした。
館内のことももっといろいろ聞きたかったな。
ネットで気軽に予約できるので、また佐渡に来たらリベンジしてもいいな、と思いました。
<2022年5月訪問> 最新の情報は公式サイト(ないけど)等でご確認ください。
佐渡・金沢屋旅館の基本情報
金沢屋旅館への旅
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