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川崎にある「河原町団地」は、昭和の高度成長期真っただ中にできた巨大な団地。
しかも大きいだけではなく、当時最先端だったそのデザインが、2周くらいまわって、今も時代の最先端なんじゃないか、と思うくらいめちゃめちゃクールなのです。
きっと団地マニアの女子だったら失神しちゃうレベルです、わりとマジで。
高度成長期の川崎を支えたマンモス団地
河原町団地があるのは、川崎駅から北に15分ほど歩いた川崎市幸区。
ラゾーナやら最新のタワマンやらで、急にあか抜けてきた感のある川崎駅の西口を出て、昔ながらの商店街と住宅密集地を抜けると、河原町団地の中層階の建物群が見えてきます。
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「はなも~る商店街」という案内看板に従って進むと、いかにも、という感じの団地内の商店街に入りました。
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食品スーパーの「相鉄ローゼン」なんかも入っていて、ひとつの街感がありますね。
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なんか想像してたよりずっときれいで、公営住宅っぽくないと思ったのですが、実は駅から一番近い場所にあるこの建物(13~15号棟)は分譲住宅なんだそうです。
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ここはかつて東京製綱の川崎工場があった場所で、その広大な跡地に県営住宅と市営住宅、そしてこの分譲住宅が混在する全13棟、3600戸の巨大な団地群が河原町団地。
3600戸といえば、そこらへんの町村ひとつより大きな町ですよ。昭和のパワーを感じますね。
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これは耐震補強のための構造物だと思いますが、こそこそ隠しもせずに威風堂々としててムダにカッコいい。
河原町団地は「大谷幸夫」の名建築
最初に見たのはわりと普通の建物だったのですが、外に出て団地内を歩いていると、すぐに異様な建物を発見しました。
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そう、河原町団地といえば、その巨大さだけではなく、そのデザインの素晴らしさから「団地マニアの聖地」とも呼ばれているのです。
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千葉の高根台団地と川崎の河原町団地が双璧よね。そこに住んでる男子がいたらお泊りに行っちゃうかも!
と、むかし団地マニアの女子が言ってたので、一時真剣に考えたことが・・・ありませんが、それくらい有名なんだそうです。
その河原町団地の象徴といえば、この「逆Y字」棟。
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このデザインは世界的な建築家、丹下健三の教えを受けた「大谷幸夫」によるもの。このほかにも国立京都国際会館など日本建築史に残る名建築を手掛けたことでも知られています。
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近未来ですね、昭和時代の。アトム的な。
結局そんな時代はまだ来てないけど、50年も前に建てられたのに、今でもなんとなく未来を感じるってすごいことです。
もちろんデザインとしても秀逸なのですが、機能的には低層階の住戸でも日当たりが確保できるよう、こうした段々状にしているのでしょう。
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そうすることによって、建物の中には広大な空間が生まれ、住民の憩いの場、交流の場としても活用できるのです。
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かつてここには「雨に日でも子供が遊べる広場を」ということでバスケットコートがあったらしいのですが、ボールの音が騒音になるという理由で現在は使われておらず、少し前まで降っていた雨水がたまっているだけでした。
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それも時代の流れというべきか、もう昭和の頃の喧騒はここにはないのでしょう。そもそもこの団地も高齢化率が極めて高く、昔のように子供たちが集うようなシーンはないのかもしれません。
河原町団地屋上からの眺望
河原町団地はエレベーターも質実剛健な古きよき時代の産物でした。
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特徴的なのは階数の表示。
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中層階あたりの表示にはふたつの数字が並んでいますが、これは段々状に住戸が配置されていることで、下の写真のように隣接する直方体型の建物とフロアの高さにずれが生じているからなんだそうです(真ん中がエレベーター棟ですね)。
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せっかくなので上層階まで登ってみると、この雄姿。
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めちゃめちゃカッコいい!
中央部分に吹き抜けを作って採光を確保しつつ、その間をX字の階段で結ぶというその発想。
どこかのクールなDX系ベンチャーのロゴマークになっててもおかしくないようなデザインですね。
眼下に見えるのはかつてここにあった旧河原町小学校の校舎でしょうか。
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最盛期には1900人の児童がいて、川崎市内屈指の小学校だったらしいのですが、団地住民の高齢化と少子化の影響により2006年に廃校になってしまったようです。
近隣の新しいタワマンの向こうには多摩川。
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上から見ると段々状の住戸には小さいながらも「庭」があるのがわかりますね。
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上層階の住戸のバルコニーも、一直線でつながれたものを各戸ごとに仕切るものではなく、すべてが独立して作られているのも、効率化だけではない建築家のこだわりが感じられます。
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河原町団地、想像以上に「団地マニアの聖地」でした。これは団地マニア女子がお泊りに来ちゃうのも無理はないと思います。
帰り道、川崎駅方面に向かうとなんだか楽しげな商店街を抜けることになりました。
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なんだかここにはまだ昭和が残ってるような気がして、河原町団地に住んで、遊びに来た団地マニアの女の子とここを歩くのも楽しいだろうな、と思いました。
<2022年4月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
河原町団地への旅
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