かつて毎年、年越しは全国どこかの「ゆく年くる年」に出そうな場所で年明けを迎えることにしていた私。
しかも明治神宮みたいなメジャーなところではなく、地方局からの中継で映るようなしぶーい、しかし情緒あふれる場所を狙っているのです。
そんなわけでとある年に行ってみたのが、臼杵の石仏。
ここがまた、知る人ぞ知る、いい年越しの場所なんですよ。
大晦日の九四航路
四国・愛媛の八幡浜と九州・大分の臼杵を結ぶ九四航路。
大晦日の夕方に八幡浜を出航したフェリーに乗ると、船内はこの状態。
さすがにこんなにガラガラなフェリーは初めてですよ。
ま、大晦日の夜、紅白もガキ使も見ずにこんなシブーい航路に乗ってるほうが珍しいんですけどね。
人影もまばらな臼杵港ターミナルには迎えのタクシーもいません。
ま、運ちゃんも大晦日の夜くらいは「年忘れにっぽんの歌」で山本リンダとか見たいだろうしね。
そんなわけで港からの真っ暗な道を歩いて臼杵の市街地へ行くしかありません。
こんなとき家族の迎えが来るわけでもない、奈良県在住33歳独身ひとり旅女子とかいたらどーすんだよっ!
もしもそんな女子がいたら、日本一ロマンティックなナイスミドルが市内のホテルまで送りながら、頭上で満天に輝く冬の星座を指さして
ほら、あの冬の大三角の中に見えるのが、一角獣座だよ
いっかくじゅう座?すごーい、そんな素敵な星座があるのね💛
このあと臼杵の石仏に行って年越ししようと思うんだけど、その途中の真っ暗な国道で日本一ロマンティックな星空鑑賞会でもやってあげようか?
えーほんとーですか?臼杵石仏で年越しなんてこれまた・・・
ブラボー!
おおーっと、いきなり長友さん出てきちゃって、世の中そんなに甘くはないですね。
平成最後の年越しにふさわしいドリームナイトを用意しておいたのですが、市街地までの真っ暗な道を歩いているのは、僕が歩みを止めて空を見上げると、反対側の歩行者通路で一緒に立ち止まって空を見上げるひとり旅っぽいおっさんしかいなかったので、催行中止といたしました。
ということで僕の2018-19年の年越しは、臼杵石仏。
毎年恒例の「今年の年越しを風祭さまと過ごす待ち伏せ女子」も、さすがにだれも正解できなかったと思います。
さすが日本に恋する伝道師!
大晦日、真夜中の臼杵をレンタサイクルで疾走
その日は臼杵市内に泊ったのですが、市内から石仏までは7~8キロ。もちろん真夜中の臼杵石仏までの公共交通機関はありません。
そんなときは・・・そう、チャリですよチャリ。自転車なら距離的にはよゆーのよっちゃんです。
そんなわけでホテルで無料で借りられるレンタサイクルを使って、臼杵石仏での年越しイベントに出かけてみたのでした。
八町大路と呼ばれる臼杵の目抜き通りも、シンと静まりかえる大晦日の夜。
やっぱいい感じだな臼杵。
俺の目に狂いはなかった!
とか思ってたけど、真夜中のチャリはけっこう寒っ!
年末寒波がきてるので、南国九州といえどもたぶん気温は氷点下近かったんだと思います。
途中国道も街灯が途切れ、真っ暗な中をすすむ区間もありましたが、なんとか石仏前の土産屋や駐車場が並ぶ広場に到着すると、年越しイベント用のテントが張られ、臼杵名物しょうが入りの甘酒なんかも振舞われていて、とりあえずひと安心。
年越しのカウントダウンなんかもあって、地元の人を中心に参拝客も結構来てました。
ちなみに彼は臼杵のゆるキャラ「ほっとさん」。
もちろん国宝、臼杵石仏がモチーフですが、中に入ってるのはめっちゃかわいい女子かもしれません(妄想)。
情緒あふれる臼杵石仏での年越し
広場から石仏群への参道を照らすのはライトではなく、すべてかがり火。
なのでかなり雰囲気あります。
夏の終わりに行われる「臼杵石仏火まつり」の様子が、大林宣彦監督の映画「なごり雪」で印象的なシーンとして登場していましたが、それがまさにこんな感じ。
これがホキ石仏第一群。
ホキというのは「崖」という意味の地名だそうです。
僕が大学生のころに来たときは、石仏の上に屋根もなく、そのまま風雪に晒されてたものもあったような気がしますが、今は保護のため囲いができてるんですね。
坂道を上り、老若男女さまざまな人たちが石仏像の前に集います。
これが山王山石仏。
こう見ると結構大きな石仏だということがわかりますよね。
そしてここが通称、古園十三仏と呼ばれる臼杵石仏の中心的存在、古園石仏。
特にこの大日如来は日本の石仏の中でも最高傑作の一つと言われていますが、確かになんでも受け止めてくれそうな穏やかなお顔の仏様ですね。
「今年も僕の煩悩を温かく見守ってください!」とお祈りするにはこれ以上ない仏様ですね。
そして星空はじめ
古園石仏の高台から見下ろすと、石仏の里を照らすかがり火が見えました。
そうそう、こーゆーのが見たかったんだよ(ゆく年くる年のロケはやってなかったけど!)
帰り道。
午前2時、氷点下2度(テキトー予想)の真っ暗な国道を、臼杵の市街に戻るためひとり自転車をこいでいると、やっぱり星がきれいでした。
寒くて寒くて、早く帰りたかったんですが、これは足を止める意外ないな、というレベル。
おおおおおお、流れ星!
かと思ったら、国道を走る車のライトが電線にちょっとだけ写っちゃっだけでした。。。
三脚立てて、車通りが途切れる瞬間を狙って、何度も露出やシャッタースピードを変えて撮った写真がこれ。
一角獣座は全く分からなかったけど、ナイスミドル一人でも十分楽しめる、年の初めのロマンティックな時間だったと思います。
<2018年12月~2019年1月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
臼杵石仏の基本情報
臼杵石仏への旅
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