富山県に、かつての発電所を改装してできた「発電所美術館」という現代美術館があると聞いて、一度行ってみたかったのです。
そんなわけで「入善(にゅうぜん)町」という、今まで何度も通ったことはあったけど、ずっと通過していた町に初めて降りたってみました。
そうしたら意外や意外、ちょっと融通利かなそうで愛想のない発電所美術館なんかより、入善という場所そのもののほうが素晴らしかったかも、というお話です。
初めて降りたつ入善駅
現在は「あいの風とやま鉄道」の駅となっている「入善」。
ここは北陸新幹線開業前までは、JR北陸本線の駅だったため、富山、金沢、福井へと向かう際に、何度も通ったことのある駅でしたが、一度も降りたことはありませんでした。
しかし今回、初めてこうして降りたってみると、いきなり駅前の景色が素晴らしい!
春先の富山の地方都市の駅に共通するのかもしれませんが、よく晴れた日、残雪の北アルプスに向かって一直線に商店街が伸びる姿はカッコよすぎですね。
目的の発電所美術館は駅から5,6キロあるということで、観光案内所でレンタサイクルを借りて漕ぎ出すと、こーんな感じ!
入善は、黒部川によって形作られた広大な扇状地にあり、水の豊かな町として知られているのですが、ちょっと水量あってますか?
たんぼの脇でしゃがみこんで、スマホでなんか撮ってるお母さんがいたので、僕も一緒にチャレンジしてみます。
わりといい感じの撮れました!
うーん、今日は完全な水鏡じゃないから、本当はこんなもんじゃないわよ
本気だとどんだけすごいんすか、入善!
「下山芸術の森」展望塔へ
少しずつ勾配を登り、黒部川の河岸段丘の上の方にやってくると、やがて「下山芸術の森」と呼ばれる一画に到着します。
ここはかつて発電所の施設の一部だったものが、現在は展望塔や喫茶室、アトリエとして残されています。
実は発電所美術館本体はこの河岸段丘の下にあるレンガ造りの建物でした。
この発電所は、扇状地特有の低落差の河岸段丘を利用した小型水力発電所だったのだそうです。
せっかくなので展望塔に登ってみます。
ここから南東の方角に見えるのは白馬岳あたりでしょうか?
北を向けば散居村の向こうに北陸新幹線、遠く日本海も見えました。
ほとんどの写真に水が映ってて、入善は本当に水の町なんだと実感します。
発電所美術館とは
展望塔から発電所美術館へは階段を使って下りればすぐなのですが、今回は自転車で来ているので、河岸段丘の上から下まで、回り道をしながら坂道を下ります。
エントランスを入ると右側に美しい色合いの特徴的な建物があります。
これは黒東第3発電所という現役の水力発電所。
発電所として初めてグッドデザインに選定されていますが、中は立ち入り禁止になっています。
そしてこちらが旧発電所で、現在は美術館となっている建物。
大正15年に建設され、取り壊される予定だったレンガ造りの「旧黒部川第二発電所」が美術館として再生されたことで話題になり、1996年には国の登録有形文化財に登録されています。
建物内には、10メートルもの高い天井の下、タービンや導水管がそのままの形で残された空間が広がり、国内外の現代アートを中心に展覧会が開催されています。
ただし残念ながら館内は全面撮影禁止。
もちろんアートスペースなので、芸術作品の撮影ができないのはわかるのですが、館内の雰囲気は写真で伝えたかったな、というのが本音ですね。
この施設は、所有者である入善町から指名を受けた指定管理業者が(入善町の意向を受けて)運営しているのだと思いますが、サイト中身も現地での対応もわりと昔ながらの行政臭がプンプンしてもったいないと思いました。
素材はいいんだからもうちょっと本気出そうぜ、入善!
あいさい広場オリジナルソフトクリーム
朝、自転車を借りたとき、観光案内所のおねーさんから絶賛おすすめされたのが「オリジナルソフトクリーム付きレンタサイクルプラン」。
通常のレンタサイクルプランに100円プラスすると、JAのオリジナルアイスクリームがついてくるので、めっちゃお得なんですよ!
え、あ、じゃそれで!(ソフトクリーム嫌いじゃない)
そんな感じで観光案内所のおねーさんはわりと気合十分でしたが、まだ平日の午前中だったせいか、JAのおかーさんたちはわりとゆるい感じで、
あー、今、黒豆ソフトならできるけどそれでいいかな?
え、あ、じゃそれで!(黒豆ソフト嫌いじゃない)
ちなみにレンタサイクル+かきのプランもあるようです。
午後になって逆光から順光になりつつあるためでしょうか、入善駅に戻ってくると、駅前通りは朝よりさらに美しく見えました。
入善、全然知らなかったけどいいところだった。素材いいからもっとよくなるよ、きっと。
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