日本で一番好きなところは?と聞かれると迷いなく「北海道」と答える僕ですが、じゃあ北海道で一番好きな場所は?と聞かれるとけっこう悩みます。
それでも答えをいくつか絞り出すとすれば、その中に十勝・帯広は間違いなく入るでしょう。
そんなわけで毎年のように十勝に行っている僕ですが、最近ご無沙汰だった場所が「幸福駅」と「愛国駅」。
そしてその近くにできた「六花の森」には、まだ行ったことがなかったのです。
初!とかち帯広空港へ
北海道に行くのも基本は列車、というのが僕の旅のスタイルなので、北海道の地方空港は仕事以外ではあまり使ったことがありませんでした。帯広だって朝イチの新幹線で東京を出れば、夕方の5時には着きますからね。10時間くらい列車に乗り続ければですが。
そんなわけで、それまでとかち帯広空港に降り立ったことはなかったのですが、今回初めてヒコーキで帯広に行くことになりました。
着陸前、窓の外には素晴らしい十勝の大地のパッチワーク。
♪果てぇ~しぃ~ない~ 大ぉ~空と
松山千春「大空と大地の中で」
広ぉ~い大地の その中ぁ~で♪
思わずそんな歌を口ずさみながら初めてのとかち帯広空港に降り立って到着ロビーを出ると、
♪男ぉは~いつぅ~も 待たせぇる~だぁけで
松山千春「恋」
女ぁは~いつぅ~も 待ちくたぁ~びぃれて♪
と同じく千春を唄いながら僕を出迎えた女子が約1名。
待ちくたびれたわよ、あなた。
2年ぶりなんてヒドイじゃない?
いやいやいやいや
去年は君が俺の誘いを断ったんじゃなかったか?
彼女は十勝・帯広に住むカメラマン(ウーマン)の帯広帯子。
もう10年来の友人なのですが、十勝が大好きな僕はよく帯広に行くので、行きたい場所を見つけると、ときどきお誘いして車を出してもらうのです。
しかし帯子は僕の行きたい場所が自分の好みだと即座にOKするのですが、あまり気乗りしないところだと「きっとその日はお腹痛いから…」とか言って断るのです。
おまっ、1か月前からお腹痛いの予想できんのかっ!
幸い今回僕が行きたかった場所は、帯子も興味があったところだったらしく、即OKパターンでした。
四半世紀ぶりに幸福駅と愛国駅へ
そんなわけで、まず最初に向かったのは、ここ。
・・・幸福駅とか、意外とベタだな、帯子!
ま、ちょっとした取材があったため僕が行きたいと言ったんですけどね。
幸福駅と言えば、愛国から幸福ゆきのきっぷで有名な旧国鉄広尾線の駅。
広尾線は国鉄の最晩年、僕が大学生でまだ北海道に住んでいた時に廃止されたので、廃止前に1回か2回は行ったはずですが、それは四半世紀以上昔のこと。廃止されたあとに訪れるのは今回が初めてです。
今は交通公園として整備されていて、駅舎とホーム、そして当時のディーセルカーが2台保存されています。
駅前の売店では今でも「愛国から幸福ゆき」のグッズが並び、恋人の聖地として人気の観光地になっています。
幸福駅に行ったら、愛国駅にも行かなくちゃですね。
愛国駅も当時の駅舎のまま、きれいに保存されています。
愛国駅は幸福駅よりもずっと乗降客も多く、廃止当時は無人駅とはいえ、愛国から幸福ゆき切符の販売のため日中は有人だったようですが、こう見ると、当時はどんな小さい駅でも立派な駅舎があったんですね。
こっちの駅には9600系のSLが静態保存・展示されていました。
愛国駅とか幸福駅とか、僕でさえ「ベタベタな北海道初心者コースだなぁ」と思うくらいなので、十勝に住む帯子にとっては絶対に「お腹痛くなる」コースだと思ったのですが、帯子はノリノリ。
地元に住んでると意外に来ないのかもしれませんね。
今度は初めての六花の森へ
「愛国から幸福」コースに来たら、ぜひ行ってみたいところがありました。
それはこのすぐ近くに2007年にできた「六花の森」。
ここはその名の通り、六花亭が帯広空港近くの中札内村に作った100,000平方メートルの広大な庭園。
敷地内には工場や美術館、ミュージアムショップとレストランがありますが、僕はここに来たのは初めてでした。
園内にはエゾリンドウ、ハマナシ、オオバナノエンレイソウ、カタクリ、エゾリュウキンカ、シラネアオイーの十勝六花をはじめとする四季折々の山野草が植えられています。
「花柄包装紙館」は文字通り、六花亭の花柄包装紙で壁面を埋めつくした建物。
この六花亭のシンボルともいえる包装紙は、坂本直行さんが描いた山野草。
園内には坂本さんの美術作品が飾られている施設がこのほかにもあります。
これは「サイロ歴史館」。
「サイロ」とは六花亭が発行する児童詩誌で、創刊は昭和35年。その第1号から第600号までの表紙が壁一面に展示されています。
この「サイロ」もそうですが、六花亭はメセナやCSRに積極的な企業で、この「六花の森」はもちろんのこと、「中札内美術村」や「六花文庫」などの運営を行っています。
社内の福利厚生制度も充実しているらしく、おいしいお菓子作ってるだけじゃないんですね。
六花の森カフェ(六’café)へ
そう言えば大学時代、国語国文学研究室の同級生で六花亭に就職した女の子がいました。
なんで君は万葉集の研究して六花亭なんだ!と思いましたが、まあスイーツが大好きだったんでしょう。
卒業後、友達と帯広に遊びに行く機会があったので、そのついでに六花亭に寄って友達を紹介したら、そのあとそいつら結婚しやがった。
やいやい、俺を恋のキューピッドにしやがって!
マルセイバターサンド1年分くらいお礼に送れ!
そんなことを思い出しながら散策していると、散策コースの終着地点に「六’café(ロッカフェ)」がありました。
店内にはもちろんお菓子が買えるショップもあります。
ここは園内の庭園を眺めながら、隣接する工場でできあがったばかりのスイーツが食べられるカフェ。
ちなみにブッフェみたいに並ぶスイーツは選び放題、払い放題(食べ放題ではありません)。
でもどれもいちいちおいしそうなので、払い放題になっちゃいそうですね。
あるじゃん、俺の1年分のマルセイバターサンド!
ここのバターサンドはすぐ横の工場のできたてが食べられる貴重なもの。帯広の本店でも札幌でもけっして食べられないものなんですね。
ということで帯子に好きなだけ食べていいよ、と言ったらウハウハ言いながらスイーツブッフェの如くガンガン皿に盛りつけようとするではないか!
ちょちょちょ、もうランチの時間なんだからさ。。。
<2019年9月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
「六花の森」「幸福駅」への旅
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