北海道、稚内の手前にある日本最北の温泉郷、豊富温泉。
そんなキャッチコピーだけでも旅情を誘うのに、さらに日本屈指のオイル温泉で、独特の香りと湯ざわりが楽しめる、ということで前から行ってみたかったのです。
そこで泊まったのが「川島旅館」。
ところがこの川島旅館、すごかったのは温泉のオイルだけじゃなかったのです。
日本最北の温泉郷「豊富温泉」は、天然のオイル泉
豊富温泉があるのは、北海道の宗谷地方、稚内の40キロほど手前にある豊富町。
40キロというと結構な距離があるように感じますが、ここから先、稚内まではただただサロベツ原野が続くだけ。途中に町らしきものはなく、ここが稚内に一番近い隣町ということになります。
稚内行きの特急に乗ると、必ず豊富駅で停車するのですが、今まで降りたことはなく、いつかこの日本最北の温泉郷に行ってみたいと思っていたのです。
豊富温泉は、豊富駅からさらにバスに乗って10分ほどのところにあります。
豊富温泉は、大正末期、石油の試堀を行っていたときに天然ガスと温泉が噴出したことが発祥。そのためお湯は黄濁していて、石油臭があるのが特徴です。
お湯にオイルが含まれていることにより、肌の保湿効果が高く、近年はアトピーや乾癖などの慢性皮膚疾患に対する効果が注目されているのだそうです。
そんな豊富温泉で、今回宿泊したのは「川島旅館」。
豊富温泉開湯時から続く歴史ある宿ですが、2016年にリニューアルされ、モダンで洗練された姿になりましたが、里帰りしたようなあたたかなおもてなしの残る宿として人気なのだそうです。
あたたかさと、プライベート感が両立する川島旅館
川島旅館の客室は15室。最大定員でも30名も入らない、小さな旅館です。
ロビー周りやパブリックスペースも、大型旅館のような広さはありませんが、限られたスペースをうまく活用して親密感とプライベート感を両立させたような作りになっています。
木材が多用されているからでしょうか、館内全体にあたたかい空気が流れているような感じがします。
このロビーラウンジの薪ストーブに火が入ったら、もっとあたたかい感じになるんでしょうね。
僕が案内された部屋は「兜沼(かぶとぬま)」。
兜沼は、豊富と稚内の中間あたりにある沼の名前。各部屋には近隣の地名が付けられています。
中はシンプルなシングルタイプです。
温泉旅館でシングルルーム?と思うかもしれませんが、豊富温泉には湯治のため長期間滞在する方もいるため、プライベート感を重視しながら気軽に割安で泊まれる部屋は重宝されるのだと思います。
ファンのみなさま、安心してください。今回はひとりで人生について考えに来たので「誰かとしっぽり温泉旅」とかじゃありません。
ちなみにカップルやファミリー向けには貸切風呂まで直接行けるデラックスタイプの部屋もあります。
貸切のお風呂付き!!!行ってみたいです
※専用ではないそうです
今回はひとりだったので、貸切風呂の必要はなかったのですが、もちろん大浴場は満喫しました。
噂どおり、ほんのりと石油臭が漂うお湯はとろとろとなめらか。
閑散期の平日だったせいか、お客さんも少なくて、朝晩ともほぼ貸切でした。
そして夕食。
温泉旅館でのひとり夕食は、わりと場違い感があって孤独を感じることが多いのですが、川島旅館の食堂には適度なプライベート感がありました。木のあたたかさも関係しているかもしれませんね。
夕食は、各地で和洋中の修業を積んできた板長による創作料理。
一品一品手が込んでいる感じがしますね。
豊富町の名前の由来「食べ物が豊富にあつまるところ」。その土地の恵みを活かした素材を中心とした料理となっています。
夕食も十分満足でしたが、この川島旅館の食事は、朝がすごいのでした。
オリジナルフレーバーバターで食べる朝食
そして川島旅館の朝食。
食事会場に行ってまずびっくりしたのは、このバターのラインナップ。
そうなんです、川島旅館といえばこのフレーバーバター。
人間の人口4千人の4倍、1万6千の乳牛が暮らす豊富町は、良質な乳製品がつくられることでも有名。
北海道のコンビニ「セコマ(セイコーマート)」で、この「とよとみしぼり」がずらっと並んでいるのを見たことがある方も多いと思います。
川島旅館は、北海道の厳選された素材を使用した15種類のフレーバーバターを作っており、通販でも人気ですが、この朝食でも毎日そのうちの何種類かが用意されているのです。
でも、朝からバターたっぷりだなんて、摂取カロリー心配!
という方のために、板長の粋な言葉が書かれたトレイマットが置かれていました。
朝からバターでごはんやパンを食べると、むしろ血糖値の上昇を抑え、腸内環境も整えてくれるので、がんがん行っちゃってください!というやつですね。勇気出ます!
そんなわけで、僕もご飯の上にどーん!
ぜんぜんどーんじゃない!
いやいや、朝ごはんたっぷりありすぎてお腹いっぱいになっちゃったんだよ
川島旅館の朝食は、手作りの日替わりおかず6種がセットメニューとして用意され、ごはんやパン、牛乳はブッフェ形式。パンにたくさんバター付けて食べちゃったんですよね。
そんなわけで、川島旅館の朝食、もう一度食べる機会があれば、今度はバター三昧にしたいと思います。
朝の豊富温泉街がなんだかエモい
前日までの雨が上がって、キラキラ光る豊富温泉街。
豊富の温泉街は、この150メートルほどのメインストリート周辺に、今は10軒に満たない程度の旅館が残るのみ。
温泉街の一番奥にある町営の入浴施設、豊富温泉ふれあいセンターが温泉街の中核施設でしょうか。
温泉街の裏手を走る「サロベツリフレッシュロード」。ここから幌延や浜頓別方面に向かうことができます。
この道路沿いにあるのが、豊富温泉で最も大きな旅館「ホテル豊富」。
団体で来るときはここが多いですね。
むかし、旅行会社のパイセンが、何も知らずに豊富温泉の宿に団体客を連れてきたら、お湯が石油臭いと大クレームになったそうです。それが魅力なのに!
というか、ちゃんと最初にそれ伝えてくださいよ、パイセン!
サロベツリフレッシュロード側から見た、川島旅館。
庭にはペット?の子牛もいました。
豊富温泉は、スーパーもコンビニにもない日本最北の小さな温泉街ですが、もうちょっとここで過ごしてみたい、と思わせるなにかがありました。
次に来たときは、川島旅館のバター、全種制覇したいです。貸切風呂付のお部屋で!
<2022年10月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
豊富温泉「川島旅館」への旅
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