奈良の大仏、鎌倉の大仏が「日本三大仏」のメンバーだといえば、みんなそれなりに納得すると思いますが、富山の高岡にある「高岡大仏」が、実はそれに続く日本で3番目の大仏だ、というとそうなの?と思う方がほとんどかと思います。
それもそのはず、「日本三大仏」はこのほかに「岐阜大仏」「兵庫大仏」あたりも名乗り出ているようなので、これはあくまでも「言ったもん勝ち」のテキトーな称号なのかもしれません。
そんなわけでこの高岡大仏、今は想像のナナメ上の土俵で、ほかの大仏との差別化を図っています。
それが「日本一のイケメン大仏」という称号。まじかよ、高岡大仏!
高岡といえば、ドラえもん
高岡駅を出ると、出迎えてくれるのがドラえもん。
高岡は藤子・F・不二雄(藤本 弘)さんの出身地で、隣町の氷見出身の藤子不二雄Ⓐ(安孫子 素雄)さんと巡り会った場所でもあることからドラえもんの聖地となっています。
ここは「ドラえもんの散歩道」と呼ばれる場所ですが、市内を走る万葉線には「ドラえもんトラム」も走っています。
新幹線の新高岡駅近くの「高岡おとぎの森公園」には「ドラえもんの空き地」があって、ドラえもん世代はちょっとウルウルできるのでおススメめです。
高岡の2つの古い町並み
高岡は鉄器や銅器の鋳造が盛んな鋳物の町であり、米や綿の集散地としても賑わっていたため、市内には古い町並みが随所に残っています。そんなわけで大仏に行く前に少し市内を散策してみました。
これは旧高岡共立銀行、現在の富山銀行本店の赤レンガ。
やっぱり(東京駅など多くの赤レンガ建築を手がけた)辰野金吾監修でした。かっこいい
このあたりは山町筋と呼ばれ、土蔵造りの商家が並びます。
高岡信用金庫の本店も土蔵造りを模した重厚な建物。
旧本店は洋風のビルだったそうですが、周辺が山町筋重要伝統的建造物群保存地区に指定されたため、新築の際、建築ガイドラインに沿って建て直したそうです。
山町筋のはずれにあった郵便ポスト。
古い町並みに似合うレトロなポストではあるのですが、ムダにクセがつよい。
これ、向きが間違ってますよね?もしかして映え狙い?
古い町並みと写真映えしやすくしたのかもしれませんが、ちょっとやりすぎだぞ、高岡!
高岡のもうひとつの古い町並みは「金屋町」と呼ばれる格子の町家が並ぶ通り。
高岡は江戸時代から全国屈指の鋳物の産地ですが、ここはその鋳物職人の町。かっこいいですね。
こちらも国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されていて、銅器や鉄瓶の並ぶギャラリーやショップ、カフェが点在する観光スポットになっていました。
が、ここにもクセの強いやついた!
なぜラジオ体操なのか!ちょっとやりすぎだぞ、高岡!
日本一のイケメン大仏?
金屋町から市街地方面に戻って高岡大仏を目指すと、遠くのほうにラスボスみたいなのが見えてきました。
高岡大仏は13世紀ころ、承久の乱を避けて仏道に入った源義勝によって約5mの木造大仏が造立され、のちに前田利長によって現在の場所に移されたものが起源。その後2回の焼失を経て、現在のものは1933年に完成した3代目とされています。
しれっと「日本三大佛」と書かれていますが、特に日本大仏協会から承認されたものではありません。
高さは約16メートル。像高は奈良の大仏の約半分だそうですが、「円光背」と呼ばれる大きな後光を背負った姿は確かに特徴的ですね。
「日本3大仏」はもしかすると「自称」かもしれませんが、高岡大仏にはもう一つの称号があります。
それは「日本で一番イケメンな大仏」。
御朱印と一緒に大仏の写真を撮ろうしたら、うしろからこんな声が聞こえてきました。
はい、もっと近くでしっかり写真撮ってくださいよー、日本一美しいお顔の大仏さんだからねー
このお寺(大仏寺)の関係者なのかどうかはわかりませんが、とある年配の男性が僕にだけではなく、参拝客みんなに向けてそう言っています。
まさかの日本一のイケメン大仏!ずいぶんナナメ上の評価軸もってきたな!
この称号もいわゆる「自称」だろう、と思っていたら、実はかつて与謝野晶子が高岡大仏を訪れた際、
鎌倉の大仏もイケメンだけど、その鎌倉大仏より一段と美男💛
といったとされることから、必ずしも「自称」ではないようです。
そんなわけで近くでじっくり見てみると、ちょっとファンキーな感じもしますね。そーゆーのが好きだったんですかね、晶子は?
ちなみに「日本一イケメン大仏」でググってみると、TOPに「高岡大仏」が出てくるので、この戦略は今のところまずまず成功しているものと思われます。意外とやるな、高岡!
高岡名物「大仏焼」
大仏寺の境内には「大仏焼」というのぼりがたっていて、老夫婦が切り盛りする屋台がありました。
この屋台は、20年ほど前から主に春と秋の週末に出されていて、高岡大仏参拝客にも人気の名物菓子。
銅鋳物の焼き型で、日本一のイケメン大仏の姿に焼き上げられてますね。
中身はあんこかクリームで、僕はクリームのほうを食べてみましたが、焼き立てでおいしかったです。
ところがちょうど僕が行った頃、店主の藤本さんが高齢のため、店の後継者を募っている時期でした。
その後、富山市の飲食店経験がある女性が新たな後継者として決まったようなので、僕が食べた大仏焼は先代の貴重な作品だったことになりますね。
これが日本一イケメンな大仏の競演。
この大仏焼もずっと残っていてほしい高岡の名物ですね。
<2023年5月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
高岡大仏への旅
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