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遊郭旅館への旅 ~こみせの町にひっそり佇む「中村旅館」【青森県黒石市】

みなさん、今もなお、遊郭に泊まることができることをご存知でしょうか?

正確には「元」遊郭。昭和33年に売春防止法が施行され、日本全国から遊郭が消えてしまったあと、残った建物の一部が今もなお「転業旅館」として細々と営業を続けているのです。

今回紹介するのは青森県黒石市に残る「中村旅館」

江戸時代から残る木造のアーケード「こみせ」が続く通りから一本外れた場所にひっそりと佇む情緒あふれる宿でした。

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「こみせ」の外れにひっそりと

中村旅館がある黒石は「こみせ」の町として知られています。

「こみせ」とは通りの歩道に付けられた木造の屋根のことで、いわば木造のアーケード。豪雪地帯であるこの地の人々の積雪時の歩行通路として作られたものです。

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晴でも雨でも、朝でも夜でも、ただそれがそこに存在するだけで情緒的な雰囲気の町並みなのですが、その通りを一本外れると、黒石の中心部に今も残るかつての商家にも劣らぬような立派な建物があります。

これが、この黒石に今も唯一残る元遊郭の建物である「中村旅館」です。

かつて黒石のこの一帯は「裏町」(現在も住所は浦町)とよばれ、3軒の遊郭があったのですが、ここはそのひとつで創業は明治19年、築140年近い建物だそうです。

今回はGWの谷間の平日に来たので、ここで2泊して1日はワーケーションすることにしました。

遊郭でワーケーション!素敵💛

と思った女子のみなさん、ぜひ今度リクエストお待ちしております。

中村旅館の客室へ

立派な松がある中庭の脇のアプローチを通って玄関へ。

玄関を入るとどどーん!と目に入ってくるのが、この急傾斜の階段。

ここは遊女が並んで顔見世をするための階段だったという話もあるようですが、諸説あるようです。もしそうだったとしたらかなり華やかで壮観な空間だったと思いますが。

客室は2階をメインに使っているようで、僕のお部屋は2階の「6号室」と案内されます。細い廊下を進み、6号室の引き戸を開けるとこの状態。

廊下と外は引き戸1枚で隔たっているだけで、もちろん鍵もなし。本当に遊郭の小部屋だったところがそのまま客室になっているんですね。

ちなみに奥のふすまを開けるとその先もすぐ廊下でした。

こんなふすま一枚を隔てただけのお部屋で遊郭遊びしてたなんて!💛

と思った女子のみなさん、ぜひ今度リクエストお待ちしております。

小さなちゃぶ台がひとつとお茶のセット、冷蔵庫、テレビとストーブというシンプルで必要最低限の備品しかありませんが、築140年近い元遊郭部屋とはいえ、中はきれいにリフォームされていて清潔感はばっちりです。

青い襖が唯一、淫靡な元遊郭っぽい証なのかな、と思っていたらスゴイの発見しました。

柱に遊女が描かれています。

よく見ると、写真を切り取って貼ってあるような感じもしますが、この遊郭が廃業したのは昭和33年ですから、それ以前にこんなカラーの写真があるはずはありません。はがれ方を見ると、紙ではなくてうすい木材のような気もしますが、詳細はわかりません。

いずれにせよ、エモいお部屋ですね。ここで2日間、遊女たちに見守られながら過ごすことになります。

これは打たれたくぎのあたまを隠す「釘隠し」のようです。いちいちエモいですね。

中村旅館の館内を探検

せっかくなので、あいている部屋を中心に館内も見学させてもらいました。

階段をのぼると、3方面に廊下が伸びています。

階段のすぐわきにある部屋が「遣手婆」の部屋。

遣手婆は、客と遊女の取り持ちから遊女たちの教育まで、いわば遊郭内部を仕切っていた存在だったそうです。「千と千尋・・・」の湯婆婆みたいなイメージだったのかな。

この廊下沿いに僕の部屋も含め3つくらい部屋が並び、奥の突き当りに二間続きの部屋がありました。

今は二間続きで使っているようですが、それぞれの部屋から正面のような廊下に出られるので、昔は2つの遊女部屋として使っていたのでしょう。

途中で天井を見上げると、館内で屋根が重なり合っている様子がわかります。

中村旅館は中央棟の両脇に東棟、西棟がくっついているようなコの字の形をしていますが、実際には全部同時に建てられていて、特に棟で分断されているわけではありません。

なのにまるであとから建て増ししたかのように西側部分の屋根が中央部分よりも高いのは、ここに身分の高い花魁の部屋を作っていたからのようです。

右側の1号室が隣の部屋よりも高い位置に作られているのがおわかりでしょうか?

この日は唯一の2人連れ客である40代くらいのカップルが泊まっていたので中は見られなかったのですが、花魁部屋には床の間もあり立派な作りになっているようです。

西棟の廊下の窓から見た中村旅館。立派な松と青い屋根が映えますね。

廊下の意匠も遊郭風ですね。今はサッシが張られちゃってるけど、昔はどんなんだったんだろう。

建物がコの字になっているので、途中でこういう鋭角的な廊下がたくさんあります。

狭くて急な階段があったりして、宮田珠己さんの四次元温泉日記的な香りもします。

中村旅館のお風呂と朝食

中村旅館には共同のお風呂が一つしかないため、宿泊客が交代で入るようです。夕方宿に戻るとお風呂の時間を聞かれるのでそこで希望の時間を自己申告して入ります。

遊郭のお風呂ってどんなんだろう!と思っていたのですが、意外に普通の(しかしレトロな)お風呂でした。

時間になってお風呂場に行くと、2日ともまるで最初に入るかのようにきれいに掃除されていたのですが、時間的にきっと一番湯ではなかったはずなので、1人1人が出終わったあと、掃除をしているのだと思います。

洗い場も広いので、ゆっくり混浴可能です。

中村旅館は老齢の女将とその娘さんの若女将が切り盛りしているようでしたが、僕が行った時は女将の姿は見えず(声はときどき聞こえました)、ほぼ若女将がいろいろなことに対応してくれました。

その若女将に案内された翌朝の朝食はこれ。

まさに日本の正しい朝ごはんですね。

ちなみに朝食も希望の時間を聞かれて、小さな部屋で共同でとるのですが、1日目は花魁部屋に泊まっていた40代カップルと常にラジオを聞いている(朝食会場にも当然持ち込み)謎のおじさんと僕の4人が1セットでした。

このおじさんは僕の部屋の隣にいるらしく、朝も夜もラジオを流してたわけですが、ご想像のとおり襖で廊下とつながっているだけなので、その気になれば一緒に中身も聞けちゃうくらい。でもカップルで来てたりすると、話し声も物音も全部聞こえちゃいそうなので、こういうおじさんがいると便利かもしれません。今度僕がカップルで来るときは、ぜひこのおじさんにいてほしいです。

1日目はこのほかにひとり旅ふうの男性が一人いたので宿泊客は5人くらいだったのでしょうか。

2日目はラジオのおじさんのほかに、めちゃめちゃ荷物の多い(チェックアウトの時に軽トラックを呼んで積み込んでました)くたびれた博士っぽいおじさんというワンダーな客層だったのですが、1人だけ単独女性がいるようでした。

結局最後まで顔を合わせることはなかったのですが、東側の奧のほうの部屋で電話で話す声が聞こえました(もしかしたら中国語だったかもしれません)。

中村旅館も「元遊郭の旅館」ということで本で紹介されたり、ネットで紹介されたりしているので、こういうレトロなものが好きな人たちが全国から(全世界から)訪れるのかもしれませんね。

今回は特に取材したわけでもないので、若女将からもあまり根掘り葉掘り聞いたわけではありませんでしたが、帰り際に

また近くまで来たら泊まりに来てくださいね

と言ってもらったので、今度はじっくりお話を聞いてみたいと思います。

<2022年5月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください

最近の僕のバイブルの一つ/今回の参考資料

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中村旅館の基本情報

中村旅館 | 一般社団法人黒石観光協会
中村旅館 所在地 〒036-0366 黒石市浦町1-33 TEL 0172-52-2726 FAX 0172

中村旅館への旅

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