
「散居村」は、広大な平地の田畑の中に屋敷が点在して建てられている村落で、なかでも富山・砺波(となみ)平野の散居村は日本最大の規模だといわれています。
「日本の原風景」といわれるその富山の散居村を一度見てみたくて、田んぼに水が張られ、ベストシーズンといわれる5月に、レンタサイクルで砺波平野をめぐってみたお話です。
砺波駅観光案内所のホスピタリティあふれるマダム
高岡からJR城端線で約30分、砺波平野の散居村めぐりの玄関口となる砺波駅に到着します。
砺波にはレンタサイクルがあって、駅の観光案内所で借りられるということだったので、さっそく立ち寄ってみました。

僕が行ったのはちょうどGWで、砺波のチューリップフェアの期間中ということもあって、駅もとても賑わっていたのですが、この観光案内所のマダムがとてもナイスな感じでした。

自転車でチューリップ見に行くのかしら?

いえ、散居村が見られる展望台に行こうと思ってます

あら、自転車で!きっとまだ体力ビンビンのナイスミドルとお見受けするけど、それでも山の上だから結構たいへんよ?
マダムによると、一番有名な展望スポットは地図の②散居村展望台と③散居村展望広場ですが、ここは夢の平というスキー場の近くにあり、標高も400m以上でかなり山道を登るため、いくら電動だとは言え、自転車だとたいへんとのことでした。


自転車で行くなら井波がいいわよ、井波もいいところよ
マダムの言う「井波」とは、お隣の南砺市井波にある地図の⑥の閑乗寺公園のこと。ここは夢の平ほど高所ではありませんが、それでも散居村を一望するには十分なのだそうです。

マダム、砺波市の観光案内所なのに、隣町の観光地をオススメしてくれるなんてどんだけ寛容なんだ!

なんなら小矢部市のクロスランドおやべもいいわよ、あそこはタワーなのでエレベーターで展望台まで昇れちゃうし!

なんか矢継ぎばやに隣町紹介してきてる!ホスピタリティ高すぎだけど、大丈夫か砺波市!
そんなわけで、今回はマダムオススメの南砺市井波にある閑乗寺公園に行ってみることにしました。
閑乗寺公園展望台からの散居村
砺波駅から閑乗寺公園までは10キロと少し。国道156号をひたすら南下します。

やがて木彫りでできた巨大な案内板があり、ここから井波の町へと入ります。

のちほど紹介しますが、井波は日本一の彫刻の技術を誇る伝統的工芸品「井波彫刻」で有名な町。

町並みも情緒ありますよね。
とか悠長なこと言ってたら、閑乗寺公園に続く道は結構な登山道路。体力ビンビンでもまずまず大変でした。夢の平に行ってなくてよかったよ、マダム!

やがて山の中腹の少し拓けた場所に出ると、そこが八乙女山の麓に広がる閑乗寺公園。

敷地内にはキャンプ場やコテージ、芝生グラウンド、大型遊具などがあり、さらに登った展望広場からは、砺波平野の散居村風景を一望することができます。

おおお、たしかに散居村!

田んぼの中に個別の防風林を従えた屋敷が無限に点在しているのがわかります。

田んぼの水がまだわずかにしか張られていなかったのが少し残念ですが、本格的な田植えはGW過ぎになるのでしょうか。
ちはみに、5月のベストシーズンの夕暮れの散居村はこんな絶景になるのだそうです。

おそらくこれは夢の平の展望スポットからの景観だと思いますが、この閑乗寺公園からもこれに近い絶景が見られそうですね。
オリンピックおじさん、のち、日本一の彫刻の町「井波」
閑乗寺公園から山道を下り、マダムおススメの井波の町へ向かいます。
すると途中で「いなみ木彫りの里 創遊館」という名前の道の駅があったので、ちょっと休憩で立ち寄ってみました。

建物の中に入るといきなり彫刻とぜんぜん関係のない感じの無料ミュージアムがありました。

オリンピックおじさん!!!
言われてみればなんかそんな人いたな、という感じですが、おそらく僕もテレビでオリンピック観戦中に見たことあるんだと思います。

この「オリンピックおじさん」こと山田さんはここ井波の出身ですが、東京で事業で一旗揚げて、スポーツ界のパトロンをしていたんですね。

残念ながら楽しみにしていた東京オリンピックを待たずに、2019年に92歳で亡くなったようですが、この展示場は生前につくられたようで、多くのアスリートと一緒に写る山田さんの写真やサインが飾られていました。

ぜんぜん彫刻関係なかったけど、オリンピックおじさんでお腹いっぱいになっちゃったので、隣接する井波彫刻総合会館はスルーします。

さて、この井波の町は、1390年に本願寺井波別院として建立された瑞泉寺が、江戸時代中期の本堂再建の際、京都本願寺から御用彫刻師・前川三四郎が派遣され、このとき地元大工が彫刻の技法を本格的に習ったのが始まりとされています。

その後、彼らの子孫によって受け継がれてきた伝統ある「井波彫刻」は日本を代表する彫刻技術として、寺社彫刻から民家の室内彫刻へと移り変わり、現在では、約200人の職人の工房がこの八日町通りを中心に軒を連ねています。

本当はこの通りの突き当たりに前川三四郎の彫った山門が残る瑞泉寺があったのですが、残念ながらあまり時間がなかったので割愛しました。どんだけオリンピックおじさんに時間費やしたんだ、って話ですが。
ということで、井波には体験プランもたくさんあるようなので、ぜひ行ってみてください!

クロスランドおやべにも行ってみた!
隣町なのにわざわざマダムが紹介してくれたので、翌日、小矢部市の「クロスランドおやべ」にも行ってみました。
まあもともと小矢部にはメルヘン建築を見にいくつもりだったんですけどね。

クロスランドおやべは、展望タワーを中心に、ホールや広場、博物館などが一体となった公園。

クロスランドおやべのシンボルである展望塔の最高部の高さは118m、地上100mの展望フロアからはそれぞれの季節の風情に富んだ砺波平野が一望できるため、散居村眺望スポットとしても有名なんだそうです。
というかエレベーターで散居村展望に行けるなんて天才!

その展望塔からの眺めがこちら。

さすがに前日の閑乗寺公園より低い感じはするけど、確かに散居村ですね。

もっと澄んでいれば散居村の向こうに立山連峰も見えるはずです。
北側には北陸新幹線が見えるため、このあたりの通過時刻表も貼ってありました。

と、そこまではよかったのですが、なんか下に見えるぞ。

出たよ、「恋人の聖地」的なやつ!
なんで日本のカップルたちはこんなに恋人の聖地が好きなんでしょうね。

散居村の美しい風景に、こんな人工の💛マークはいりませんよね。

そんなものに頼っちゃだめよ、愛は自分たちの力ではぐぐむものよ
きっとマダムもそういうに違いありませんね。
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砺波平野散居村への旅

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