北関東の一部、群馬県や埼玉県北部は今や絶滅危惧種のレトロ自販機の宝庫として知られ、レトロマニアのひそかな人気スポットになっています。
そんなレトロ自販機が並ぶオートレストランが市内に複数存在するのが、群馬県伊勢崎市。
そこで今回は市内にあるレトロ自販機ドライブインの新興勢力「自販機食堂」と保守本流「オレンジハット」の2つをめぐってみましたが、同じレトロ自販機スポットでもその違いは歴然!
はたしてみなさんはどっちが好みでしょうか?
北関東はレトロ自販機ドライブインの宝庫!
レトロ自販機とは、昭和時代に一世を風靡した、うどんやトースト、ハンバーガーなどの自動調理販売機で、かつてはこうした自販機が並ぶ無人のオートレストランが全国津々浦々に展開されていました。
今やレトロ自販機自体が絶滅寸前と言われていますが、群馬県や埼玉県の北部では、まだこうしたレトロ自販機が現役で活躍するドライブインが残っています。
僕の家の近くにも、今やレトロ自販機ドライブインの聖地として名高い「ドライブイン七輿(ななこし)」があり、昔はよく早朝とか深夜に自転車で突撃し、いろんな意味でお世話になっていました。
そんなレトロ自販機ドライブインが市内に複数残っているのが、群馬県の伊勢崎市。せっかくなので両方めぐってみよう、と行ってみたところ、保守本流と新興勢力とでも区分したいくらいタイプが違っていたのです。
まず最初に行ったのは、レトロ自販機ドライブインの新興勢力ともいえる「自販機食堂」。
伊勢崎市内から埼玉の本庄方面に向かう国道462号沿いに大きな看板が出ています。タイ古式マッサージのほうが目立ってるけど!
ふつうレトロ自販機ドライブインといえば、幹線道路沿いでも比較的閑散とした土地を存分に使って平屋建ての大きな建物と広大な駐車場を備えていることが多いのですが、ここはなんと近代的なマンションの一階。
それもそのはず、この自販機食堂は昭和時代から残るレトロなドライブインではなく、比較的最近できたスポットなのです。まさにレトロ自販機ドライブインの新興勢力ですね。
レトロ自販機ドライブインの健全な新興勢力「自販機食堂」
中に入るといきなり視界に飛び込んでくるのが、「うどん・そば」「ハンバーガー」のレトロ自販機。
そして反対側には「トーストサンド」と「瓶のコカコーラ」。
いきなりレトロ自販機御三家「うどんそば」「ハンバーガー」「トースト」勢ぞろいですね。
店内は小さいながらもこぎれいなカウンター席やテーブル席などもあって、こうした食べ物をイートインで楽しむことができるようになっています。
最近人気のレトロ自販機オリジナルグッズなんかも売っています。
こうしてみると、確かにレトロ自販機ドライブインそのものであることは間違いないんだけど、何かが足りない。
ツーリング途中のライダーがさわやかに談笑してるんだけど、それでいいのか?レトロ自販機ドライブイン!
今やレトロラブホかレトロ自販機ドライブインくらいでしか見かけないこの妖しいコンビニボックスに入ってる商品が、オリジナルトートバッグとかで本当にいいのか?
レトロ自販機ドライブインの、あの猥雑さが足りない!
そうなんです、この自販機食堂、明るくてきれいで健全なので、あのレトロ自販機ドライブイン特有の猥雑さがないのです。いわばレトロ自販機が置いてある休憩所、みたいな感覚ですね。
というのも、この自販機食堂のオーナーは食品製造卸の方で、自社商品などのテストの場が欲しくてこのお店をオープンしたのですが、すでに食品自販機は生産中止になっていたため、レトロ自販機を探して集めてきたのだそうです。
すると、レトロ自販機好きな常連さんたちがここに集まり始め、店内の装飾やデザインなどを協力してくれるようになり、現在のような明るくて現代風のレトロ自販機スポットになったようです。
なので僕のような昭和の人間はなにかもの足りなさを感じてしまうのですが、平成・令和の人にとっては、これはこれでありなのかもしれませんね。
せっかくレトロ自販機ドライブインに来たので、今回は「うどん」自販機に入っていた「ラーメン」を食べてみることにしました。
30秒くらいであっという間にできあがります。
出てきたときは何も具が入っていないようにみえますが、下のほうにちゃんと隠れています。
さすが食品製造卸の会社の商品だけあって、味はカップ麺などとは違って、レトロ自販機にふさわしい本格的なものでしたよ。
レトロ自販機レストランの保守本流「オレンジハット」
「自販機食堂」がレトロ自販機レストランの健全な新興勢力だったのに対し、保守本流というべき存在が「オレンジハット」。
オレンジハットは、かつて群馬県を中心に多くの店舗があった自販機ドライブインチェーン。
しかしここも現在は群馬県内に2店舗が残るのみとなった昭和レトロ遺産の絶滅危惧種で、そのうちのひとつがここ伊勢崎市の茂呂店。
ここにももちろんレトロ自販機御三家が勢ぞろいしていますが、このオレンジハットの特徴は、レトロ自販機のほかに、レトロゲームセンターも併設している点。
というか今や飲食スペースは1~2割で、それ以外はほとんどレトロゲーセン化していました。
レトロゲームのメインは、勝ち進むにつれ対戦相手の女子がいやーん、とか言いながら着衣を外していくカードゲームや麻雀ゲームなのですが、たいてい最後まで行く前にコンピューターが本気出してきて
ゴメンね、もう一回チャレンジしてね
とか言われて、野望を果たすため無限ループでお金をつぎ込むようになってるやつですね。
昭和の男はバカでしたね!(早朝深夜に「ドライブイン七輿」に自転車で乗り付けてた僕も含めて)
というか、今だと「不適切にもほどがある」とか言われて騒ぎ立てられそうなやつですね。
でもこの昭和の猥雑さを残していることが、レトロ自販機ドライブインの保守本流だと思うのです。
これぞレトロ自販機ドライブインの猥雑さ!
まずはこのレトロなユーフォーキャッチャー。
中身は、レトロ自販機ドライブインお約束のセクスィーなショーツ。
カップルで来てメンズが女子のためにチャレンジするのでしょうか?そんな光景はみたことないけど。
やはりターゲットは男子なんですかね?そもそもレトロ自販機ドライブインの来客の90%は単独♂ですしね(残り9.8%はカップル、単独女子は0.2%くらいですかね。まだ出会ったことないので、いつか会ってみたいです)。
僕は麻雀で女子と勝負する気はなかったのですが、懐かしいパチンコがたくさんあったので、ちょっとやってみたくなりました。
あ、大当たりしちゃった!
もちろんゲーセンなので換金できるわけじゃないのですが、こんなチケットが出てきました。
このカードを何枚かためると景品と交換できるみたいですが、1枚じゃダメですね。
何枚か集めるとそれなりに楽しそうな商品と変えられそうです。
これも交換商品かな、と思って見てみると、こちらはユーフォーキャッチャーでした(特にほしかったわけではありません)。
レトロ自販機ドライブインなので、ユーフォーキャッチャーにアダルトなDVDがあるのはわかるけど、この景品は初めて見ました。
レトロ自販機ドライブインに巣くう♂がこれを必死で狙ってる姿はあんまり想像したくないけど、それもレトロ自販機ドライブインならではの猥雑さの一つですね。
夜のオレンジハット。これぞレトロ自販機ドライブインの保守本流、という姿を誇示するように闇夜に輝いていました。
余談ですが、このオレンジハットのデザインのひげ・・・
あの自販機食堂のキャラクターの女の子のひげと同じですよね?
というかこの女の子のエプロン、オレンジハットのデザインですよね。
実は自販機食堂は、かつて群馬を席巻したオレンジハットをリスペクトして作られているとも言われています。
そういう意味では、新興勢力も保守本流も対立する存在なのではなく、同じレトロ自販機レストランとして力を合わせてずっと残ってほしいですね。
<2024年2月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
「自販機食堂」「オレンジハット」への旅
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