大分にはずっと前から行ってみたかった、かなりB級なスポットが2つあったのでした。
ひとつは大分の南の端、佐伯の奥深い里山にある「ととろのバス停」。
もうひとつは大分北部の最深部の山中にある「宇佐のマチュピチュ」。
どちらも都市部から離れた辺鄙な場所にあり、公共の交通機関を使って訪れるのは難易度が高い場所だったのですが、そんな僕に、救世主が現れたのです。
ひょんなことから大分に住む謎の美女に、車で案内してもらえることになったのです。
トトロのバス停
本来はいかなる困難な場所にも、そこに道がある限り果敢に挑戦するのが僕の旅のスタイルなので、たとえ酷暑の中、3時間、4時間と歩いているうちに旅の途上でのたれ死んでも悔いなし、というくらいの覚悟であったことは言うまでもありません。
しかし僕の祖父(かもしれない)福田赳夫が首相時代に、日本赤軍による日航機ハイ ジャック事件で言った「人の命と旅の出会いは、地球より重い」という格言に従い、今回に限っては超法規的に謎の美女のお言葉に甘えることにしました(※一部妄想あり)。
そんなわけで朝から小雨の降る8月の月曜日、これは超法規的な例外、と心を鬼にして、大分駅で待ち合わせした僕は彼女の車上の人となったのでした。
ととろのバス停は大分県南部の宇目町というところに実際に存在したバス停でした(今は合併して佐伯市になっています)。
そのあたりの集落が轟(ととろ)という名前だったのだそうです。
数年前にととろを通る大分バスの路線が廃止になってしまったのですが、「トトロのバス停」として訪れる観光客も多数いたため、場所を移動して今もこうして保存されているようです。
今は大分バスの代わりに地元自治体が運営するコミュニティバスが走っていて、その「ととろ」バス停は旧ととろバス停隣に存在しています(バスは定期運行されていないので、めったに来ないと思いますが)。
ジブリ映画が人気になると、いつの頃からか、こうして『となりのトトロ』の登場人物のパネルや人形が次々と置かれるようになったのだそうです。
バス停の少し山側には猫バスもあります。
これもトトロに出てくる女の子ですね、名前は忘れましたが。
バス停の近くに観光客向けと思われるこじんまりとしたカフェが1件ありますが、あとは昔ながらの静かな里山です。
謎の美女は昔ここに来たことがあったとのことですが、まだそれは大分バスが走っている頃で、この場所に移設される前だったそうです。
公共交通機関を使ってここに来ようと思うと、佐伯駅か三重町駅から路線バスに乗って小野市というところまで来て、そこから片道1時間半ほど歩かなければなりませんでした。
超法規的な例外を適用していてよかった、という感じです。雨模様だし。
宇佐のマチュピチュ
地元民以外は誰も知らないようなこんな山の中に、日本のマチュピチュがあったなんて、いったい誰が、いつ発見したのでしょうか?
その地名を取って「宇佐のマチュピチュ」と呼ばれるその場所は、大分北部の旧院内町(現宇佐市)西椎屋の集落のことを言うのです。
バスは1日4往復。しかも宇佐や中津などの駅から直通する便はなく、途中で乗り換えが必須なので、公共交通機関を使おうとすると現地滞在15分(乗ってきたバスの折り返し便に乗る)で半日がかりとするか、現地滞在3~4時間(次に来るバスの折り返しに乗る)で1日がかりとするか、という選択を迫られます。
しかし今回は謎の美女が車で案内してくれたおかげで、全くストレスなく、あっという間にこんな景色を目の前にしたのでした。
あっ、間違えた。。。
こっちがホントです。
これが通称、宇佐のマチュピチュです。
どーですか!?
ま、感想は人ぞれぞれいろいろあろうかと思いますが、とにかくここが日本のマチュピチュなんだ!とこの看板も主張しています。
そもそもここがマチュピチュに似ている、と気づいたのは宇佐市の職員らしく、その後、この西椎屋の住民グループがこの看板を設置したところ、ネットや口コミで静かなブームになったのだと言います。
この日も展望所には車が3~4台、なんと横浜ナンバーまでありました。
さて、これが国道387号線上にある、西椎屋のバス停。
本来ならここまでたどり着くのは相当困難だったハズ(なのでお礼に謎の美女をハグしてあげようと思ったけど、僕が写真を撮っている間に彼女もどこかに写真を撮りに行ってしまったようでした)
バス停から少し坂を上ったところに展望所がありました。
もともとこの一帯は『椎屋耶馬溪』といわれる独特な地形を持つ風光明媚(ふうこうめいび)な場所。
この中央のマチュピチュをほうふつさせる円錐形の山は、地元の人から秋葉様(火伏せの神)と呼ばれているそうで、秋の紅葉シーズンには、グリーンシーズンとはまた別の素晴らしい眺めになるようです。
この西椎屋の集落まで歩いて行ってみたかったのですが、国道から細くて急な坂を下って行かなければならないようだったので、ハイヒール姿の謎の美女の負担にならないよう、残念ながら今回はパス。
集落には樹齢1300年と言われる大銀杏があって、「幹を触ると母乳が出るようになる」という言い伝えがあるそうですが、謎の美女から母乳が出ちゃっても困るしね。
ここはまわりの山々や棚田も素晴らしい眺めでした。
別府の絶景スポットへ
さて、大分の難攻不落な2つのB級スポットを意外にも早く回れたので、次は謎の美女お勧めの絶景スポットに案内してもらうことになり、玖珠から大分自動車道に入ります。
このあたりも晴れていれば由布岳や鶴見岳の眺望が素晴らしいのですが、今日はあまりすっきりしない天気。
僕は晴れ男なのですが、どうやら謎の美女が雨女らしいのです。
晴れ男と雨女が一緒になると果たしてどうなるかと思っていたのですが、結果は移動中は雨が降っていても、車を降りると不思議に上がる、という感じでした。
やはり僕の(そしておそらく謎の美女も)普段の行ないがいいのでしょう。
今日だって高校生の初デートみたいなプラトニックさです。
彼女が案内してくれた場所は、こんなところ。
これは大分自動車道の別府湾サービスエリアからの眺望。
手前が別府の町並み、その向こうに別府湾、高崎山、そして対岸に大分市街。
なかなか素晴らしいですね。
このままとっぷり日が暮れて、闇の底から宝石みたいな夜景が浮かび上がるまでいるのもいいなあ、とも思ったのですが、今日の行程は円滑に行きすぎてしまったので、まだ午後13時すぎ。夜景までちょっと時間ありすぎますね。
それに、晴れ男と雨女のプラトニックな関係が壊れたら、大荒れの天気になりそうですしね。
<2015年8月訪問>
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