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オトンルイ風力発電所と北緯45度の駅長さん【宗谷本線/幌延駅】

日本海オロロンラインとは、札幌の隣町、石狩市から稚内までの日本海に沿った300キロ近い道路の総称。

「オロロン」という名前はこの沿岸にある天売島に棲む海鳥であるオロロン鳥(ウミガラスの別名)に由来しています。

留萌の近く、故高倉健さんの映画「駅 STATION」で有名になった「雄冬」あたりの断崖絶壁の道がオロロンラインの前半のハイライトですが、もうひとつのハイライトは、稚内から天塩まで続く「なーんにもない海沿いのまっすぐな道」

今回はこの「なーんにもない道」に行ってみたときのお話です。

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幌延駅の駅長さん

オロロンラインの稚内から天塩まで続く「なーんにもない海沿いのまっすぐな道」に行くために列車を降りたのは、稚内から1時間ほどのところにある幌延駅
この駅に幌延町の観光協会のレンタサイクルがある、と聞いたので、ここから自転車で行ってみようと思います。

幌延駅からオロロンラインまでは片道16~7キロあるのですが、到着したのが11:30過ぎで、レンタサイクルの営業時間が15:00まで。
ずいぶん早い店じまいですが、レンタサイクルを管理してる幌延駅の営業時間が15:00までだからだそうです。

幌延駅にいたのはたった一人の駅長さんで、たぶんもう定年間近な感じの年齢。
貸出証に書いた僕の住所を見て、私も昔この近くの駅にいたんですよーと懐かしそうに話しかけてきます。
こんなところまで来てどこへ行くのかと聞かれたので、オロロンまで行くんだけど、3時間半で戻って来られるか心配だ、と話したら、もう少し遅くまでいるのでゆっくり行ってきなさい、とうれしいお言葉。

せっかくこんなところまで来てくれたんだからね。

北緯45度ラインを越え、オロロンラインとオトンルイ風力発電所へ

観光協会が貸し出すレンタサイクルなので、料金は無料ですが、やはり電動チャリではなく、足動チャリ。
でもとにかく頑張って行ってみようと思います。

走り出してしばらくすると見えてきたのが「北緯45度」のライン。
この道路上の黄色いのがそうですね。

幌延は町内を北緯45度線が通過しているため、いくつかの場所でこうした案内が見られます。
オロロンライン沿いには「N」の形のモニュメントもあるようです。
まあここらへんが地球の真ん中ってことですね。

けっこう風が強くて、足動チャリだとだんだんキツくなってきたのですが、それでもサロベツ原野の牧場とか湿原の中の道をひたすら走ります。

幌延駅を出ること1時間半弱、ようやく日本海沿いに出て、オロロンラインに到着!

どーですか、この潔いほどまっすぐな道!

しかも車もほとんどこねーでやんの。
笑っちゃうくらいオロロンですな。

で、僕がこのオロロンラインでどーしてみ見たかったのはコレっ!

なんじゃこりゃー。

新手の原野アートかと見まがうほどのこの無機質な物体は、実はこれなんです。

そう、ここは「オトンルイ風力発電所」
風力発電の風車はほとんどの方がどこかで見たことがあるでしょうが、ここまでCrazyな密集地帯はここが日本一だと思います。

オロロンラインに沿って、高さおよそ100メートルの風車が3.1キロに 渡って並んでいます。

道路の東はサロベツ原野、西は日本海。

あまりにオロロンなので、自転車こぎながら動画も撮ってみました。

ほんとはこの風車の列の先まで行ってみたかったのですが、幌延の駅長さんをあまり待たせてもいけないので途中で引き返して記念撮影をして戻ります。

帰り道にあったのがサロベツ原野の幌延ビジターセンター

ここに湿原が見渡せる展望塔がありました。

結構階段がスカスカで下がよく見えるので、酒と女と高いところが苦手な僕は、登ってる途中でだんだん怖くなってしまったのですが、何とか頑張って頂上に。

ビジターセンターから湿原の中に続く遊歩道も見えますね。

そして幌延駅、ふたたび

幌延の寂しい町並みを通って、15時から30分遅れで幌延駅に戻る頃、ちょうど雨が降ってきて、駅の待合室にはもうストーブがたかれていました。

僕が戻るのを待っていたのでしょうか、駅長さんも家に帰る時間になったようで、申し訳なさそうにストーブの火を止めに来ます。

かつては僕の家の近くの駅で働いていた駅長さんがどういう経緯でこの北のはずれの寂しい町に来たのかはわかりません。
この町のどこかに帰る家があるのでしょうか、それとも他のどこかの町に帰るのでしょうか。

かつては羽幌線の終着駅でもあった幌延駅には最盛期は49人もの鉄道関係者がいたそうですが、この日はたった一人の乗客である僕が稚内行きの特急に乗り込むまで、駅長さんはたった一人でこの駅を守っていたのでした。

宗谷本線の幌延駅から豊富駅のあたりは、内陸部からですが利尻富士がきれいに見える区間です。

稚内に向かう特急からは、やや雲がかかってはいますが、夕暮れの利尻がその美しい全貌を見せてくれました。

<2017年10月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください

幌延駅・オロロンラインへの旅

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