9月の北海道には何度も来たことがあるけれど、一度も見たことがなかった季節の風物詩がありました。
それはサケの遡上。
北海道の川で生まれたサケは、海に出てから3年から4年後、不思議にも生まれた時の水のにおいを記憶し、再びふるさとの川に帰ってくるのだ、と言われています。
どうせなら一番すごそうな場所で見てみたい、と思っていろいろ調べたところ、僕のアンテナは知床半島入口にある遠音別川(おんねべつ川)をキャッチしたのでした。
初めてのサケの遡上ウォッチング
遠音別川は、知床半島の斜里とウトロの中間あたりにある小さな川。
知床国道沿いの遠音別橋の下を流れているので、場所はすぐにわかりました。
国道から川沿いの道をちょっと遡った場所にある駐車場に車がたくさん停まっていたのは、オホーツクの河口からすぐ近くなので釣り人が多かったのでしょうか。
遠音別さけ・ます孵化場の手前から河岸に降りられるようになっていて、小さな堰堤があるのですが・・・
うぉぉぉぉぉ、川が黒ずんでるよ。
思ったよりずっとすごいぞ、サケの遡上!
9月の午前9時のやわらかな日の光を浴びて、魚たちの鱗が金色に光っています。
遠音別川は小さな川ですが、知床山脈の急な傾斜を駆け降りてくるため、瀬は浅く、流れは早いのです。
この大きな魚はカラフトマス。
遡上するのはサケだけじゃないんですね。
カラフトマスはサケよりも背が高いので、背ヒレを半分水の外に出し、石の上を跳ね回りながら力を振り絞って川を駆け上がります。
こっちがサケですね。
力を振り絞って一気に川面を駆け上がったあとは、しばらく水の中で同じ場所にとどまって力を蓄えるようです。
でも流れが早いので、同じ場所にとどまるにもパワーが必要なようで、ときどき力尽きて下流に流されてしまうサケもいます。
彼ら彼女らを見ていたら、ふと中島みゆきの「ファイト」という歌を思い出しました。
暗い水の流れに打たれながら 魚たちのぼってゆく
光っているのは傷ついて はがれかけた鱗が揺れるから
いっそ水の流れに身を任せ 流れ落ちてしまえば楽なのにね
やせこけて そんなにやせこけて 魚たちのぼってゆく
「ファイト」中島みゆき
お前たち、なんでわざわざこんな厳しい道のりを上って行くのか。
上っても流されてまた上って流されて。
なんだか気づいたら、2時間も座り込んでみちゃったよ。
サケの遡上、本当はそんなに期待してたわけじゃないけど、なんというか、すごくよかったです。
羅臼でのサケの遡上ウォッチング
知床では羅臼でもサケの遡上見られるはず・・・という話も聞いていたので、そのあと知床峠を越えて羅臼ビジターセンターに立ち寄ってみました。
サケとは全く関係ないですが、羅臼には森の中とか海岸の波打ち際に天然の野天風呂がたくさんあって、しかも天然なだけにどれも混浴密着タイプだったりするのです。
覚えてますか?「北の国から」シリーズの中の「2002遺言」の中で純くんが怜ちゃんと混浴して、ちゃらららーん&ムフフだったシーン!(それ妄想かも・・・)
そのロケ地がこの羅臼の先端にあるセセキ温泉でしたね。
ぜんぜん玲ちゃんじゃなかった!
僕も時間があれば2%くらいの淡い期待を胸に「北海道混浴探検隊員第2号」くらいのつもりで突撃して、地元の漁師か、ばーちゃんに返り討ちにでもあおうか、と思っていたのですが、この日は時間的にそんな余裕はありませんでした。
ビジターセンターのおにーさんに聞いてみると、サケの遡上は羅臼川の河口あたりが一番いい、とのことで、さらに市街地方面に下ってみます。
河口近くの、というか思いっきり羅臼川の河口に来てしまったのですが、たぶんこの細い水路をサケが上ってくるのでしょう、河口のまわりにはおびただしい数の海鳥が虎視眈々とそれを狙っています。
うん、確かによく見るとそこそこいるっぽいけど、さっきの遠音別川みちゃったらこれは迫力なさ過ぎでした。
そんなわけで、さらにサケの遡上が見られるという標津に向かいます。
標津サーモン科学館でチョウザメに指を食いちぎられる
標津は北海道最東部、根室海峡越しに国後島を目の前に望む町。
アイヌ語で「サケのいるところ・大きい川」という意味を語源にしている通り、まさにサケの町なんです。
そんなわけでここでもサケの遡上を見ようと思っていたのですが、遠音別川で長く過ごしすぎたせいか時間があまりありませんでした。
とはいうもののどこにも寄らないのも惜しいので、ここを代表する観光施設「標津サーモン科学館」に立ち寄ってみました。
この日はランチをとる余裕もなく、腹減ったなーと思っていたら、サーモン科学館らしく敷地内には「レストランサーモン亭」が。
あんだけ「ファイト!」とか言ってサケの遡上に感動しといて、結局おまえサケ食うのかよ、というご批判もあろうかと思いますが、サーモン食いたかったんだよっ!
標津だからサーモン激安!かと思ったのですが、意外とふつーですね。
そんなわけで一番リーズナブルな「鮭親子漬丼」を頼んでみます。
(あまりにお腹すいてて、写真撮るのも忘れて二口くらい先に食べちゃったので全体像でなくてスミマセン。。。)
ささっと食事を終えてサーモン科学館へと入ってみます。
標津サーモン科学館は、その名の通り「サケの水族館」。世界中に生息しているサケの仲間18種30種類以上を展示しており、サケ科魚類展示数は国内で一番多い施設なんだそうです。
そりゃそーだよな。そんなに種類あるのか、サケ。
とかいってそんなにサケばっかり見てても退屈するんだよね。
と思ってたらなんかすごいのあるぞ。
「チョウザメに指食いちぎられる体験」って。。。
っていうかチョウザメってサケの仲間ちゃうやろー。
「チョウザメには歯がないので安全です!」とか書いてあるけど、ホンマかいな。
そんなわけで、いざ、指パク体験!
あっぶなっ!
思わず声出たじゃんよー。
なんかかわいい顔してるけど、食いちぎられる感満載なんだけど!
せっかくサーモン科学館に来たのに、10本の指を残したまま帰るなんて一生の恥やぞ!と思い、その後も何度かチャレンジしてみたのですが、こいつエサばっかりちらつかせてさんざん金使わせた挙句、結局手も握らせてくれないギロッポンのキャバ嬢と同じやぞ、と思われたのか、なかなか食いついてくれませんでした。
サケの遡上ツアーのはずだったのに、結局最後はなぜかチョウザメチョウ子と楽しく戯れた1日でした。
<2018年9月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
遠音別川への旅
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