関門海峡をはさんで向かい合う福岡県の門司と山口県の下関は、関門橋や関門国道トンネル、関門鉄道トンネルなどで結ばれていますが、歩行者用の海底トンネルがあるのをご存知ですか?
それが「関門トンネル人道」。
ここはなんと本州と九州との間の海底を歩いて県境を越えなければならない、というハードな場所。
そこで今回は門司から命懸けで人道トンネルをくぐって下関に抜け、九州と本州を縦断した男の冒険物語を紹介します。
夜の門司港レトロの恐怖
関門海峡の九州側、門司港は明治から昭和初期にかけて建築された趣のある建物が今でも残り「門司港レトロ」と呼ばれる観光スポット。
門司港レトロはいろいろな建物のライトアップもきれいなので、今回は夜景観賞しなから関門トンネル人道まで歩いて、そのまま海底縦断にチャレンジしてみることにしました。
まずは1914年に開業したJR門司港駅。創建された当時の姿に復元されています。
いきなりカッコいいですね。
門司港駅からすぐのところにある旧大阪商船門司支店。
これは北九州市大連友好記念館。
こんな感じでレトロな建物を眺めながら関門橋方面へと向かいます。
あの関門橋のたもとまで行けば、関門トンネル人道の入口があります。なんか歩いても行けそうですよね。
そしてこれが対岸の下関の夜景。なんか泳いでも行けそうですよね。
そんなわけで関門橋を目印に、ズンズン歩いて行ってみます。
しかし途中でなんか工場とか倉庫とかが密集してる港の突端にきちゃった。
「昭和レトロ」だと、だいたいこういうところでヤンキーがシンナーとかやってたんだけど、「門司港レトロ」だと大丈夫なのかな?
いや、大丈夫なわけないか、なんてったってここ、修羅の国北九州だし!
ま、ヤンキーは撃退できるとして、スケバンとかに襲われるのはちょっと怖いな。
ちょっと、見かけないナイスミドルだけど、挨拶がないわね
こっわー!スケバン刑事、しかも斉藤由貴!!!
これはちょっと逃げ切れる自信がありません。
しかもよく見ると関門橋に着くまでに暗い港を歩き、最後はちょっとした山を越えなければならない感じです。
途中にどんなスケバン(できれば斉藤由貴)が潜んでいて、倉庫の裏に呼び出されるかわかりません。
ここから先は命懸けだな・・・
そんなわけで夜の関門トンネル人道チャレンジ、失敗しました。
いざ、関門トンネル人道へ
翌朝、泊まっていた小倉から再び門司港にやってきてリベンジします。
関門橋のたもとまで、日中は観光トロッコ列車が走っているので、本当はこれに乗ると早いのですが、頑張れば歩ける距離なので・・・
ということで、門司港駅から30分も歩くと、関門橋のたもとに到着します。
ここには和布刈神社(めかりじんじゃ:絶対読めない!)があり、関門橋の下を通過する貨物船や漁船のビュースポットにもなっています。
その和布刈神社の正面に「関門トンネル人道」の門司側入口がありました。
海底トンネルで県境越え!
関門トンネル人道は、全長780メートルの歩行者用海底トンネル。
人道入口にはエレベーターがあり、門司区側は地下約60メートル、下関市側は地下約55メートルまで降りてから通行します。
ちなみにこのトンネル、自転車と原付バイクは通れるので、ときどきこんな人も来ます。
バイクは20円で、しかも自己申告で料金箱に入れるというゆるさでした。
地下に下りると国道2号のおにぎり(路線番号案内標識)。
青森県の階段国道とか伊勢湾の海上国道とか、珍しい国道がありますが、ここも人道専用海底国道というレアなやつですね(本線は別に国道トンネルとしてありますが)。
そして記念スタンプ。
こういうの、普段はたいていガン無視するのですが、ここは特別。なんてたって門司側と下関側の2つ合わせて完成するやつなんです。
ちなみに完成系はこんな感じ。
門司側、うっす!(頼むよ、門司港スケバン刑事・・・)
そしていよいよここから歴史的な一歩を踏み出して九州から本州へ徒歩縦断を決行します!
トンネルのちょうど中間あたり、海底58メートルのところに県境がありますが、あっけなく5分くらいで着いちゃいました。
おおお、これが海底トンネル県境!
この福岡県と山口県をまたいで記念写真を撮るのが定番らしいのですが、今回は一人だったので割愛しました。スケバン連れてくればよかった。
中間地点からゆるやかに坂を登ると下関側に到着します。
壇ノ浦古戦場と赤間神宮
関門トンネル人道を下関側に出るとすぐに目の前にあるのが壇ノ浦古戦場址。
関門橋の下で源義経と平知盛が向かいあっています。
ここは1185年に、源氏と平家の最後の合戦「壇之浦の戦い」が起こった場所。合戦の地は、関門海峡の幅が最も狭く潮の流れが激しい場所だったと言います。
平家の敗戦を覚悟した平清盛の妻、二位の尼が、わずか8歳の安徳天皇を抱き壇之浦の海へ入水したのは有名な話。
今ぞ知る
みもすそ川の御ながれ
波の下にも都ありとは
その時の二位の尼の辞世の句からここは「みもすそ川」という地名となり、この橋を渡ると波の下にある都へと行けるようになっています。
その波の下の都を再現したのが、悲劇の幼帝・安徳天皇を祀る赤間神宮。
ここが竜宮城みたいなのは、この辞世の句(波の下の都=竜宮城)をイメージして建立されたからなんですね!
竜宮城をイメージした水天門をぐぐると、中には安徳天皇阿弥陀寺御陵や宝物殿などがあり、毎年5月3日に行われる、上臈参拝で有名な先帝祭のメイン会場となっています。
壇ノ浦を見守るように建つ、この鮮やかな竜宮城も、関門海峡のシンボルですね。
そのまま下関市街方面に歩いて行くと現れるのが「唐戸市場」。
下関といえばなんといってもふぐ。
ここは名前のとおり下関の卸売市場ですが、週末(金曜~日曜)と祝日に開催される屋台イベント「活きいき馬関街(ばかんがい)」が大人気。
にぎり寿司や海鮮丼、揚げたてフライ、フク汁などの海鮮屋台が並んでいます。めっちゃ混んでるけど。
この唐戸市場の横から門司港までフェリーで戻ることもできます。
門司港までの所要は5分なので、あっという間に着いちゃいますが、東側に関門橋、西側に巌流島を眺める絶景航路です。
行きは関門トンネル人道、帰りは絶景航路で、関門海峡の観光スポットをぐるっと一周してもどってくるのもいいかもしれませんね。
<2019年11月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
関門トンネル人道への旅
旧門司港ホテル。門司港レトロで一番有名なホテルです。
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