「♪伊東に行くなら ハトヤ♪」というメロディーを聞けば、ある年代以上の関東民は(実は関西民も)ほぼ100%「4126 4126」という数字が脳内で無限ループするのではないでしょうか?
そんな昭和を代表する大温泉リゾートであったハトヤホテルが、いまレトロな映えスポットとして人気なんだそうです。
そんなわけで初めてハトヤに行ってみたのですが、そこは想像以上に素晴らしい昭和の文化が残っていて、もはや昭和レトロ危機遺産認定してもいいんじゃないか、というレベルだったのです。
「伊東にいくなら ハトヤ」
昭和の日本、特に東京・名古屋・大阪といった太平洋ベルト地帯(これも昭和用語!)に住む人々はほぼ全員が唄える、という驚異のCMがこちら。
そんな超有名旅館のハトヤですが、恥ずかしながら僕は一度も行ったことがなかったのです。
昭和・平成と続いた大宴会旅行もすっかり少なくなくなってしまった今、もはやこうした大型旅館には行くこともないのかな、と思っていたのですが、このハトヤが昭和レトロブームの権化のような存在として近年人気なのだそうです。
レトロ喫茶、レトロ団地、そしてレトロラブホ・・・気づけばこうした古き良き施設がどんどんなくなりつつある中、このハトヤもいつまでその姿を残していられるかわかりません。
そんなわけで人生初ハトヤ体験に行ってみることにして、降り立ったのは伊東駅。
ハトヤまでは伊東駅前から送迎バスが出ているのですが、何も言われなくても一発でわかるのがいいですね。
伊東の町なかを抜け、急な勾配の細い道を登って約5分、山の中腹に突然白亜の建物群が現れると、そこがハトヤでした。
あれ?ハトヤって海にあるんじゃなかったの?
えー、それはサンハトヤ!
そうなんです、僕はすっかりハトヤは海にあるものだと勘違いしていたのですが、実際は伊東の街を見下ろす山の上にあったのです。
ちなみに、伊東では「山のハトヤ」、「海のハトヤ」と呼び分けているようで、元祖ハトヤが「山のハトヤ」、あとからできたサンハトヤが「海のハトヤ」になるんですね(サンハトヤにもそのあと行くことになります)。
しかし、それにしてもこの存在感よ。
送迎バスを降りた人々も老若男女関係なく、写真を撮りまくってます。
今もなお、敷地内に消防隊を備えているホテルなんて、みたこともありません。
想像以上にすごいぞ、ハトヤ!
ハトヤの迷宮探検
ロビーに入ると、これぞ昭和の温泉リゾート!という豪華な空間が待ち受けています。
そのハトヤの中でも最も有名な空間がこれ。
本館からシアター別館へと続くトンネル型の渡り廊下です。
一周回ってカッコよすぎんか?
右肩上がりの経済成長に合わせて増築に増築を重ねた昭和の温泉リゾートは、ハトヤ以外でもこんな形でいろいろな建物が不自然な結ばれ方をしているのですが(たいてい「虹の架け橋」とか呼ばれがち)、それにしてもこのハトヤの空間は秀逸。
外側から見るとこんな感じで、明らかにいろいろとってつけた感が満載なんですが、この不自然な結合を宇宙船みたいに仕立てちゃうセンスが素晴らしく昭和ですね。
まるで異世界への入口のような架け橋を抜けるとその先にあるのが「シアター会場」。
ここはシアター別館と呼ばれる宿泊棟や、夕食や朝食のバイキング会場として使われているシアター会場があるところなので、たいていの宿泊客は滞在中に何往復かすることになります。
ちなみに、シアター別館入口にデカデカと案内があった「プロムナード」のBARとかカラオケルームはこの先にあるのかと思いきや、実は本館の2階にありました。
わかりにくっ!さながら迷宮ハトヤ。
ちなみにそのプロムナード、こんな感じです。
よく社員旅行で温泉に来ると、2次会でBARを貸切にしたり、腹も減ってもないのにムダに3次会でラーメン食べたり、徹夜で麻雀したりしましたが、コロナを経て、これからはそういう団体旅行もますます減りそうですね。
心配ですね。そういうお客さんがいなくなると、こうしたお店の存在価値はなくなっちゃいそうなので。
客室も「ザ・ハトヤ」
今回泊まったのは「ロイヤル別館」。
昭和レトロリゾートは、ムダに館の名前が「ロイヤル」とかになってるけど、特に中身はロイヤルではありません。
今回のお部屋は、なんと「ハトヤ」の看板ビュー。
海が見える部屋よりも、夜景が見える部屋よりも、実はこの看板ビューが人気なんだそうです。ほんまかいな。
ちなみに夜になるとこんな感じになります。確かにハトヤ看板、カッコいい!
そしてハトヤの部屋ですごかったのは、お茶うけの「ハトヤサブレ」。
ハトヤレベルになるとサブレもオリジナルなんですね。ややきわどい感じがしなくもないですが。
続いてこのハトの置き物。
なんかジワジワきますね。特に左の背伸びしてるやつとか
気がつけば浴衣もハトでした。
ハトヤはやはり、ハトまみれ。
ちなみに、ハトヤに泊まると、サンハトヤの日帰り温泉施設「ハトヤ大漁苑」にある「海底温泉(お魚風呂)」の入場チケットももらえます。
ハトヤから直通の送迎バスがあったので、もちろん行ってみました。
お風呂の中は撮影禁止なので、公式サイトよりこんなイメージだということでご想像ください。
♪前は海 後ろは ハ~ト~ヤの大漁苑
とCMで歌われ、「三段逆スライド方式」という謎のワードを全国に知らしめた「ハトヤ大漁苑」ですが、土曜日のわりにとても静かだったので少し淋しい感じがしました。
ハトヤの朝食がゴージャスすぎた
開けて翌日。
夕食は伊東市内で海鮮料理を食べたのですが、朝食はハトヤのバイキング。
朝食会場は、あの異世界に向かうような架け橋の先にある「シアター会場」だったのですが、そこは本当に異世界でした。
コンサートホールかよ!
おそらくここはかつては毎晩シアター劇場として、謎の美女ダンスとか演歌のショーとかが繰り広げられていたんですね。
僕も若いころ、仕事で鬼怒川とか熱海の温泉リゾートに行って、こういう会場の調光室で音響照明の演出したことがあるので懐かしいです(美女ダンサーのショーじゃないけど!)
2階にもこんなふうに席があって、食事しながらショーが楽しめたんでしょうね。
めちゃめちゃ美しい朝食会場ですよね。
今はサンバでも演歌でもなく、BGMはモーツァルトとかビートルズのイージーリスニング。
朝からやられましたね、ハトヤマジックに。
チェックアウトの前になにげなく覗いたお土産コーナーもさすがでした。
ハトヤクラスになるとお土産も大多数はオリジナルグッズ。
ハトヤの浴衣は人気あるかもしれないですね。
ま、どこで着るんだって話もありますが、彼氏とお泊りで遊びに行ったとき、部屋着としてこれ持っていったら好感度が60%くらいアップするかもしれませんね。
このミニホテルキー、自分の泊まった部屋番号があるのかな、とか思ったら、お部屋はすべて4126でした。
また脳内に4126が無限ループしちゃうよ。
ハトヤに泊ったのはたった1晩だけだったので、あっという間すぎて帰るのがもったいないくらいでした。
ハトヤも永遠にこの姿のままだとは思えないけど、もし昭和レトロ危機遺産制度みたいなものができるのであれば、すぐにでも指定して、1日でも長く残してほしいと思いました。
<2023年6月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
ハトヤへの旅
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