春の富山湾の風物詩と言えば、滑川の「ほたるいかの身投げ」と魚津の「蜃気楼」。
この両方をまとめて見るためにやってきた僕ですが、最初のほたるいかのほうは若干イマイチな感じだったので、蜃気楼でリベンジを図るべく魚津へと乗り込んだのでした。
まあ、こっちもそうは簡単に見られない自然現象なんですけどね。
魚津の蜃気楼とは
蜃気楼は3月下旬から6月上旬にかけて富山湾に出現する自然現象で、諸条件が揃わないと出現しません。その出現頻度はけっして高くはないのですが、晴れ男の僕が行けば、当たり前のよーに見られるんじゃないかと思っていた次第です、はい。
ほたるいかの里、滑川からあいの風とやま鉄道の電車で2駅、魚津の駅に初めて降り立ちます。
って、魚津の駅前、めちゃくちゃカッコいいじゃん!
まっすく伸びる駅前通りの先には残雪をかぶった黒部・立山連峰。
おー、これは幸先いいぞ、さすが俺!
ってな感じで風を切って歩き出そうとすると、駅前の観光案内所の前になんか書いてあるぞ。
・・・マジかよ。
「絶対晴れてほしい場所に同伴したい晴れ男」ランキング3年連続1位の風祭様のお通りだぞ?
ゼロが1個少なくないか?ミラたん。
あ、このゆるキャラの名前は「ミラたん」だそーです。ミラはミラージュ(蜃気楼)のミラ。
というかミラージュって蜃気楼のことだったのかいっ!
このまま蜃気楼にチャレンジして不発に終わり、晴れ男伝説を汚すことのないよう、ここで潔く踵を返してカラオケボックスでクリスタルキングの「蜃気楼」でも唄うか、それとも10%の可能性にかけて見事に蜃気楼を呼び寄せ、「絶対晴れてほしい場所に同伴したい晴れ男」ランキング永世1位の称号を獲得するか迷っていた僕に、魚津の町はこう問いかけるのでした。
見てねーよ!
見に行くから見せてくれよ!
しんきろう見させ隊?
そんなわけで駅裏から海岸に向かって歩いていると「しんきろうロード」。
おー、いかにも蜃気楼出そーな素晴らしいロードじゃん!
魚津の駅から15分ほど歩くと、「蜃気楼展望所」的な場所に到着します。
「世界で最も美しい湾、富山湾」
きっとそれは全然誇張じゃないんだと思います。
立山連峰の切り立った崖がそのまま海底に沈み込んでいるため、最深部は1000mを越えるという湾内には数多くの魚が住み、そこに標高3000mから流れ出る冷たくて自然の恵みいっぱいの水が流れ込んでいるため、天然の生簀と呼ばれる富山湾。魚、うまいですよね。
この蜃気楼も、富山湾に流れ込む冷たい雪解け水により、海上の空気の上の方と下の方に温度差ができるため起こる独特の自然現象なんだそうです。
海の駅「蜃気楼」という、とてもベタな場所の堤防沿いが、蜃気楼を観察するスポットのようですね。
その証拠に、こんなジャケットを着た「しんきろう見させ隊」のおとーさんが。
しんきろうのこと、教えるよ。
カメラのシャッターも、僕が押しますよ。
って書いてあるけど、この日はまだ全く蜃気楼の気配がないようで、おとーさん手持ち無沙汰。
しんきろうが見えなくっても「しんきろう見られんだっちゃ証明書」くれるって書いてあるけど、まだくれないってことはもう少し頑張れ、ってことなんだな、きっと。
おーい、しんきろう!
遠くの方はぼやけて見えるから、これ蜃気楼なのか?って勘違いしちゃうけど、これはふつーの海岸風景。
ホンモノはこんなふうにビヨーンと伸びていたり、逆さまになっていたり、はたまた縮んでいたりして見えるものなんだそうです。
魚津埋没林博物館へ
蜃気楼が出るまでずっと待ってるのも能がないので、すぐ横にある「魚津埋没林博物館」へ行ってみました。
この埋没林っていうのも魚津ならではの現象なんだそうで、文字どおり“埋もれた林”のこと。
約2000年前の河川の氾濫によって流れ出た土砂によって埋め尽くされたスギの原生林が、その後の海面上昇によって海面より下に残されていたもの。
うん、なかなか美しい。
1930年に魚津港の改修工事の際に海底から発見されたのだそうで、その発掘現場がこんなふうに残されていました。
蜃気楼へ再チャレンジ
さー、そろそろどうかな、ミラたん。
ということで、再び蜃気楼展望場所まで戻ってみます。
ちなみにこれは「風の地平線-蜃気楼」というモニュメントで、魚津出身の世界的彫刻家大成浩さんが10年かけて作ったもの。
「蜃気楼の見える港魚津」のシンボル的なモニュメントなんだそうです。
蜃気楼で何かがびよーんって伸びてる様子を表したような感じもするのですが、なんだか宮崎のサンメッセ日南にあるモアイ像みたいですね。ちょうど7体だし。
このモニュメントの向こう側に蜃気楼が現れたらサイコーなんだけど・・・
どうやら今日はダメみたいですね。
蜃気楼は4月~5月の、朝は冷え込んで日中気温が上がった午前11時~午後4時、そして北北東の微風が吹く晴れた日、という結構いろんな条件が揃わないと現れないようで、出現するのは年に10~15日くらいなんだそうです。
この日はけっこういい条件かな、と思っていたんですが日中そんなに気温が上がらなかったからなんでしょうね。
うーん、ここもまたホタルイカとともにリベンジだな、と心に決めて駅に戻ろうとしたら、なにやら目の前に停まった車からスーツ姿のおねーちゃんが下りてきて、いきなり靴を脱ぎだします。
おいおいおいおいおねーちゃん、こんなところで着替えるのか?
うしろから見えちゃうぞー、と思っていると、どうやら靴からサンダルに履き替えただけのようですが、次に車の中から取り出したのはなんと釣り竿。
おねーちゃん、富山はそんな仕事のサボり方するんっすか!
さすが天然の生簀、富山湾!
いや、もしかしたらこの日は早番で午後2時だけどもう仕事終わったのかもしれぬ。
でも万万が一、会社の人にバレちゃったらかわいそーだからモザイク入れといてあげるね。
<2018年4月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
魚津の蜃気楼 基本情報
魚津 蜃気楼への旅
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