利尻富士をめぐる冒険の第3弾。
1日目はとうとう利尻富士のすべてを見ることができなかった僕ですが、翌朝目覚めてみるとそこには神聖なる利尻富士の姿が。
そんなわけでフェリー出港前に、湖面に映る「逆さ利尻富士」が美しいことで知られる姫沼に行ってみたお話です。
姫沼1日目のチャレンジ
湖面に映る「逆さ利尻富士」が美しい場所としても知られる利尻島屈指の名所、姫沼。
本当は港から反時計回りならすぐの場所にあったのですが、出発時は曇天だったのであとに回して、1日目の最後に訪れたのでした。
朝より雲はずっと少なくなっていたので、この姫沼に改めて最後の望みをかけて行ってみるも、ここもやはり惨敗。
でももうほんのちょっと、あと壁ドン2回くらいすれば利尻富士子も「もう好きにしてっ!」って状態になるような感じもするんだけどな。
そんなわけで1日目は利尻富士の全貌を目にすることができないまま、ホテルへとチェックインしました。
夜明けの利尻富士
夜明け前、ふと目覚めてホテルの窓の外を見てみると、利尻富士が脱いでた!
いきなりこんな表現で不快な思いをする方がいたら申しわけないんだけど、その時、僕にはそういう表現しか見つからなかったのです。
だって利尻富士のその麗姿は、僕にとってずっと追いかけ続けてきた美しい女性みたいな存在だったから。
そして、曙。
東のほうの空が次第に明るくなってくるにつれ、利尻富士子もさらにその輝きを増してくるのかと思いきや、雲に隠れ始めます。
やっぱり明るいところだと恥ずかしいのかな。
本当に女性のような繊細な感受性を持っているのかもしれませんね、利尻富士。
やがてこちら側にも雲が広がって、向こうの空はあんなに明るいのに、にわか雨が利尻の町を濡らします。
稚内と同じように、背後にすぐ高い山が控えているので、局所的に天気が変わりやすい場所なんでしょう。
そして日の出。
島の天気は刻々と変わっていくので、こうして眺めているだけでも神秘的。
でもやっぱり今日もダメなのかな。
夜明け前だったけど、一瞬でも全裸、もとい、全部を見せてくれたから一応目的は果たしたのかな。
そんなふうに思って朝食を取ってから部屋に戻ってみると・・・
おおおおおおおおおおおおお!
利尻富士の山頂まで、くっきりと見えてる!
そして朝の姫沼へ
この日は朝8時半の船で稚内に戻る予定でしたが、利尻富士子がこんなにきれいな姿を見せてくれるなら、その前にもう一度島をめぐりたいな。
そんなふうに心揺れ動いてきました。
でも待てよ、姫沼だったらここからタクシー飛ばせば出航前に行って戻れるかもしれない。
そんなわけで急いでチェックアウトの支度をし、ホテルにタクシーの手配を頼んだのですが、利尻はタクシーの台数が少なく、配車まで30分ほどかかる、とのことでした。
そうですかー、とがっかりした僕の姿をみたフロントマンの口から思わぬ言葉が発せられました。
姫沼ですか?港までの送迎があるので、8時までにホテルに戻って来られるのであれば車出しましょうか?
か、か、神ですか?
そんなわけで、北国グランドホテルの車でなんと姫沼まで送迎してもらうことに。
本来、タクシーを使ったら4~5000円はかかるはず。
北国グランドホテルは利尻では最大級のホテルですが、支配人だのかちょーだのにわざわざ許可を得るようなこともなく、現場の臨機応変な判断でこんな対応をしてくれたので、ちょっと、いや、かなり感動しました(そんなわけで文字も大きくしてみましたよ!)
姫沼の駐車場で送迎のバンに待ってもらって、そっこーで写真撮ってこようとすると、いいですよ、ゆっくりどうぞ、とのお言葉。
山頂までくっきり見えたのはもちろんのこと、少し待っていたら風も収まって、姫沼の特徴といわれる水鏡で逆さ利尻も拝むことができました。
やっぱり強引に押しすぎるだけじゃダメなんだな。
そんなに欲張らなくてもいいかな、と思うと、人生意外にほしいものが手に入るのかもしれません。
やっぱり利尻富士はこんなにくっきり見えることは少ないんですか?
帰りの車の中でそんなふうに聞いてみると、人の良さそうな警備員兼ドライバーさんはこんなふうに答えてくれました。
さぁー、そんなことはないと思うんですがね。
見えるときは何日も続いて見えますけど、何日いても見えないこともありますな。
こればっかりは天気と山の機嫌次第ですから、いつがいい、とか、私たちにはなんともいえんのですよ。
そうでしょうね。
だからこそ、この利尻富士は魅力的なんでしょうね。
コケティッシュな女性が魅力的なのと同じように。
ホテルまでの帰路の途中、鴛泊のフェリーターミナルで下ろしてもらい、ここから稚内へと戻ります。
僕がフェリーで利尻を離れはじめると、再び利尻富士を雲が覆い、それは富士子の遣らずの雨なのか、ポツポツと小雨が降りはじめました。
ふと甲板を見ると、めっちゃ手を振ってる人がいます。
大きく両手を上にあげて、いつまでもいつまでも、誰かに別れを告げてます。
そのうしろ姿も、いつまで見ても飽きないものでした。
僕も心の中で利尻富士子にずっと手を振っていたのかもしれません。
<2018年9月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
姫沼の基本情報
姫沼への旅
お世話になった宿。ここじゃなかったら利尻富士子に会えなかった
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