21世紀、令和の時代になっても、生駒山は古きよき20世紀半ばの昭和の香りを色濃く残すワンダーなスポットだ、と聞いて一度行ってみたかったのです。
しかしそこは思った以上に昭和なファンシー感満載すぎるところで、東京からきたナイスミドルがうかつにウロウロしていると、心ときめかせたお子様連れの大阪マダムに何度も振り返られてしまうような、実に油断ならない場所だったのです。
生駒ケーブルのミケ号とブル号
生駒山へは近鉄生駒駅から生駒ケーブルに乗り換えるのがメインのアクセス。
駅の連絡通路を歩くだけで、すでにワンダーな香りがプンプンと匂いたってきます。
生駒ケーブルは、山麓の鳥居前駅から途中の宝山寺駅で乗り換えて生駒山頂駅を結ぶ約2キロの路線。現存するケーブルカーでは日本最古のものだそうです。
それにしては停まっているのは普通にレトロなケーブルカーだな、と思っていると、ぜんぜんそんなことはありませんでした。
なんかワンダーなやつがやってきた!
彼女の名前はミケ。
メガネ外すと実はめっちゃ美人のリケジョみたいなやつかけてるけど、名前からすると女子ねこのようです。
ミケの登場に大喜びのキッズたち。
場違い感半端ないですが、これに乗るしか生駒山に行けないのなら、ナイスミドルもこれに乗るしかありません。
そんなわけで大人げなく最前列のかぶりつきスポットをキープ!(キッズは前に行かせてあげました)
運転士さんもゆるい感じで実にいいですね。
そして向こうからまたなんか変わったやつがやってきた!
わん、わわん
にゃー
ふたり(二匹?)がすれ違いざまにこんな愛の告白をしているのが聞こえたでしょうか?
彼らが生駒ケーブルの誇る「ミケ」と「ブル」ですよ。ぜひお見知りおきを!
生駒山上遊園地の電波塔
生駒ケーブルは途中の宝山寺駅で乗り換えがあるのですが、今度はめっちゃ甘そうな「スイート」号。
道玄坂にスイーツでできたホテルがあることは知ってたけど、スイーツの電車に乗るのは生まれて初めてです。
生駒山上駅を降りると、改札口のすぐ正面に「生駒山上遊園地」がありました。
そしていきなりユルい。
そのユルいアトラクションのすぐ向こうに何本もの電波塔が並んでいて、この異世界な感じも生駒山がワンダーだと言われる理由のひとつです。
この電波塔は関西各局のテレビ局のもの。
東京ではスカイツリー(634m)が電波塔の役目を兼ねていますが、大阪の誇る通天閣は103mというレトロサイズのため、標高642mの生駒山頂に電波塔を建てているのだそうです。
元祖「スプラッシュマウンテン」とか、カップル向けお化け屋敷とか
園内を歩いてて見つけたのが、急流を猛スピードで滑り落ちるワイルドなアトラクション「ゴールドラッシュ」!
これがあの、世界的に名高いネズミの国が「スプラッシュマウンテン」を作るときに参考にしたと言われている(かどうかは不明)、生駒の誇る名アトラクションです。
一見、どうみてもスプラッシュマウンテンのパクりに見えますが、こちらの方が断然歴史は長そうです。
きたぞきたぞ・・・
水しぶき、ちっさ!
でもこのアトラクションは「きゃあ」とか言ってどさくさまぎれに抱き合っちゃおう、ともくろむ初デートのカップル向けではなく、「めっちゃつめたっ!」「水かかってないやん!」とかボケつっこみする大阪のファミリー向けのなので、これはこれでいいでしょう。
と、そんなことを考えてたら、ちゃんと生駒にもいましたよ、初々しいカップルが。
しかも向かう先は「大お化け屋敷 地獄門」。
めっちゃ怖そう!(「大」お化け屋敷って意味わかんないけど)
ここなら実は全然怖くないんだけど「きゃあ」とか言ってどさくさまぎれに思う存分抱き合えちゃいますね。なかなかやるやん、生駒山上遊園地。
ぷかぷかパンダからの展望
せっかくなので、ナイスミドルでも恥ずかしくなさそうな乗り物にひとつ乗ってみることにしました。
この「ぷかぷかパンダ」は高架レール上のパンダに乗って、眼下の雄大な生駒の自然や奈良盆地、大阪平野を眺めながら園内をゆっくり一周するもので、高所恐怖症の僕でもギリギリ行けるやつでした。
大騒ぎして園内を駆け巡る子供に疲れ果ててベンチに座りこんでいたマダムたちが、優雅にパンダに乗り込むナイスミドルを羨望のまなざしで見ているのを申し訳ないと思いつつ、生駒山上遊覧を満喫しました。
番外編
帰りに撮影した僕の旅のパートナー。
彼女とは、もう5年くらい一緒に旅をしてきましたが、この写真を最後にどこかに姿を消してしまいました。
もしかすると、ブルの座席に彼女を残して、僕だけがさっさと降りてしまったのかもしれません。
あとで気づいて彼女を探しに出かけようと思ったのですが、おそらくはブルの女になったか、どこかのやさしいキッズに連れられていったか、いずれにせよ彼女はきっと新しい人生を歩みはじめたんだな、と感じて、思いとどまりました。
彼女のこの先の人生に幸あることを祈っています。
<2022年7月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
生駒山の基本情報
生駒山への旅
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