高野山といえば、真言宗総本山、金剛峯寺(こんごうぶじ)。
総本山金剛峯寺という場合、金剛峯寺だけではなく高野山全体を指すのだそうです。
普通、お寺といえば一つの建造物を思い浮かべ、その敷地内を境内といいますが、高野山は「一山境内地」と称し、高野山の至る所がお寺の境内地であり、高野山全体が聖なる地なのだ、という考え方。
しかしその高野山の中でも「弘法大師霊廟」があり、最も聖なる空気が流れている奥の院に、なんだかちょっと脱力系なお墓があるということで行ってみました。
「一山境内地」高野山
これが高野山金剛峯寺前のメインストリート。
一見、どこにでもあるような普通の通りなのですが、これでもか、というくらい山を登ってきたあとにこんな町並みに遭遇すると、ものすごく大きな山岳都市のように思えます。
この高野山内の町は標高約800m前後の高地に細長く伸びていて、人口は3000人弱。
数字だけ見ると確かに大した規模の都市ではないのですが、山内のわずかな平地にすべてのものが凝縮しているので、数字以上に見た目は大きく感じるのかもしれません。
町役場や消防などの公共機関はもちろんのこと、教育機関も小学校・中学校・高校(高野山高校)そして大学(高野山大学)まで揃っています。
ここには僧侶のほかにも多くの一般市民が住んでいるので、郵便局のほか銀行、そしてコンビニやガソリンスタンドもあります。
ただし高野山は「一山境内地」と称し、高野山すべてがお寺の境内地であり、山内全体が聖なる地。
僧侶たちの修行に差しさわりがあるものはきっとないはず。
ということで、パチンコ屋のような世俗的娯楽施設があるのか調べてみましたが、この山内都市にはありませんでした。
じゃあまさか、とは思うけど、夜のムフフ的なお店があったらぜひ向学のために覗いてみたい、と思いこちらも調べてみましたが、やはり日本を代表する仏教の聖地だけあってまったく存在しないようです。
やはり大変厳しい宗教都市なんですね。。。。。
修行僧のみなさま、および高野山の一般庶市民のみなさま、たいへんおつかれさまです。
ところが、この大変聖なる地に、なんだかちょっと脱力系のスポットがあるといううわさを耳にしたのです。
しかもそれはこの高野山内で最もパワーあふれるスポット、奥の院にある、ということなのです。
高野山奥の院とは
広大な高野山は主に3つの地域に分けられます。
ひとつめが高野山の西の入口「大門から壇上伽藍」にかけての地域。
ここには真言密教の根本道場である根本大塔などがあります。
ふたつめは総本山金剛峯寺の周辺地域
ここが高野山真言宗の総本山で、山上のほぼ中央にあり、少し北に徳川家の霊台があるのもこのエリアです。
そして3つ目が、一番東に位置する奥の院。
奥の院は高野山の信仰の中心で、弘法大師御廟のある聖地。
弘法大師は現在でも肉身をこの世にとどめ、ここで深い禅定に入っており、わたしたちへ救いの手を差し伸べているのだ、と言われていて、日夜多くの参拝者が絶えないのだそうです。
参拝口である一の橋から御廟まで約2キロの道のりには、少しでも弘法大師の近くで供養されたい、と願う20万基を超える墓石や、祈念碑、慰霊碑の数々が樹齢千年に及ぶ杉木立の中に立ち並んでいるのですが、実はこれが見ものなのです。
奥の院のユニークな墓石の数々
奥の院には織田信長、明智光秀、豊臣家、徳川家、石田三成、武田信玄、上杉謙信、伊達政宗などの武将の墓が連なる「諸大名墓石群」という、歴史マニアには垂涎のスポットがあります。
もちろん僕も戦国時代大好きですが、お墓見て涎が出るほどマニアじゃないんだよな。
僕が涎を垂らしちゃったのは、ここにあった「企業系墓石群」のほう。
企業のお墓までマーケティング的視点で研究するなんて、さすが風祭マーケティング研究所長!
たとえば、これ。
高野山の企業墓石の中でも、もっとも有名であろうこのUCCの墓地。
このカップの中には、いつでも挽きたての薫り高いコーヒーが満たされていて、参拝者に香りでプロモーションを行っています。
(というのはウソですが、カップの中はコーヒーが注がれたように茶色になっているそうです)
続いてこちら。
ご存知「福助」キャラクターの叶福助(かのう ふくすけ)さん。
意外なことに実はプレイボーイで、吉祥天女という妻がありながら、お多福さんという彼女がいるくらい福助のブランドは人気なのだ、ということを広く世界に知らしめています。
ていうか福助、めっちゃ攻めてる会社だった!
泣かせるのが、社団法人日本しろあり対策協会による「しろありのお墓」。
今まで何億、何十億匹とあの世へおくった供養の言葉は「やすらかに、ねむれ」
憎き害虫に対しても慈悲の心で対応する懐の深さをPRしているに違いありません。
そしてひときわ目立ってたのがこれ。
これは宝塚市にある機械メーカーの墓地ですが、打ち上げに失敗したロケットのお墓ではなく、物故者社員慰霊塔なのだそうです。
いやー、ここをめぐるだけで企業の様々な最新マーケティング活動を知ることができますね!知らんけど。
そんなわけで、厳格な宗教都市でありながら、意外に脱力感も漂う高野山、おもしろいですよ。
<2013年4月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
高野山奥の院の基本情報
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