福岡・博多港のアイランドシティにある6台のコンテナクレーンのうち、1台だけキリン柄のものがあります。
それは近くにある福岡市立こども病院に入院する子供たちが、病室から見えるコンテナクレーンのことを「キリン」と言っていたことから、一番手前のひとつが定期メンテナンスの際にキリン柄に塗り替えられたのだと言います。
僕はその話を聞いて、どうしてもそのキリンが見たくなってしまったのです。
香椎から福岡アイランドシティへ
キリン柄コンテナクレーンがあるのは、博多港にある福岡アイランドシティ。
公共交通機関を使う場合、JRや西鉄の香椎駅からバスに乗っていくのですが、この日はよく晴れていたので、香椎駅から3キロほどの道を歩いて行ってみることにしました。
香椎駅前の商店街を抜けると、やがて香椎海岸に出ます。
福岡アイランドシティは、かつて海だった場所を埋め立ててできた人工島。
本土と人工島で囲まれた部分が湖のようになっていて、周囲は公園や遊歩道として整備されています。
海の中に残る鳥居と小さな祠は香椎宮の末社でもある御島神社。潮が引くと、干潟になり神社全体の姿が現れるのだそうです。
日本書紀に登場する神功皇后(じんぐうこうごう)が出陣の際に、ここで女装束のまま髪を洗い男性の髪型である角髪(みずら)を結った姿(=半分男)になったことから、このあたりは「片男佐:かたおさ」海岸と呼ばれるようになったのだそうです。
その脇にある香椎北浜公園には世界的な彫刻家、イサム・ノグチ氏がデザインした遊具が並んでいます。
ムダにセクシーなベンチとかあるけど!
そしてこれが本土と人工島であるアイランドシティをつなぐ「御島かたらい橋」からの景観。
遠くにキリン型のクレーンらしきものが見えますが、まだここからだとはっきりとは見えません。
福岡市立こども病院前へ
福岡アイランドシティは、「まちづくりエリア」と「みなとづくりエリア」に分かれていて、まちづくりエリアにはマンションやショッピングモール、緑地公園などが、みなとづくりエリアは埠頭用地や港湾関連用地となっています。
福岡市立こども病院があるのは、まちづくりエリアの一番海側で、みなとづくりエリアの一部と隣接した場所。
ここは神戸市より西で唯一の小児専門の高度医療機関ですが、こどもたちの不安を少しでも取り除けるよう、明るくて開放的な空間となっています。
学校と言ってもおかしくない感じの中庭(病院内には長期入院の子供のために本当に院内学級もありますが)。
敷地内には病気と闘う子供とその家族のための滞在施設「ドナルド・マクドナルド・ハウス」もありました。
これはマクドナルドが50年前から実施している活動で、店頭募金をはじめ、企業や個人からの寄付、地域のボランティアの支援によって、日本でも高度小児医療を行う病院に隣接した12カ所で運営されています。
キリン柄クレーン発見
福岡市立こども病院に来てみたものの、肝心のキリン柄のクレーンはここからでは見ることができません。
クレーンがあるのは、病院の脇を通る福岡高速の向こう側、海側のアイランドシティコンテナターミナルの中。
コンテナターミナルの中には入ることができないのですが、近くに行く方法があります。
こども病院側から福岡高速の高架をくぐって、コンテナターミナルの外を走る公道の先端まで行くと、6本のクレーンがよく見える場所に出ます。
ここからアップにすると、本当にキリン柄になっていることがよくわかります。
福岡市立子ども病院の裏側(クレーン側)はこんな感じになっています。
この建物の4階と5階が子供たちの病室になっているので、確かに窓からはクレーンがよく見えそうです。
わ、キリンだ!
ホントだ!すごい!
もともとこのコンテナクレーンは普通の塗装だったのですが、病室の子供たちが「キリンみたいだ」と言っていたことから、定期メンテナンスの際に、本当にキリン柄に塗装しなおしたのだそうです。
クレーンを管理しているのは福岡市の港湾空港局なので病院とは直接関係がなく、誰が言い出してこんな粋な計らいになったのかはわかりません。
けれども、子どもたちに笑顔と希望を届けたい、というたくさんの人の力によってこのキリンが誕生したに違いありません。
博多港アイランドシティのキリン柄コンテナクレーン。
— 風祭哲哉 (@fuumayu7771) January 9, 2023
近くにある福岡こども病院に入院する子供たちが、キリンに見えると言っていたことから、一番手前のひとつが定期メンテナンスの際に塗り替えられたのだといいます。 pic.twitter.com/uaflMGNpAA
僕のこのツイートも多く人に「やさしい世界」と拡散されました。
キリン柄コンテナクレーンは福岡市立こども病院にあるわけではありません。
でもなんとなく、このキリンはこの病院のものでもいいかな、と思わせる何かが、そこにはありました。
<2023年1月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
キリン柄コンテナクレーンへの旅
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