北海道の帯広で、真っ暗闇の夜の川をクルージングできる船がある、と聞いて一度行ってみたかったのです。
暗闇クルーズといっても、夜這いとかヤミ鍋とか、そういうやんちゃな遊びをするのではなくて、静けさの中に響く水や風の音、動物たちの声などを楽しむ高貴な癒しの体験ですので、みなさま方におかれましてはそのような想像をされないようにご注意願います。
そんなわけで行ってみました「十勝ナイトリバークルージング」へ。
「十勝ナイトリバークルージング」は「サムライプロデュース」の企画
この「十勝ナイトリバークルージング」を行っているのは地元十勝を中心に北海道ならではの体験型観光を開発している会社「サムライプロデュース」。このツアー以外にもユニークな企画をたくさんやっているので、のちほど紹介します。
集合場所は帯広市の郊外で、十勝川沿いの土手に沿って指定されたエールセンター十勝へ向かいます。
行く途中も結構暗くてあんまり様子がわからなかったんだけど、なんだかキャンプ場の管理事務所的な雰囲気のあるところが受付になっています。
ここで救命胴衣を着け、説明を受けると参加者は専用車に分乗して、クルーズの出発地点へ移動します。
到着したのは帯広神社の横あたり。
ここから帯広川の河川敷へ降りたところがクルーズの出航場所。意外と市街地の近くから出発するんですね。
出航前にオールを片手にした記念写真を撮ってくれるサービスもあります。
そんなわけで僕も撮ってもらいましたよ!
30年前の僕が女子になった設定の写真なので、若干不自然ではありますが、わりとかわいいですね。
というかおひとり様なのかよ!
そうなんです、この船は二人掛けで、ほとんどがカップルか女子旅グループなんです。
そんな中にナイスミドルが一人で参加して、隣にひとり旅女子とかがアサインされてしまったりすると
こんばんは。なんだかこんな暗闇で隣り合うなんて恥ずかしいですね💛
みたいな感じになっちゃうので、ひとり旅男子のみなさまにおかれましては十分お気を付けください。
いざ、暗闇クルーズへ
「十勝ナイトリバークルージング」は、自然豊かな帯広川を夜に下るボートクルージング。
ボートクルージングといっても、ラフティングのようにスリルを味わうものではなく、ほとんどボートを漕ぐこともありません。また、ガイドの話を聞くツアーでもありません。
暗闇の中だからこそ研ぎ澄まされた感覚を使って、普段は感じられない音や風、匂いなどを楽しむのです。
暗闇クルーズはまるでジャングルの河川のような細い帯広川をゆっくり進みます。
帯広の市街地からほど近い場所を進むので、ときどき遠くに街灯が見えることもありますが、灯りは漕ぎ手のヘッドライトのみ。
あたりは静まり返っていて、オールを漕ぐ音と虫の鳴き声しか聞こえません。
このあたりの帯広川は土手を隔てて十勝川に並走していて、30~40分ほど進むと、十勝川との合流地点の手前に到着します。
ここですべてのライトを消すと、灯りひとつない暗闇と静寂が現れます。
船はここで5分くらい、ただ暗闇の中を漂っているだけ。
晴れた夜は、美しく輝く月や満天の星空が広がり、カップルで参加していれば、きっとムフフな瞬間もあるかもしれません。
なんだか私もロマンチックな気分になってきちゃったんですけど、どうしよう
たった30分前に乗り合わせたひとり旅女子でさえ、そんな気分になっちゃうくらいなので「暗闇deムフフちゃーんす!」とかやろうと思えばできるかもしれませんが、ここはそういう場ではありません。暗闇と静寂を楽しみましょう。
そんなわけで帯広のナイトアクティビティ、「帯広川暗闇クルーズ」なかなか貴重な体験でした。
「サムライプロデュース」では、帯広川で真冬の朝のリバークルージングもやってるみたいなんだけど、それも乗ってみたくなりました。
死ぬほど寒いみたいだけど(笑)
昼の帯広川
翌日、帯広市内をブラブラしてると、いつの間にか帯広神社の近くに来たので、帯広川暗闇クルーズの乗り場まで行ってみました。
なるほど、ここから出航してたんですね。
帯広川に沿って道があったので、そのまま川に沿って下ってみると、やっぱりずいぶん狭いところを通ってたんだということがわかります。
これならたしかに木の枝にも触れるし、虫の音も聞こえるはずですね。
帯広はアイヌ語で「オ・ペレペレケ・プ」(川口がいくつにも分かれているもの)という名前だったのだそうです。
鉄道紀行作家の宮脇俊三さんが、なにかの本の中で
「オペレペレケプを帯広などとせず、 尾辺礼辺礼毛布とでもしてくれていたら、私だって入場券の五枚くらいは買うだろう」
と記していたことを思い出しました。
川沿いには帯広柏葉(おびひろはくよう)高校がありました。
大学時代のクラスメイトの女の子がここの出身だったので、ちょっとのぞきに行ってみました。
ここは帯広・十勝随一の伝統校で、中島みゆきさんやアナウンサーの安住紳一郎さんの出身校でもあります。
大学時代のクラスメイトは帯広の隣、幕別町の出身で、1浪して入学してきたので、現役入学者が多い女子の間では「おねーちゃん」と呼ばれていました。確かに十勝の大地に深く根を下ろした大樹のようなおおらかさと包容力で、まさに「おねーちゃん」という称号にふさわしい女の子でした。
特にお付き合いしてたわけじゃないけど、おねーちゃん、今頃どこで何をしてるのかな?
帯広柏葉、小樽潮陵、釧路湖陵、北見北斗・・・
北海道の主要都市の高校は、地名+地域のイメージで4文字の学校が多く、その名前のどれもが美しいのです。
大学時代の友人には、これらの高校の卒業生がたくさんいたので、今でもときどきそんな名前を聞くと急にあの頃に戻ったような気持ちになりますね。
<2019年9月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
十勝ナイトリバークルージングへの旅
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