浮気町と書いて「ふけちょう」と読みます。
ここは僕の旅のバイブルの一つである、『世界でもっとも阿呆な旅』(安居良基著 幻冬舎、2009年)でも取り上げられている、知る人ぞ知る日本の珍地名のひとつです。
きっとそこはめくるめくような淫靡な世界に違いない。
僕はこの地名の存在を知って以来、ずっとそこに行きたいと思っていたのです。
しかも昼ではなく夜の浮気町へ。。。
「ここは、浮気町」
その気になれば、浮気町に行くのは実に簡単です。
滋賀県の守山市、東海道本線の守山駅から東へ数分歩くと、もうそこは浮気町の一画です。
東海道線の新快速で何度も間近を通り過ぎながら、今まで一度も気に留めたことがなかっただけなのです。
まずは浮気町とは反対側の、守山駅の西口を出て、街の中心部へ行ってみます。
ここはよくある普通の近郊都市の装い。駅前のちょっとした商店街が途切れると、あとはマンションと住宅街が続きます。
駅前のラーメン屋で夕食を済ませながら、夜が完全に街を包み込むのを待ちます。
午後19時30分、いよいよ駅の東口を出て、異空間へと突入します。
西口は、少ないながらも、そこにはまだ人々の営みを感じられましたが、こちら側は、まだ夜も浅いというのに人の気配がありません。
比較的大きなマンションの横を通りながら、浮気の文字を探します。
「ここは、浮気町」
なんという意味深な文字なのでしょう・・・・・
そのまま浮気町の交差点へと向かいます。
「浮気町」という文字の横の、信号の色の、あまりの妖艶さに気を失いそうになっていたら、交差点の下を、同じようにフラフラと歩いている女性に出会いました。
「待ってたのよ。さあ、行きましょう」
彼女はそう言って僕の手をとりました。
浮気郵便局、浮気幼稚園、浮気自治会館・・・・・
闇の中から、そんな名前の建物が現れては消え、現れては消えてゆきます。
やがて彼女が僕の左手をギュっと引っ張って角を曲がると、古びた公民館のような建物が現れました。
「さあ、ここよ」
彼女に引っ張られるように小さな門をくぐると、玄関の看板に書かれた文字が、仄かな灯りに照らし出されて、妖しげに浮かび上がっているのでした。
「ようこそ浮気集会所へ」
・・・そんな妄想も、まんざら嘘だとも思えないような雰囲気が、夜の浮気町にはあるのでした。
(おまけ)浮気商店
この浮気町ほど有名ではありませんが、群馬県に「浮気商店」があります。
ある時、群馬のチベットと呼ばれる奥多野地方へ向かう長距離路線バスに乗っていると、偶然こんな停留所を見つけたのです。
素晴らしい停留所ですね。「世界で最も阿呆な旅」にも未掲載の希少種です。
しかし僕が乗っていたバスは2~3時間に一本しかない路線のため、わざわざそのためだけに山と川以外に何もない場所で降りるのに抵抗があって、最初に発見したときは泣く泣く通過していたのです。
その後、家族でドライブをした時に再びこの前を通る機会がありました。
めくるめく名前のこの商店、何を売っているお店なのか、ぜひとも見てみたかったのですが、その前になぜこんな山の中の路肩でクルマを停めるのか、嫁と子供に説明しなければなりません。
おとーさん、そーゆー願望があるんじゃないの?やーらーしー
とか言われるのを覚悟で、いざとなったら正直に告白しようかと思っていたのですが、幸いなことに眼下にダム湖が見下ろせる場所にあったため、ちょっとダムの写真撮ってくる、と言ってなんとか浮気親父呼ばわりされるのを回避したのでした。
そしてあこがれの浮気商店さんは、コチラ。
うーん雑貨屋さんですね。
あざやかなトリコロールのテントが、群馬のチベットにはやや派手やかすぎて、夜の浮気町に比べると淫靡さではかなわない感じがしますね。
今回、この記事を書くために調べてみると路線図からこのバス停が消えていました。
Google Mapで見る限り、浮気商店は残っているようですが、バス停だけが廃止されたのかもしれませんね。
浮気町への旅
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