秋月は福岡県朝倉市にある古い城下町。
筑前の小京都とも呼ばれ、どこか哀愁のある古い街並みは「日本の原風景」に近いのかもしれません。
「日本の原風景」と言えば寅さんが好んで歩いた町。そう、この秋月も「男はつらいよ」の舞台となった町なのです。
筑前の小京都、秋月
それは僕が五島列島に向かう旅の途中のこと。その日の深夜に博多港を出るフェリーに乗るまでほぼ丸一日、博多あたりで時間ができてしまったのです。
特に何も予定を決めてなかったので「ちょっと幹線から外れていて、こんな時じゃないとなかなか訪れるチャンスのない町」を思い浮かべたら、それが秋月だったのです。
秋月ごめんな、きっかけはそんな消極的な理由で。
秋月は「筑前の小京都」といわれ、かつては秋月氏、黒田氏の城下町として「秋月千軒の賑わい」と謳われるほど栄えたようです。
僕が昔好きだった『信長の野望』でも、比較的早い年代の設定だと、秋月城とか秋月氏とか出てきていたので、もちろん僕も知っていました。
明治に入って「秋月の乱」なんてのも、歴史の授業で聞いたことがあるような、ないような・・・まあその詳細は覚えていませんが。
ただ地理的には、道路も鉄道も主要幹線からは外れた場所にあるため、明治以降は急速に寂れていき、今は人口1000人程度が暮らす静かな山の中の一集落になっています。
その分さまざまな史跡や景観が比較的壊されずに残っているのが「小京都」と呼ばれる所以のようです。
「秋月」という名前にも魅かれますね。
名前の通り、秋の満月の夜に来て、青白い光で静かに照らされた城下を歩いてみたい気もします。
ランドマークの目鏡橋(眼鏡橋)と秋月中学校
城下町の入り口にある目鏡橋(眼鏡橋)。
これが秋月のランドマークです。
それまでにあった木の橋はたびたび洪水に流されていたため、秋月8代藩主長舒は長崎守護の際、眼鏡橋を見てたいそう感銘を受けたのだそうです。
そこで長崎の石工を招聘して作ったのがこの橋だったため、当時は「長崎橋」と呼ばれていたそうです。
秋月の町並みは秋月氏12代や黒田氏16代などの長い歴史を経て残されてきたもので、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。
眼鏡橋から町並みを東へ進むと、秋月城の手前に杉ノ馬場と呼ばれる通りがあります。
ここにはかつて杉の並木があり、武士たちの馬術の稽古に使われたためそう呼ばれたのですが、明治時代に町人たちが杉の代わりに一軒につき一本の桜を植え、現在は桜並木がトンネルを作り、桜の名所になっているそうです。
江戸時代、黒田氏による秋月城の大手門だった「黒門」。
現在は、黒田秋月藩初代藩主長興を祀る垂裕神社の神門となっています。
そして何よりも秋月城址にある秋月中学校が良かった。
見てくださいよ、この木造校舎!
僕の卒業した小学校は、当時、明治時代から続く歴史がある、といわれた木造校舎(これより数倍ボロかったけど)だったので、なんだか本当に懐かしくて、Facebookにアップしたら、たくさんの反応がありました。
父の母校です。 私は行ったことがないんですよー。なーんにもない田舎だよ。といつも言ってました。私のかわりにお墓参りお願いします!
母親の地元にようこそ♪ちなみに東京に異動してくる前までは、営業でときどき行っていました(^^)v
今はこんな小さな集落ですが、秋月は確かに歴史を作っていた場所だったんですね。
秋月は寅さんのロケ地としても登場
城下の町並みをちょっと外れると、いつかどこかで見たことがあるような里山と、豊かな日本の秋がありました。
日本の原風景が残るようなこの町は「男はつらいよ」の第28作「寅次郎紙風船」に登場しました。
テキヤ仲間が病床に臥していると聞き、秋月を訪れた寅さんは「俺が死んだら女房をよろしく頼む」と言われてしまいます。
冗談だと思っていたところ、そのテキヤの女房、光枝(マドンナ:音無美紀子)から主人はもう長くないのだと告げられるのがこんな感じの道。
いやー、その音無美紀子がめっちゃ色っぽいんですよー。
じゃなかった・・・
その哀愁漂うシーンとこの秋月の情緒的な風景がめっちゃマッチしてたんですよー(こっちが正当。文字は小さいけど)。
なんにせよ、寅さんの似合う町は、素晴らしいってことで!
おまけ
秋月はJR鹿児島本線の基山駅から分岐する甘木鉄道(基山~甘木 13.7km)の終点甘木からさらにバスで20分のところにありますので、今回、初めて甘木鉄道にも乗りました。
そしたら途中でこんな駅を発見しました(うそです、知ってました)!
「おお」と「いたい」の間に「、」でも打って「おお、いたい」とでもなっていればもっとわかりやすいのでしょうが、一応珍名駅として知られる駅です。
漢字で書いちゃうとどうってことはないんですが。
こんな写真が残ってるってことはわざわざ降りたんですね。
ホントにヒマだったんですね、この日。
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