徳島県の剣山は標高1,955m、近畿以西の西日本では2番目の高さで、日本百名山のひとつにもあげられる名峰。
僕は登山家ではないし、そもそも高所が苦手なので、そんな高山を目的に旅をすることはほぼないのですが、今回はそんな剣山に思いつきで行って、うっかりそのまま山頂まで登ってしまったお話です。
酷道ヨサク(国道439号)で剣山へ
剣山は西日本で2番目の高峰ですが、山頂近くまでリフトで行けるため、初心者でも比較的アクセスしやすい山として知られています。
とはいえ、何の装備もなく、ましてや最初からそこを目的地にするわけでもなく、成り行きで登ってしまう人はあまりいない山だと思います。
僕はその日、剣山に行くつもりではなく、その手前の「奥祖谷観光周遊モノレール」に乗るつもりでいたのですが、なんと故障のため急遽運休となってしまい、予定ががっつりあいてしまったのです。
マジかよ、これに乗るために丸亀でバイク借りて、祖谷渓に前泊までして、めっちゃ気合入れて早朝にたどり着いたのに!
しかし日本のチベットオブチベットと言われるほど山深い場所までやってきて、はいそうですか、と引き下がるわけにはいきません。
実は前の年もここにやってきたのですが、やっぱりこのモノレールにフラれて、近くにある「奥祖谷二重かずら橋」とか「落合集落」といった観光スポットはすでに行ってしまっていたのです。
残った未踏の地は剣山しかありません。
剣山はここからさらに山道を15キロほど行ったところにあるのですが、バイクがあるので近くまで行くことはできます。
しかし、ここから剣山へ続く酷道、もとい、国道439号線は、「酷道ヨサク」と呼ばれ、日本でも有数の厳しいコンディションの国道なのです。
ま、こんな感じですね。
正直、フェラーリでは来たくない道です。持ってないけど。
バイクだって前方のカーブの先から来る車を気にしながら、常に離合を考えて走らなきゃならないので、なかなかハードな道なのです。
剣山リフトで山頂駅へ
剣山の登山口は見ノ越と呼ばれるところで、標高は約1400メートル。
酷道ヨサクもこのあたりが一番高いところになります。
ところが僕は何か勘違いしてたようで、見ノ越まで来ればもう山頂は目の前に遠望できるんじゃないか?と思っていたのですが、どうやら山頂はここからリフトに乗らないと行けないようです。
リフトこえーよ。
スキーシーズンじゃないと下が丸見えじゃんよ!
でもせっかくここまで来て山頂行かなかったら何のための酷道ヨサクだったんだ!
ということで目をつぶってでもチャレンジしてみます!
見ノ越駅から山頂の西島駅まで高低差は330mですが、リフトなので15分もかかります。
こっわー!!!
途中で降り返って写真なんか撮らなきゃよかった。帰りはムリだな・・・
しかも終点の西島駅に着いても全然山頂っぽくない!
リフトを降りれば山頂は目の前かと思ってたのに、ここからさらに40分ほど登山道を歩かなくてはならないようです。
よもやこんなところで登山するなんて想像もしてなかったけど、流れ的には行くしかないですね。
かくして極めてスマートカジュアルなナイスミドルが登山することになってしまったのです。
1955メートルの剣山山頂へ
西島駅から山頂への途中にある剣山本宮。
みんなめっちゃフル装備してますね。
さらにここからゆるやかな木道の道を歩くと、ついに来ました!剣山山頂。
標高1955メートル。
まったくのテキトー装備で2000メートル級のところまで来ちゃいました!
そんでもって山頂から見下ろすとこの景観!
この先も稜線上に登山道が続いていて、次郎笈(じろうぎゅう)と呼ばれる剣山のもうひとつの頂(1930m)まで行くことができます。
まあでも、ここまでで十分でしょう。スマートカジュアルな格好だし!
山頂から戻る途中、行きの登山道と違う「遊歩道」という道がありました。
おー、いいじゃないか遊歩道!帰りのリフトが怖かったので、これなら安心して下山できるかも・・・
と思って祖谷川の源流の谷とかいうすごい場所を抜けて歩いて行きます。
どこが遊歩道やねん!まあまあ崖やないかっ!
途中で法螺貝吹きながら登ってくる山伏みたいなおねーさんとすれ違うし、山岳修行かよ、これ!
下りリフトも怖そうだし、剣山、高いところが苦手な人はうっかり来る場所じゃなかったかもしれません。
番外編)天空のかかし村「名頃」
剣山に向かう途中、ちょっと不思議な集落を通りました。
道端にちょっと疲れちゃった感じのおじさんがいたので気になって様子を見てみると・・・
うっおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ~~~
びっくりしたなー、もー
夜だったら確実にキュン死してるぞ!
キュン死はしないか。
ここは奥祖谷の名頃と呼ばれる集落。剣山の手前の、奥祖谷でも一番奥にある集落でした。
天空の郷とも呼ばれるこの限界集落には、なぜか「かかし」がたくさん住んでいます。
この集落、住民はたった30人ですが、かかしは200人いるそうです。
もともとは村の若手(60代♀!)が鳥獣被害対策でかかしを作ったのがきっかけでしたが、近所のおじいちゃん、おばあちゃんが間違ってあいさつをしたり声をかけたりしたため、面白いと思って次々とかかしを作っていると、いつの間にかこんなかかし村ができてしまったのだそう。
まさかのトランプ!
ちょっと違うか。
なのでここでは廃校になった小学校でも、今も毎日授業参観が行われています。
この名頃には実はもう子供は一人もいないのだと言います。
それでもこの集落に悲壮感が感じられないのは、間違いなくこのかかしたちのおかげなんですね。
なによりビックリしたのは、こんな山奥に外国人観光客が来ているんですよ。
この日来ていたのはフランス人のイザベル(テキトー)。
村の人々はかかしとか、それを目当てに訪れる観光客に毎日元気をもらっているんですね、きっと。
<2019年5月訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください
剣山への旅
コメント